読んでいて、胸が詰まりました。
オオカミくんは、ピアニスト。
そして、ひとりぼっち。
深い孤独と、寂しさが、ページからじわじわとつたわります。
かといって、それが決して、イヤだというわけではないのです。
たったひとりのオオカミ。けれど、時折「ピアノを弾いてください」と手紙が舞い込みます。
オオカミくんは、ピアノをもって、あらゆるところへ出かけます。
みんなは、おおかみくんのピアノにおおよろこび。
けれど、みんな、おおかみくんにお礼をして、それでおしまい。
また再び、孤独になるおおかみくん…。
孤独を知っている大人は、この絵本を読んでその味を思い出し、しみじみとかみ締めるのではないでしょうか?
みんなに喜ばれ、たまに拒絶され、それでも手紙がくればピアノを連れて、旅にでるおおかみくん。
彼の姿に、私は憧憬のようなものを感じます。
孤独、寂しさを超えた、強さのようなもの。
それは、私が、昔から手に入れたくて、やまなかった物かもしれません。
もし、子供が大きくなり、孤独の味を知ったら、この絵本を手にして欲しい。
私はそんな風に思います。