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絵本が大好きな女の子とパパの、幸せであたたかいお話。

絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  夏休みの宿題がこれで解決!「お父さんが教える」シリーズ赤木かん子さんインタビュー

そろそろ夏休み直前。小学生のお子さんには待ちに待ったシーズンの到来ですね。 でも、同時に悩まされるのが、夏休みが終わるギリギリまで残ってしまう読書感想文や自由研究。白紙のままの宿題に「なんでもっと早くやらなかったの!」と叱ってしまうお母さんも多いのではないでしょうか…。でも、思い返せば自分も子どもの頃、読書感想文と自由研究には泣かされた思い出が…。そんな、悩めるお母さんにオススメの夏休みお助けブックが登場しました!

「お父さんが教える」シリーズとは…?

今回、ご紹介するのは2009年刊行の『お父さんが教える 読書感想文の書きかた』『お父さんが教える 自由研究の書きかた』と、この2冊につづくシリーズ新刊『お父さんが教える 作文の書きかた』『お父さんが教える 図書館の使いかた』です。「お父さんが教える」シリーズは、現在4冊が自由国民社より発売されています。

  • お父さんが教える読書感想文の書きかた

    出版社からの内容紹介

    多くのお子さんにとっての悩みのタネ、読書感想文。
    でも、実は読書感想文は、やりかたさえ教えてもらえれば「誰でも書ける」のです。
    本書は、どうしても読書感想文を書かなくてはいけないお子さんが、一日で書けるようになる、画期的な方法を解説しました。
    本の選びかたから、原稿用紙の工夫、あらすじと感想の「サンドイッチ作戦」など、目からウロコの技が満載! お子さんの文章でのはじめての自己表現、読書感想文をらくらくクリア! 困っているお子さんのヒーローになってください!

  • お父さんが教える自由研究の書きかた

    出版社からの内容紹介

    自由研究って何をすればいいの? どうすればいいの?……テーマの決め方、調べ方からレポートの書き方まで。“考える力”がグングン育つ!
     自由研究のテーマを紹介する本はたくさんあります。でも、研究する前に知っていないと、いま何をしているのか分からない……だから次にどうしたらいいかわからない……ということがいくつもあるのです。
     そうしてこの研究の基礎となる考え方は、一度わかってしまえば、中学はもちろん、高校、大学に行ったって困らなくなります。
    「うちの子には“ちゃんとしたやり方”を覚えてもらいたい」と思っているお父さん、まず、この本を読んで、その“考え方”の基本をお子さんに説明してあげてください。


  • お父さんが教える 作文の書きかた

    出版社からの内容紹介

    この本は、作文が書けなくて悩んでいる子どもをまじめに救いたいと思っていらっしゃる大人のかたのために作った、初級者用の作文の本です(今回だけ書ければいいやというかたは、例文がたくさん載っている他の本をご覧ください)。

     文章には大きく分けて2パターンあります。

     この世に本当には起きてないことを書く小説(空想系と呼ばせてください)の文章と現実にこの世にあること(仮に、リアル系と呼びます)を書く解説文です。

     医学や政治、法律、経済、科学、のような世界で使う文章はリアル系です。

     ノーベル化学賞を受賞するような学者で、小説を読む人はあまり聞きませんが、本を読まないわけではなく、文字は、論文は、絶えず読んでいる、といっていいし、本の山に囲まれているのが普通です。

     どちらが好きかは、頭がいい悪い、ではなく、単に好み、嗜好の問題です。

     他のことはまあまあ人並みにできるのに、国語だけが苦手、作文が苦手、読書感想文を書くのが嫌、という人は、リアル系が好みの人、が多いのです。

     でもこのタイプなら、文章を書くのは簡単です。

     なぜなら、小学校で書く作文は本当にあったことを書く$カ活文で……つまりはリアル系≠フ文章で、リアル系の人は、リアル系の文章は得意なはずだからです。

     では、なぜ書けないのか、というと、それは簡単で、リアル系の文章の書きかたを教えてもらっていない、からです。

     なにも説明せずに、いきなり、「はい、書いて」といわれたら、生まれつき向いている人以外は、ほとんどの人はできないに決まっています。そうしてできないと嫌になるし、怖くなるし、だから書かないからうまくならない、という悪循環になるのです。

