シルエットから食べものをあててね!『おせち』が大好評の作者の最新刊!
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絵本紹介
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2025.02.21
街中はもちろん、観光地や公園、レジャー施設など、あらゆるところで目にする「自動販売機」。日本中で約270万台が毎日休まず動いているのだそうです。
自動販売機といえばペットボトルや缶のドリンクが真っ先に思い浮かぶと思います。でも、よく探してみるとインスタント食品や日用品、化粧品、お菓子やおもちゃ、冷凍食品、生花を売っている自動販売機などもあって、その種類と進化には目を見張るばかりです。
今回ご紹介するのはそんな自動販売機が主人公のおはなし。でも、最新型の自動販売機ではなく、なんと50年に渡りうどんとそばを提供し続けている自動販売機なのです。
出版社からの内容紹介
発売後、たちまち重版!
読売新聞秋田版、秋田魁新報、ABS news every、あさ採りワイド秋田便、
朝日新聞デジタル、読売新聞オンライン、スマートニュース、Yahoo!ニュース、
新文化、文化通信などで紹介された話題の書!
ベストセラー『バスが来ましたよ』(アリス館)由美村嬉々氏 最新刊!
NHK「ドキュメント72時間」でも紹介された、あの“うどん・そば自販機”がついに書籍化!
【あらすじ】
海の見えるその町にぽんこつの自販機がありました。
そのぽんこつ自販機には、毎日毎日たくさんの人が訪れます。
散歩途中の親子、デート中の恋人たち、仕事中の運転手さん、悩みを抱えた社長さん。
彼らはぽんこつ自販機がつくったあたたかーいうどん、そばを食べながらいろいろな話をし、笑い、悩み、考えて、また自分たちの場所に戻っていきます。
そんな日常が続くと思っていたある日、思ってもいなかったことが起きたのです……。
物語の舞台はとある北の町。美しい海を眺めることのできるお店の入口に、その自販機はずっといました。
200円を入れて、うどんかそばをえらぶと、30秒でアツアツのおいしいのが食べられるんだ。
24時間365日、ずっと作りつづけている。
そう語る自販機はどこか自慢気な様子。でも、同じ場所で40年も休まず働き続ける自販機は故障することも増え、自分が「くたびれてきている」ということを自覚しています。
町の人はこの自販機のことを親しみを込めて「ぽんこつじはんき」と呼んでいるのだそうです。
その日も、ぽんこつじはんきには様々な人が訪れました。
午前9時にやってきたのは2年近く通っている親子。お母さんがパートに出ているため、お父さんと子どもたちとでじはんきで朝ごはんを食べるのが日課のようです。
午前11時にやってきたのはデート中のふたり。ぽんこつじはんきは彼の思い出の場所で、彼女に紹介したかった様子。二人の目に涙がにじんでいるのを見たじはんきは「人間ってよくわからない」とつぶやきます。
その後もバイクのツーリングを楽しむグループやいつも同じ時間に食べにくる「たかおさん」など、多くの人が「ぽんこつじはんき」にやってきます。午後10時、雪の中やってきたのは長距離トラックの運転手さん。そして午前4時には時々やってくるどこかの社長さん。
じはんきはお店のご主人である「すみおさん」がいないときに自分が壊れないことを願いながら、お客さんにあたたかい食べ物を出していきます。
しかし……
「長いことありがとな。今月いっぱいで、やめることにしたよ」
とうとう、すみおさんは店を閉めることを決めました。
はじめてここに来た40年前、ぼくはピカピカで元気だった。
たくさんの人たちのえがおと出会ってきた。
なみだも見てきた。
今も毎日みんなと会えるのがうれしくてたまらないのに
もう終わってしまうのか……。
「ぽんこつじはんき」はこのままなくなってしまうのでしょうか?
