新刊
そうじきの なかの ボンボン

そうじきの なかの ボンボン(フレーベル館)

世界にはまだ、誰も知らない不思議とすてきでいっぱい!

  • かわいい
  • 学べる
新刊
はっけんずかんプラス 妖怪

はっけんずかんプラス 妖怪(Gakken)

しかけをめくると妖怪が登場!今大人気の本格子ども向け図鑑

  • 笑える
  • びっくり
絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  「探Q! 日本のひみつ」シリーズ青山邦彦さんインタビュー

実際に取材場所へ足を運んでから制作をします。

───「探Q! 日本のひみつ」シリーズは、日本各地の名所や見どころ、人々の暮らしをテーマ別に切り取って、細かいところまで見渡せるよう上から見下ろすような形で描かれているのが、とても新鮮でした。もともとどのような経緯で「探Q! 日本のひみつ」シリーズはスタートしたのですか?

帝国書院 大平原:それは私共からお伝えします。帝国書院では、新しい企画を立ち上げるとき、まず研究室というところで、企画の趣旨やどういったことができるか議論を重ねます。「探Q! 日本のひみつ」シリーズは、まず、青山邦彦さんに実際の街の絵を描いてもらって、その土地の様子をさぐる絵本を作るというコンセプトからスタートした企画なんです。研究室では、どんな内容なら青山さんの絵の魅力を100%引き出せるか、子どもたちに楽しんでもらう作品にするには、どんなことを取り上げたらいいか……いろいろ試行錯誤を重ねました。そして、最終的に「探Q! 日本のひみつ」シリーズの形が固まりました。

───大平原さんもそのとき、研究室のスタッフだったのですか?

帝国書院 大平原:いいえ。私は担当編集者として、研究室から企画が通った後、青山さんと打ち合わせして、絵本の中を改めて考えました。

───最初に研究室が検討して、その後、編集部で再度企画の打ち合わせを行うんですね。……なんだか、珍しい流れですね。

そうですね。そうして出版されたのが『探Q! 日本のひみつ 日本のきせつ』『探Q! 日本のひみつ 世界遺産』、『探Q! 日本のひみつ 日本のまつり』の3冊です。2010年のことでした。

───今から約6年前ですね。

帝国書院 大平原:その3冊がとても好評だったので、新たに『探Q! 日本のひみつ いろいろなしごと『探Q! 日本のひみつ 歴史あるまちなみ』を出版しました。

───どれも、青山さんの絵がふんだんに登場する、とても豪華な絵本だと思いました。青山さんは、帝国書院から「探Q! 日本のひみつ」シリーズの企画が来たとき、どう思いましたか?

最初は「とても大変な仕事が来た!」と思いました。それまでも絵本で建物や風景の俯瞰図など細かい絵を描いてきましたが、あくまでもファンタジーの要素が強いものでした。でも、今回は実際にある日本の風景や建物を描かなくてはいけない。正確さが要求される仕事だととても緊張しました。でも、大平原さんと打ち合わせを重ねるうちに、ただ風景を描くだけでなく、その土地に暮らす人々の姿を描いたり、仕事をする様子を描いたりと、忠実さの中にも想像力を膨らませて描くことができる場面が随所にあると分かり、がぜんやる気になりました。

───絵を描く前に、実際にその土地に行って、スケッチなどを行ったのでしょうか?

最初のうちは、資料だけ入手してインターネットの画像やグーグルアースの機能を使って調べて描いたのですが、当然、細かい部分などは分かりませんから、相当苦労しました。それ以降は、実際に現地に行って取材をしてから描いた方が、絵の臨場感も高まるということで、行けるところには取材に行って描くようになりました。でも、グーグルアースはそれ以降も絵の制作に使う、重要な制作ツールのひとつになりましたね。

───取材に行ったときは、写真やスケッチなどで記録しておくのですか?

ぼくはもっぱらカメラで動画を撮ります。写真だと奥行きがつかめず、重なりを間違えて描いてしまう危険があるんですよ。スケッチもできればいいんですが、1日何か所も取材に行く場合、1か所の時間がとても短いこともあり、落ち着いてスケッチすることができないんです。なので、動画を回します。「探Q! 日本のひみつ」シリーズには、カメラを持った私と取材チームが登場するページもあるんですよ。


取材チーム

───本当だ! カメラを構えている青山さんがいますね。このスーツ姿なのは……?

帝国書院のスタッフの皆さんです。これは演出でもなんでもなく、実際、どの取材現場にも帝国書院の人はスーツにネクタイ姿で来るんですよ。漁船の取材でもスーツで来て、漁師さんたちがみんなあきれていました(笑)。

───すごく目立つ取材チームですね(笑)。さがし絵の中でも見つけやすそうです。絵の中のどの人を探してもらうかなどは青山さんが考えているのですか?

構成はほとんど帝国書院の方が考えます。細かいところに対象となる人物を描いてほしいなど要望があるときは、結構苦労して描きますね。


さがし絵の部分。見つけにくいところにいるキャラクターもいるので、しっかり見る力も養われます。

───建物や自然はもちろん、人物の細かいところまで描き込まれていて、何度見ても新しい発見があるのですが、原画はどのくらいの大きさで描いているのですか?

本のサイズとそれほど変わりませんよ。1.2倍くらい大きく描いています。

───画材はどんなものを使っているのですか?

最近、こういう細かい絵をデジタルで描く人もいますが、ぼくは絵本作家になってから今までずっと手描きで描いています。画材もごくごく一般的な水彩絵の具です。

───手描きなんですね。すごい……。石垣とか屋根の瓦とか、気が遠くなりそうです。先ほど、絵本の中に青山さん自身も登場していると伺いましたが、そのほかに隠れキャラはいますか?

うーーーん……。強いて言うなら「河童」かな?

───河童ですか?

これも帝国書院の方からのリクエストで描いたのですが、水のある場面には河童がいるものもあります。


隠れキャラのカッパは、シリーズ最多出場? 

───それはすごい! 探してみます。

今、あなたにオススメ

出版社おすすめ



えほん新定番 from 好書好日さこももみさん
【絵本ナビ厳選】特別な絵本・児童書セット

青山邦彦(あおやまくにひこ)

  • 東京生まれ。建築設計事務所勤務を経て、絵本作家となる。2002年ボローニャ国際絵本原画展、ノンフィクション部門入選。第20回ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)出展。主な作品に『ドワーフじいさんのいえづくり』『いたずらゴブリンしろ』(フレーベル館)、『おおきなやかたのものがたり』(PHP研究所)、『むしのおんがくがっこう』(あかね書房)、『たのしいたてもの』(教育画劇)などがある
全ページためしよみ
年齢別絵本セット