     とりあえずは小学校1、2年生を対象に作りましたが、苦手だ、と思っているのなら、6年生でもここからはじめてください。

     この本は大人が読んで℃qどもにこうやればいいんだって≠ニ話しことばで説明する≠アとによって子どもたちができるようになるように作っています。

     どうぞ、ご協力、よろしくお願いします。   (「はじめに」より)

  • お父さんが教える 図書館の使いかた

    出版社からの内容紹介

    なにか調べたいときには図書館へ行けばわかる、ということはどなたもご存じのことでしょう。

     でも、図書館に行って具体的になにをどうすればいいのか……は、まだそれほど定着していないように思います。

     なのでこの本では、

    お米のことを調べなさい

    という宿題を出され、困ってしまった小学校5年生の男の子と、じゃあ図書館に行こう、と助け船を出したお父さんの2人を主人公に、図書館に行ったら、この順番でこう動いてみて!
    を解説してみました。

     高学年の調べものともなると、答えが見つかるのは、ほぼ大人の本になってしまいます。

     混乱を避けるためにこの本ではわざとネット系は省かせていただきましたが(まずはしっかり本が使えるように)、ネットのなかで統計などを探すのも、小学生にはなかなかに難しいことで、全部、ではなくともあちこちで、大人の手助けが必要なのです。

     このシリーズの他の本と同じように、この本は大人が読んで≠かったことを、お子さんにあのね…≠ニいうように、話しことばで説明して≠ュださればわかってもらえるように作りました。

     どうぞお子さんを助けてやってください。

     そうしてお子さんのヒーローになってください。  (「はじめに」より)

「お父さんが教える」シリーズ、4つのおすすめポイントのご紹介!

【ポイント@】 「お父さんが教える」ことで、お母さんも子どももニッコニコ!

このシリーズの特長は、何といっても「お父さんが教える」というところ。いつもは忙しいお父さんも、ながーい夏休みの1日くらいは、子どもと一緒に過ごせるはず。お父さんと一緒に過ごせて子どもはニコニコ。 子どもが少しの間手を離れて、自分の時間が持てるのでお母さんもニコニコ。 ではお父さんは…?

【ポイントA】お父さんが分かりやすく、教えやすい、ビジュアルと解説文

お母さんに比べて普段子どもと接している時間の少ないお父さんは子どもが分からないことを理解するだけで一苦労。でも、この「お父さんが教える」シリーズは、作文の書き方や図書館の使い方のノウハウを基礎の基礎から解説してくれます。 本の中もイラストや会話文が多く、すぐに実践できる実用的な内容になっています。 社会学や自然科学、雑学など、知識収集が好きなお父さんにうってつけです!

【ポイントB】対象学年を理解して使うと、より効果的!

「お父さんが教える」シリーズには、お子さんの対象年齢が設けられています。 「読書感想文の書きかた」 「自由研究の書きかた」「図書館の使いかた」は小学校5年生以上、「作文の書きかた」は小学校2年生以上。 特に国語が苦手なお子さんにオススメです。

【ポイントC】著者は本の探偵・赤木かん子さん! 目から鱗の新常識がいっぱい?!

作者名やタイトルを忘れてしまった子どものときに読んだ本を、ストーリーの断片から探してくれる「本の探偵」として有名な児童文学評論家の赤木かん子さん。 長年、学校図書館の改装に取り組み、全国各地の学校図書館を駆けまわっているかん子さんのところには、小学生からの切実なSOSが届いていました。そんな子どもたちの悩みを解決するために作られたのがこちらのシリーズ。かん子さんならではの切り口で、子どもたちを悩ませる読書感想文や自由研究、作文の書き方を解決します。

絵本ナビ編集部が驚いた『読書感想文の書きかた』『自由研究の書きかた』の中の新常識、「なるほど」をちょっとご紹介!

