齋藤隆介さんの本は、自分を犠牲にして社会のためになる主人公の本が多いですね。この本もそうですが、ちょっと変わっています。主人公のでえだらぼうは、生まれてから30年間、赤ん坊のように座って泣いてばかり、その上に大飯ぐらいでした。我が家の子供たちはこれが不思議ならしく「どうして、どうして?」とさかんに聞きます。いつも、お兄ちゃん、お姉ちゃんにならないと言われている子供にとっては、いつまでも赤ん坊という存在が特別に映るのかもしれません。でえだらぼうは、旅の不思議なおじいさんに顔を叩かれると突然歩き出し、てんぐと戦って一生を終えてしまいます。こういう運命に生まれた子だったのでしょうか。いろいろなことを考えさせられる本です。