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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2011.09.21

蜂飼耳さん、牧野千穂さん
『うきわねこ』インタビュー

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小学生のときの夢が「絵本作家になる」だった2人

─── 蜂飼さんは詩人として、牧野さんはイラストレーターとしてそれぞれの分野でも活躍されていますが、元々絵本に興味があったのですか?

蜂飼耳さんと牧野千穂さん 蜂飼:実は私、小学生1、2年生のころには「将来、絵本作家になりたい」と思っていたんですよ。それで白い画用紙を半分に折って、自分で絵本を作ったりしてました。絵は全然かけないんですけどね…。なので、絵本が自分の原点という感じなんです。

牧野:本当ですか!? 私も小学校6年生のときの文集で「将来、絵本作家になりたい」って書いてました。その頃、私は作文がすごく苦手だったんですけど、絵は好きで描いていたんです。イラストレーターなんて職業も知らなかったから、絵で喜んでもらえるって仕事って言って思いつくのが、「絵本作家」かな、と(笑)。

─── そんなお二人が一緒に作品を作ることになるなんて、すごく素敵な出会いですね!蜂飼さんは、文章を書かれるときに小さかった頃を思い出して書いているんですか?

蜂飼:私は、子どもに向けた作品を作るときは、自分が子どもだった時の感覚、言葉に寄せて書いているイメージはありますね。それは制約を設けるということではなくて、子どもが分かる範囲で、言い回しや表現を考えながら言葉を選ぶことで…、大人のための小説や詩を書くときとは違った喜びを感じますね。難しさももちろんありますが、その中で冒険をするような感覚でワクワクするんです。

─── 牧野さんにとって『うきわねこ』は、はじめての絵本となった訳ですが、周りの反応や感想を聞いたりしますか?

牧野:うちには子どもが2人いて、上が中学2年生の男の子で、下が小学校4年生の女の子なんですが、ちょうどこのお話をいただいたときは、下の子がまだ幼稚園だったんです。
その頃は年齢的にもすごく絵本に興味があって、私が編集部にラフを見せに行くたびに「できた?できた?」って嬉しそうに聞きに来てたんです。でも、あっという間に育ってしまって…(笑)。絵本が完成する頃には「良かったね〜」と(笑)。
娘は、読者というよりも、『うきわねこ』を一番そばで見守ってくれた人になってましたね。

蜂飼:私は読んだ方から「なんでうきわが使えるのが1回だけなの?」と聞かれましたね。もっと飛んだら良いのにって。あと、「自分もうきわがほしい」、「うちの子が部屋でうきわで遊ぶようになりました」という感想もいただきました(笑)。

「うきわねこ」の謎。おじいちゃんと孫の関係。

牧野:おじいちゃんも小さい頃にうきわで冒険をしたんじゃないかって言う感想もあるんですが、どうなんですか?

蜂飼:最初、おじいちゃんからの手紙の中で「このうきわを作れるのは世界で2人だけです」って書いてあったんですけど、2人っていう意味合いが良く分からなくて、やめたんですね。でも、それを書いていた時点ですでに「珍しいうきわ」ってイメージはあったんですよ。でも唯一じゃなくて、2人くらいは持っている人がいるっていう。もしかしたら、もっとあるかもしれない…(笑)。 今、自分で振り返ってみると、タイトルを「うきわねこ」としたのは、おじいちゃんのことも含めてってことなんですよね

蜂飼耳さんと牧野千穂さん 牧野:私は読んでいて、おじいちゃんも以前、うきわで空を飛んでたと思うんですよね。でないと、空でいきなり「よお!」とかないと思うんですよ。釣りをする気満々だし、恐竜が出てきても驚かないし…(笑

蜂飼:おじいちゃんの「1回しか飛べない」っていうのも、本当かどうか分からないですよね。しまっておいて、えびおが大人になってあけてみたら飛べちゃった…ということが起こらないとは限らない…(笑)。
おじいちゃんが限定するような言葉を選んだのは、「2人だけの秘密の旅」、「一晩の冒険」という意味合いで言ったんじゃないかと思うんですよ。
飛べるか飛べないかより、おじいちゃんとえびおが2人で交わした言葉や体験を、えびおにしっかりとどめてほしい、覚えていてもらいたいという思いでおじいちゃんは言っていんだと思います。

牧野:「おじいちゃんと」っていうのは特別な感じがしますよね。親じゃなくておじいちゃんなんですよね…。

蜂飼:このおはなしは、お父さんお母さんの手元を離れての初めての冒険みたいな部分もあるんですよね。その案内役がおじいちゃんなんです。

─── うちの息子も祖父と仲が良くて、祖父も孫と通じ合っているというか、一緒にいるとすごくやわらかい気持ちになれるようで、不思議だなぁって思いますね。
長い期間をかけて、お二人の作品が出来上がりましたが、今後についてお伺いしてもいいですか?

ブロンズ新社 編集部:現在の2作目の絵本が進行中です。主人公がどんな動物になるかは、まだ未定です。

蜂飼:今、キャラクターが出てくるのを待っています(笑)。
(牧野さんに)もう少し待っていてくださいね。

牧野:はい。次はどんなお話を描くことができるのか、すごく楽しみです。それと、10月6日から11月2日まで、ブックハウス神保町で『うきわねこ』の原画展も行われます!

─── 本当ですか!
この素晴らしい原画が見れる機会があるなんて!是非、沢山の方に見てほしいですね。
今日は本当にありがとうございました。

記念撮影

最後に編集長と担当編集者のお二人にもお話を伺いました。蜂飼さんと牧野さん、お二人の出会いには不思議なご縁があったようで…(次ページへ)

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蜂飼 耳

  • 詩人・作家。1974年、神奈川県生まれ。
  • 詩を中心に、小説、エッセイ、児童文学など、さまざまなジャンルで活躍。
  • 2000年、詩集『いまにもうるおっていく陣地』(紫陽社)で第5回中原中也賞、2006年、詩集『食うものは食われる夜』(思潮社)で第56回芸術選奨新人賞受賞。主な著書に、詩集『隠す葉』(思潮社)、エッセイ『孔雀の羽の目がみてる』、『空を引き寄せる石』(ともに白泉社)、『秘密のおこない』(毎日新聞社)、小説『紅水晶』(講談社)、『転身』(集英社)、絵本『ひとりぐらしののぞみさん』(絵・大野八生/径書房)、「イソップ絵本」全5巻(岩崎書店)、童話『のろのろひつじとせかせかひつじ』(絵・ミヤハラヨウコ/理論社)などがある。

牧野 千穂

  • 画家。1965年、福岡県生まれ。
  • ステーショナリーメーカーの商品企画デザイナーを経て画家となる。パステル画で描きだされる独特の世界にはファンが多く、日本文学から海外文学、児童書まで、書籍の装画や挿絵を数多く手がけている。2009年、「魔法使いの弟子たち」(作・井上夢人)他で第40回講談社出版文化賞受賞。主な装画の仕事に、『34丁目の奇跡』(作・ヴァレンタイン・デイヴィス/あすなろ書房)、『宇宙への秘密の鍵』(作・ルーシー&スティーヴン・ホーキング/岩崎書店)、児童書に『犬と私の10の約束 バニラとみもの物語』(文・さとうまきこ/ポプラ社)などがある。

作品紹介

うきわねこ
作:蜂飼 耳
絵:牧野 千穂
出版社:ブロンズ新社


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