子育中の忙しい家事の合間や、子どもに静かにしてほしい外出時、ついつい子どもにインターネットの動画やゲームを与えてしまっている親御さんは多いのではないでしょうか? 生まれたときからIT(情報技術)が身近にあり、「デジタルネイティブ」と呼ばれる、今の世代の子どもたち。長時間一人でスマホやタブレット端末に没頭してしまう子どもたちの増加に警鐘を鳴らす人も少なくありません。 そんななか、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが開発した、動く絵本やゲームなどをプログラミングで作ることができる幼児向けアプリ「ScratchJr(スクラッチジュニア)」に注目が集まっています。子どもたち自身が能動的におはなしを作り、アプリ上でキャラクターを動かしていく創造性の高い内容で、今までの受動的なネットとの関わりから脱却し、「デジタルネイティブ」な子どもたちに今まで以上の創造力と表現力を育むと世界で期待されています。 そんな「ScratchJr」の使い方を一から解説する指南書『5才からはじめるすくすくプログラミング』(日経BP社)が日本で出版されていると聞き、著者・橋爪香織さんにおはなしを伺いました。「プログラミングって、なんだか難しそう……」と、躊躇しがちな親御さんたち必読のインタビューです。
●「ScratchJr(スクラッチジュニア)」とは……?

「ScratchJr」を作った人たちからのメッセージ
●「ScratchJr」に込めた思いは?
あらゆる年齢の子どもたちが、コンピュータやタブレットを使って、思い浮かべたアイデアを形作りながら、自分自身を表現できるようになってほしいと思っています。これまでも8才以上の子どもたちには「Scratch」があり、子どもたち自身で仕掛けのある参加型のお話やゲーム、アニメを作ることができました。それをもっと低年齢の子どもたちにも届けたかったのです。たとえ5才であっても、文字の読み書きを学び始めるのと同じように、子どもたち自身のコンピュータで仕掛けのある絵本やゲームを作りながら、コンピュータのプログラミングを学ぶことができるのです。
子どもたちは公園の遊び場で素晴らしい学びをたくさん体験します。社会性、運動発達、知育発達、認知発達、問題解決能力、言語発達といった幼児発達の基本はすべて公園の遊び場で見られるといってもよいでしょう。制約がなく、自由に探求できる場で、子どもたちが自分たちの思いや情熱に従って活動できます。「ScratchJr」は、そんな公園の遊び場のような環境を目指して作りました。子どもたち自身で自由に考え、それを表現できるのです。そして同時に算数や国語などさまざまな分野につながる、重要なプログラミングの概念を学ぶことができます。
タブレットを、子どもたちが自由に作品作りのできる舞台にしたいと思っていました。子どもたちがアイデアを思い浮かべ、その実現方法を考え、実際に作り上げられるようなアプリにしたかったのです。「ScratchJr」の対象年齢は5才以上ですので、子どもたちが目を輝かせて作品作りを楽しんでくれるのは狙い通りです。でも、私はおばあちゃんにも楽しんでもらえると信じています。もしかすると対象年齢を5〜99才とすべきだったかもしれません。

『5才からはじめるすくすくプログラミング』は未就学児から小学校低学年のお子様と親御さんに向けて、「ScratchJr」の使い方や作品例などを楽しく学ぶことができる1冊です。

「ScratchJr」について、ますます興味が出てきたのではないでしょうか?