続きはぜひ、絵本でお楽しみください。
『ぼくは ぽんこつ じはんき』の作者・由美村嬉々さんは、ご自身で実際にその地へ足を運んで取材を重ね、そこで物語を生み出します。由美村さんは2015年にNHK「ドキュメント72時間」でこの自販機のことを知り「無性に行きたくなって、仕事の合間を縫って一人電車に乗って」ぽんこつじはんきに会いに行ったそうです。
ようやくうどんを手にすることができ、テーブルに向かう。そこには、うどんを前にして楽しそうに笑っている親子やしみじみと語り合っている老夫婦や観光客ふうのカップルがいた。なんだか感無量になってしまい、涙があふれ出てきた。気がつくと私はペンを手にしていて、そうやって、この絵本『ぼくは ぽんこつ じはんき』ができあがっていった。(「あとがきに代えて」より)
東北へ出かけるたびにぽんこつじはんきの元を訪れ、自然とお世話係の佐原さん(すみおさん)や修理の神様である伊藤さんたち「ぽんこつじはんき」を愛するメンバーの一員になっていきました。
そして、絵を担当した山本久美子さんも由美村さんと共に現地へ足を運びました。『ぼくは ぽんこつ じはんき』の中には、当時のじはんきの姿やじはんきの見ていた風景、町の人々の表情などが生き生きと描かれています。
由美村さんは「ぽんこつじはんき」の存在について、作者メッセージでこのように語っています。
「ぽんこつ」でも「おんぼろ」でもいいと思う。人と共に、人の間で生きていくこと、その素晴らしさをこれからも私は精一杯伝えていきたい。(「あとがきに代えて」より)
この書籍を作った人
三重県生まれ。作家・編集者・絵本カタリスト®・JPIC読書アドバイザー。一般社団法人チャイルドロアクリエイト代表理事。桐原書店、朝日新聞社勤務後、フレーベル館に入社。児童図書、保育図書の編集者を経て、出版事業本部取締役をつとめた。著書に、絵本『バスが来ましたよ』(絵 松本春野/アリス館)、『ぼくたちのことをわすれないで』(絵 鈴木まもる/佼成出版社)『 ほんとうは、どうしたいの?』(絵 すみもとななみ/講談社)ほか。木村美幸名義の著書に、エッセイ『これだけは読んでおきたい すてきな絵本100』(風鳴舎)、『100歳で夢を叶える』(晶文社)、『絵本で実践! アニマシオン』(北大路書房) などがある。
この書籍を作った人
群馬県生まれ。多摩美術大学卒業。2003、2005年ボローニャ国際絵本原画展入選。絵本の仕事に『マルをさがして』『きんぎょ』(以上、ひだまり舎)、『じてんしゃ がしゃがしゃ』(文 かさいまり/絵本塾出版)、『くじらのぷうぷう』(文 はらまさかず/イマジネイション・プラス) 、『ぼくはまっくろ』(文 原陽子/リーブル)など。日本児童出版美術家連盟会員。
『ぼくは ぽんこつ じはんき』は2024年10月に発売されると、テレビやラジオでも紹介され注目を集めました。
2024年12月にはぽんこつじはんきがある「道の駅あきた港 セリオン(SELION)」でイベントも開催。作者の由美村さん、絵を担当した山本久美子さん、そしてお世話係の佐原さんもイベントに登壇。
絵本の読み聞かせや制作エピソードの対談、サイン会が行われ、会場には「ぽんこつじはんき」を愛する多くの人々でにぎわいました。
50年以上にわたり訪れる人々のお腹と心を満たしてきた「ぽんこつじはんき」。絵本になったことで、さらに50年、100年と「ぽんこつじはんき」の物語は日本中の子どもたちへ伝わっていくことでしょう。
最後に刊行に寄せて掲載された、うどん・そば自販機のお世話係 佐原さんのメッセージをお伝えします。
2023年にこの絵本の主人公である「うどん・そば自販機」が50歳になりました。その間、いろいろな人と出逢い、話し、チャンスをもらい、支えてもらいながら、ここまでやってくることができました。
50年前からずっと食べに来てくださっている人もいます。
中でもNHKの福納将之さんとの出逢いからさらにたくさんの人と出逢うことになりました。この本にも出てきている「修理の神様」伊藤久人さんも大事な出逢いです。
そして、集大成ともいえるこのタイミングで由美村嬉々先生と出逢って、絵本になりました。何十年もやっていてよかった、本当にそう思います。
機械もそろそろ……かもしれませんが、この絵本を通じて「ぽんこつじはんき」のことを、これからもたくさんの人に知っていってもらえたらうれしいです。
うどん・そば自販機 元佐原商店店主 佐原澄夫