『読書感想文の書きかた』より、ピックアップ!

*感想文は“感想”を書くものであって“感動!”を書くものではありません! 
ではなにが目的か、というと、自分の考えを、
“筋の通った、論理的な日本語の文章で書けるようになること”
それが目的です。

*本のえらびかたで、まず大切なことは、
 1 最後まで読める本にする
 2 本人が魅かれたものにする です。

*なぜ、あんなにも読書感想文というものが嫌なものになってしまうのかという二つめの理由は、
“プロにしかできないようなことを子どもに要求するから”

感想文はどんな本でも書ける!

『自由研究の書きかた』 より、ピックアップ!

*自由研究というのは、
1 なにか謎を考える
2 考えるための材料を集める
3 考える
4 考えたことを発表する
5 ほかの人が「へえ〜!」と感心
すればいいのです。

*テーマの決めかたのまとめ
“テーマの三点決め”=“ことばをみっつ決めれば、たいてい自分のやりたいことは決まる”
このときのポイントは、
ポイント1 関係がないことばはダメです。
ポイント2  テーマを絞る!
ポイント3 さいごにちゃんとした文章にしてみます。

いかがでしょうか?

なんだか思っていたよりもずっとシンプルに読書感想文が書けそうな気がしてきませんか? こんなグッとくるキーワードが、「お父さんが教える」シリーズ随所にちりばめられているんです! それでは、次のページから、このシリーズの著者、赤木かん子さんに、新刊『お父さんが教える 作文の書きかた』『お父さんが教える 図書館の使いかた』について、おはなしを伺いました。

作文や読書感想文、自由研究を教えるのはお父さんの方が適任?!

───今回の『お父さんが教える 作文の書きかた』『お父さんが教える 図書館の使いかた』は前作以上にビジュアルが分かりやすくて、読みやすいように感じました。

前作を作ったとき、かなり文字数を減らして読みやすくなるように考えたんですが、まだまだスリムにできるなと思って、今回はかなりデザイン部分にも力を入れました。 具体的には、文字数を格段に少なくして、代わりに文字の強調する部分をより見やすく、よりシンプルなビジュアルにしました。

───子どもでも読むことができるくらい、分かりやすいですよね。

そうですね。基本的にこのシリーズはお父さんが読んで、理解したら、本を置いてお子さんに説明してほしいというコンセプトなのですが、小学校高学年以上なら、お父さんの説明を聞いた後に、自力で読むこともできるし、高校生なら自分で黙読できると思います。

───会話形式でストーリーが進んでいることも、分かりやすくなったポイントだと思いました。会話形式にしたのにはどんな理由があるのでしょうか?

お父さんが子どもに説明するときの状況になるべく近いシチュエーションになるよう考えました。それと、書き言葉よりも話し言葉の方が、頭に入っていきやすいので、お子さんが自力で読むことも考えて、会話形式にしました。

 

───「作文の書きかた」「図書館の使いかた」と既刊の2作との関連性、対象年齢などの違いはありますか?

最初に出した「読書感想文の書きかた」と「自由研究の書きかた」、そして「図書館の使いかた」は、小学校5年生を対象に。「作文の書きかた」は小学校2年生が対象になっています。

───読書感想文と自由研究をシリーズの最初に出版したのはなぜですか?

子どもたちが一番困っているのがその2つだからです。優先順位の高い順から作っていきました。「読書感想文の書きかた」の前半部分、作文を書くという部分をピックアップして作ったのが「作文の書きかた」。レポートの書き方を中心に作った「自由研究の書きかた」で書ききれなかった、“そのレポートの内容をどうやって作ったらいいのか”の調べ方を書いたのが「図書館の使いかた」です。

───そもそも、なぜ「お父さんが教える」というシリーズタイトルにしたのですか?

