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アメリカで15もの賞を受賞した絵本『One』『Zero』乙武洋匡さんインタビュー

1998年、『五体不満足』(講談社)で鮮烈な印象を残した乙武洋匡さん。「障害は不便です。しかし、不幸ではありません」という言葉に、驚きと感銘を受けた方も多いのではないでしょうか? その後、小学校の先生をしていた経験を元に書いた小説『だいじょうぶ3組』(講談社)や『オトタケ先生の3つの授業』(講談社)など子ども向けの作品も多く発表している乙武さんの、『かっくん どうして ボクだけ しかくいの?』(講談社)以来となる、翻訳絵本が発売となりました。アメリカで絵本・児童書に贈られる15もの賞を受賞した『One ワン』と、その続編で乙武さんが「似た境遇だと」感じた『Zero ゼロ』。翻訳の裏話や、3児のパパとなった乙武さんの子どもとの関わり方まで、たっぷりご紹介します。

One ワン
作・絵:キャサリン・オートシ
訳:乙武 洋匡
出版社:講談社

ブルーはとってもおとなしい子。 レッドはおこりんぼで、ブルーをいじめるのがすきです。 イエロー、グリーン、パープル、そしてオレンジは、 それをみるのが大嫌いですが、どうすることもできません。 だれかが勇気をもって立ち上がらないと、 問題は解決しそうにありませんでしたが……。 そこにあらわれたワンの勇気ある姿をみて、 みんながあとにつづきました!

Zero ゼロ
作・絵:キャサリン・オートシ
訳:乙武 洋匡
出版社:講談社

ゼロは大きくて丸い数字。 ある日、自分のからだの真ん中に 大きな穴があいていることに気がつきました。 ほかの数字たちが1、2、3と数えながら遊んでいるのを、 ゼロは毎日、うらやましそうに見ています。 みんなのなかまに入りたいなあと思うのですが、 なかみがからっぽな自分に、自信が持てません。 ゼロは自分さがしをはじめます。 セブンのアドバイスで、自分をよーく見つめてみると……。 自分には大きな数字になるときに、 役立つ力があることに気づいたのです!

アメリカで15もの賞を受賞した絵本が、ついに日本上陸!

───『One ワン』と『Zero ゼロ』はとてもスタイリッシュなデザインですよね。

写真集みたいな表紙ですよね。アメリカでもこのデザインで出版されていますが、日本語版もほぼ同じデザインを踏襲しています。

───『One ワン』はE.B.ホワイト絵本賞や全米教師選書賞、ヤングヴォイス基金賞など、15もの賞を独占した作品だと伺いました。どのような経緯で、この2冊の翻訳を手がけることになったのですか?

2014年の年末くらいに、講談社の編集者の方から連絡を受けて、この絵本のことを知りました。原書を読ませていただいて、私が普段から伝えているメッセージと重なる部分が多い作品だと思い、是非、翻訳したいとお受けしました。

───『One ワン』はいじめをテーマに扱った作品、『Zero ゼロ』は個々の個性をテーマにした作品と、どちらもメッセージが込められている絵本ですが、乙武さんはどちらの作品に特に共感しましたか?

どちらにも思い入れはあるのですが、『Zero ゼロ』の持つ「みんなちがって、みんないい。」というメッセージの方が、私が伝えているメッセージにより近いと感じていて、翻訳しやすかったです。『One ワン』は作者の方が何を伝えたいのか、こちらから探っていく作業が新鮮で、翻訳にも熱が入りました。どちらも英語独特の表現が使われている部分があったので、日本の子どもたちに伝わる言い回しを見つけるのはなかなか苦労しました。

───特にどの部分が訳すのに苦労しましたか?

『Zero ゼロ』では、「むり〜」という言葉ですね。

───「0」が「1」みたいにかっこよくなりたいと思って、自分の体を押したり引っ張ったり曲げたりした後のセリフですね。ペチャっとくじけてしまった「0」の姿とセリフがすごく合っていて、「0」がとてもかわいく見えました。

原書では「zero〜〜」という言葉だったので、最初はそのまま「ゼロ〜〜」と訳していました、でも、しっくりこなくてずっと悩んでいたんです。そうしたら、最後の最後に「むり〜」という言葉が浮かんできて、編集者の方に変えても良いか相談しました。そうしたら、「むり〜の方がいいです!」と即決。「0」のキャラクターを表している良いセリフになったと思います。

───「むり〜」部分もそうですが、2冊とも絵に合わせるように文字にも動きがあるのが面白いですよね。文字の動きに合わせてリズムや抑揚をつけて読みたくなります。

原書も、絵と文字が一体となったデザインだったのですが、日本語版では原書以上に文字に動きを出してもらいました。原書の動きが10だとしたら30くらいになってます(笑)。



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乙武 洋匡(おとたけひろただ)

  • 作家。1976年、東京都生まれ。
    早稲田大学在学中に上梓した『五体不満足』は600万部のベストセラーに。卒業後はスポーツライター、小学校教諭などをへて、現在は、政策研究大学院大学で学ぶかたわら、東京都教育委員を務める。教員時代の経験をもとに描いた小説『だいじょう3組』は映画化され、自身も出演した。子ども向けの作品には、『オトタケ先生の3つの授業』などの児童書や、『かっくん どうして ボクだけ しかくいの?』などの翻訳絵本がある。

作品紹介

One ワン
作・絵:キャサリン・オートシ
訳:乙武 洋匡
出版社:講談社
Zero ゼロ
作・絵:キャサリン・オートシ
訳:乙武 洋匡
出版社:講談社
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