じっとみるの
- 作:
- たちばなはるか
- 出版社:
- 岩崎書店
「じっとみれば、やがて世界がみえてくる。そして世界はここにある。」毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、美しきイマーシブ(没入型)絵本『じっとみるの』。いったいどんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
少女がじっと見ているのは……
グラスに入ったソーダすいの中。見えてくるのは、小さなあわが足の裏をくすぐってくる、氷やさくらんぼが浮かんだ緑色の水辺。
消え入りそうなほど繊細な線と、キラキラと透明感あふれる色彩で描くのは、幻想的でありながらも不思議と実感をともなう美しい光景。その冷たさも、重みも、静けさも、知っていたような、体験したことがあるような。絵本『こどももちゃん』(偕成社)でも独特な世界観が話題になった、絵本作家たちばなはるかさんが描く【イマーシブ(没入型)絵本】。
じっと見つめていれば、私たちにも行くことができるかもしれない。その入口は日常のどこにでもあるかもしれない。そんなひっそりとした高揚感を味わえる絵本です。
新しい感覚との出会いは
どこか一点が気になると、そこばかりを見てしまう。見ているうちに、何を見ているかわからなくなってくる。いつの間にか自分が小さくなって、そこで自由に遊べるようになる。そんな経験があれば、この絵本の世界を一瞬で理解できてしまうかもしれません。想像力というのは、なにも外へ向けられた広い視野ばかりから生まれるものではなく、こんな風に凝縮した視点からも生まれることもあるのです。新しい感覚との出会いは、意外ともっともっと身近に隠れているものなのかもしれませんね。
この書籍を作った人
札幌生まれ、横浜育ち。武蔵野大学視覚伝達デザイン科卒業後、フリーランスのイラストレーターとして活躍しつつ、あとさき塾で絵本を学ぶ。絵本に『こどももちゃん』『おしゃれなサリちゃん』、長編童話に『銀杏堂』『銀杏堂 スフィンクスのつめ』『ボンぼうや はじめて見る世界』がある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。