作文や読書感想文って実は、男の人の方が教えるのがうまいと思うんです。なぜなら、男の人の8〜9割は順序立てて、論理的に考えることが好きだからです。作文の組み立て方は構成、なんです。ですからお父さんにお願いするのがピッタリだと思いました。

───具体的に、この本を手に取るお父さんの年代はどのくらいをイメージされていますか?

8才から12才くらいの子どものいるお父さんだから、30代から40代くらい。ですから、この本は書店の児童書以外の棚にも置いてもらえたらいいな、と思っているんです。

───たしかに、その年代の男性は児童書売り場に足を運びませんよね…。

自由国民社はビジネス書も強い出版社なので、ビジネス書の棚に置いてもらえるよう、営業部の方にも頑張ってもらっているんです。

───ビジネス書の棚で、多くのお父さんたちに手に取ってもらえたら嬉しいですね。

小学校の作文は生活文。リアル系の方法で書くのが正しいのです。

───「作文の書きかた」の中で、まず文章には2パターンあるということに、ハッと目が覚める思いがしました。

「空想系」と「リアル系」ね。

───この2つの違いをもう少し詳しく教えてもらえますか?

空想系は簡単に言ってしまえば、フィクション。この世に本当に起きていないことを書いている文章の代表格は小説です。リアル系はノンフィクション、つまり、現実にこの世にあることを書く文章、分かりやすくいえば、解説文、説明文のことです。

───私たちは、小説以外ではほとんどリアル系の文章に触れているんですよね。

はい。私たちの身の回りには空想系よりもリアル系の文章の方が圧倒的に多いです。新聞や解説書、法律、経済、医学や化学もすべてリアル系で書かれています。それなのに、世間一般では「文章=小説」だと思っている人の方が多いんですよ。だから、子どもの作文でも小説のような想像力のある内容を求めてしまう…。でも、小学生が先生から書くように言われるのは、生活文なんです。生活文はリアル系の文章だから、小説の才能がなくても、「だれが」「いつ」「なにを」「どこで」「どうした」の5つを使えばだれでも書けるようになります。

───今まではそのスタイルが分からなかったから、真っ白な原稿用紙がいつまでも埋まらなかったんですね…。

そうなんです。でも、作文が書けるようになるという意味はそれだけではなくて、文章を書くと、自分が無意識に何を考えていたかが分かるようになる。それが分かると子どもはどんどん面白くなって、作文を書くようになりますよ。だって、書いていくと自分の中の深層心理が出てくるから。自分はこんなことを考えていたんだって、自分の作文を読んで客観的に分かるの。面白いでしょ。

───それは、ワクワクしますよね。

作文を書いてみて、自分はこんなこと考えてたんだ、なるほど!と思うから面白い。でもいきなりそのレベルには行けません。書けるようになるにはスタイル、文法を知る必要があるんです。

───それを教えてくれているのが、この「作文の書きかた」なんですね。

このノウハウをお父さんが理解して、子どもたちにきちんと伝えられれば、小学2年生ならすぐに400字詰め原稿用紙2枚を10分くらいで埋められるようになりますし、感想文だって、30分で書けちゃうんですよ!

───本当ですか! この本で作文の書き方を掴んだら、これから先、どんな場面でも文章を書くことが楽になりますね。

そうなんです。「作文の書きかた」は小学2年生の子に教えられるように書きましたが、中高生でも作文の苦手な子は、ここからスタートするのがオススメです。もちろん、大人もね(笑)。

調べものは、図書館に行って、百科事典にあたるのがセオリー!

