力作に出会いました。
【内容】羽根が傷つき飛べないカササギ。片目を失ったイヌ。落ち込むカササギを励まし2匹は草原を駆け巡る。それを見ていた孤高のキツネ。2匹のたゆまぬ友情を押し破るかのように分け入る。最初は警戒していたカササギもついにはキツネの誘いに乗り・・・。
【絵】ブルックスの描写には総毛立つ勢いがあります。全体は土色。ほぼ1色だけしか登場しないのですが、これがかえって太陽の熱さ、キツネの冷たい表情、荒涼とした砂漠の雰囲気をかもし出します。
キツネの眼光も鋭く読者をうならせるものがあります。
【その他】この絵本は訳も全て手書きという力の入れようです。最初は太く力強かった字体が、カササギの置かれる状況が後半に進むにつれ字体も細くなっていきます。こういう見えない配慮が素晴らしいです。
「わたしがあなたの目になるわ。あなたはわたしの羽になって」この一節が物語全体を引き締めていますね。
ラストは読者によって分かれる作品です。漢字には振り仮名がないため、内容も含めて高学年向きです。