───「図書館の使いかた」は、「自由研究の書きかた」で書ききれなかった部分を扱っていると伺いましたが、調べものをするとき、例えば課題となっていることについて詳しく載っている本ではなく、まずは百科事典で「定義」を押さえるということが驚きでした。

そうでしょう。これは大人でも知らない人が多いんですが、自分が調べることの定義を押さえることは、調べ学習の基礎中の基礎なんです。専門書から情報を得るのはその後です。

───そもそも「うちには百科事典がないから、図書館に行こう!」という発想を伝えるところも重要だと感じましたし、図書館に着いたらそこで終わりではなくて、着いてからどう行動するかということや、コピーの取りかた、案内マップの見かたまで、ひとつひとつ丁寧に紹介されているのもとても親切だと思いました。

実用書ですからね。実際に本の通りにやってみて、できるように工夫をしました。特に今回はとても具体的に、朝9時に子どもに「米のことを調べなさい っていわれたんだけど どうすればいいの?」って泣きつかれたお父さんが、10時に図書館に連れて行って、午後5時にレポートを完成させるためには、どういう風に子どもに教えたらいいか、子どもにどう行動させたらいいのかが分かりやすいように、時計を入れました。はい、ここからここまでが1時間ね〜って。

───本当ですね!各章の扉に時計が書いてある!

ここもビジュアルで分かりやすくなるよう、工夫したところです。

───本の中の調べものの内容をお米にしたのは意味があるのでしょうか?

小学校5年生になると、お米について調べるよう、宿題が出るんです。

───なるほど! そこも、実用性を重視したんですね!

でも、今の都会の小学生に米に興味を持つようにいっても、無理な話です。ただし、それは調べ学習のノウハウを教えなかった場合。この本の通りに百科事典で調べて、情報を集めて…と順序を追っていけば、子どもは確実に面白がります。 実は「図書館の使いかた」の最後の索引ページには「図書館の方へ」と公共図書館、学校図書館内で、この本をコピーして掲示しても良いですよという一文を載せたんです。

───それはすごく画期的なことだと思うんですが…。

「読書感想文の書きかた」を出したときに、公共図書館司書の方で、「本をコピーして、図書館の壁に貼ってもいいですか?」と聞いてきた方がいて、「いいですよ」といったら、隣に「読書感想文を書きやすい本」を並べた。そしたらその年の夏休みがすごく楽だったらしく…(笑)。だから今回はあえて、こちらから使ってもいいですよと許可を出すことにしました。

デザイナーさんと四苦八苦して作った「お父さんが教える」シリーズ

───新刊の2冊は、特にビジュアル化されていて読みやすく、1回で理解できる易しい作りになっていると感じました。編集者の方とは、どのようなやり取りをして、進められたんでしょうか?

編集者さんもデザイナーさんもこういったタイプの本を作るのは初めてで、「読書感想文の書きかた」と「自由研究の書きかた」の2冊は文字通り、四苦八苦しながら作りました。何度お願いしても、文字が普通の小説のように配置されてくるので、「ここは文字の大きさを変えて!」とか「ここは行変えをして!」と細かく指示を入れていきました。

───それは相当大変なやり取りですね。

そもそも、私は原稿を、広告の裏とかにラフを描いて渡すんですね。本来であれば、その通りにデザインしてもらえれば何の問題もないはずなんだけど、私にデザインセンスがないもので、作ってもらったものに大量に修正が入るわけ。だから3度手間くらいになっちゃうんです。でもそこは、デザイナーさんにごめんなさいと受けてもらいました。 慣れてくるとデザイナーさんも意図を組んでくれて、私がイメージした以上のものを作ってくれるようになって…。本当にありがたかったです。

本に登場するノウハウは、子どもと何回も接する中で積み重なってきた結果です!

───赤木かん子さんは、児童文学評論家としても有名ですが、私自身も学校の図書室で勤めていたときに、かん子さんの『学校図書館のつくり方』(光村図書)に大変お世話になりました。本業の評論をはじめ、講演会や小学校での出張授業、図書館の改装など本に関わる様々な活動をされていますよね。そもそも今のお仕事をしようと思われたのはなぜですか?

物心つくころにはすでに本が好きだったので、大人になったら本のことを仕事にしたいと思ってました。なので学生時代、本関係のアルバイトを手当たり次第全部やってみたんです。出版社も書店も印刷会社も取次も、あらゆる会社に行きました。そうしたら、なんと私は数が数えられないってことが分かって、本関係は全部全滅。だって、数が数えられないと本の発注は間違うし、紙の手配は間違うし…役に立ちませんよね。唯一残った職業が著者だったんです。

───子どもの頃から本が好きだったということですが、親御さんから読み聞かせなどしてもらった経験はありますか?

母は山のように絵本を読んで聞かせたといっているんですが、正直、一冊も覚えていなくて…。絵本は以前、『絵本・子どもの本総解説』(自由国民社)を作ったときに5,000冊くらい読みこみました。母には申し訳ないですが、それが鮮明に残っている絵本の記憶かな…。

───学校図書館に関わるようになったのはどのくらいからですか?

公共図書館に勤めていたときに、図書館理事を任されたことがあって、そのときに地元の小中学校の先生と知り合いになったんです。せっかくだからと図書館を見せてもらいに行ってビックリ! 何十年前の図鑑がホコリをかぶったまま並んでいるし、棚の整理をしようにも、分類ごとに動かしていくと大騒動になるし…。ただ、それまでなんとなくぼんやりと「なんかヘンだ」と感じていたことがクリアになっていく感覚が面白くて。それから学校図書館の改装を本気で考えはじめたんです。

───そうなんですか! 子どもたちへの授業や、学校図書館の改装など、かなりハードなお仕事だと思うんですが…。

だって、今回の「お父さんが教える」シリーズも、その他の調べもの関係の本や紙芝居も、子どもたちがいたから作った作品なんです。私は基本、本にする前に、こんなノウハウがあったらどうだろう…と思ったものを子どもに試してもらうんですね。そうすると、子どもが分からないところや直した方が良いところを教えてくれるので、作り変えていきます。そうやって子どもたちが楽に理解できるようになるまでみがいていきます。そうするとね、本質に迫れるんですよ。

───現場で子どもたちと対峙しているからこそ、これらの本がとてもリアルに、すぐに役立つ形になっているんですね。子どもたちに見せて試してみる回数などは決めているのでしょうか?

それはないですね。これで分かってもらえる、大丈夫!という感覚ができるまでやります。 そのためには何十時間と授業して、内容を精査して、抜いて抜いて、もうこれ以上シンプルにはできない!っていうところまでいかないと、説明ができないんです。

───この本は、もうこれ以上ないってくらい、シンプルに書かれていますよね。

そう! このシリーズで取り上げているテーマは、難しく書こうとしたら、いくらでも難しくできる内容なんですよ。でも、それでは子どもに伝わらないので。どれだけ不必要なものを排除していけるかがカギなんです。

───そこまで考えて本を出されているのを知るだけでも、かなり衝撃を受けました…。現在、進行している作品、近刊などはありますか?

実は昨年9月から12月まで、紙芝居を18本作っていました。それは小学校3年生向けの 調べ学習のノウハウを紹介しています。それと並行して、5月までに書いた6冊分の本が、続々と刊行されます。最新刊は大修館書店から発売される、子どもが本嫌いにならないための解説本です。これは赤ちゃんから大人が対象の本なので、是非、絵本ナビのユーザーの方にも読んでもらえたら嬉しいです。

───あらためて絵本ナビユーザーに「お父さんが教える」シリーズのオススメポイントとメッセージをお願いします。

シリーズ4冊で、図書館での調べものと、「書く」方法論がクリアになりました。なので、このシリーズの続編を作るとしたら、次は「読解」を考えています。読解の場合3年生までがターゲットとなるんですが、この方法論を作り出すことが本当に大変で、四苦八苦しています。それができたら、ゆくゆくは高校生が小論文を書けるようになるまで広がっていきたいと思います。

───どんどん野望が広がっていますね!「お父さんが教える」シリーズ、読解編の完成を楽しみにしています。今日はありがとうございました。

カナガキ事務局長ともツーショット

インタビュー:秋山朋恵(絵本ナビ編集部)
文・構成:木村春子(絵本ナビライター)

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