森の大きな木の穴に、四つ子の子リスがすんでいます。
いたずらっこのはるくん、おてんばなっちゃん、あまえんぼうのあっくん、こわがりのふうちゃんです。
ある日、「のこったのこった!」「がんばれー!」と外から大きな声が聞こえてくるので、はるくんとなっちゃんは巣穴を飛び出しました。
きょうは森のなかで人間の子どもたちが大勢あつまって、おすもう大会をしているようです。
いつもはしずかな森に子どもたちの元気な声がひびきます。
「あのかけ声はなあに?」「おすもうってどうやるの?」
はるくんとなっちゃんがたずねると、おかあさんは、おすもうのやり方をおしえてくれました。
おかあさんリスも、子どもの頃、おすもうをして遊んだのだそうです。
きりっとかまえて、腰をおとして、みあってみあってー。
おぉっ、おかあさん、かっこいい!
さっそく真似して、おすもうをとってみることにしたはるくん。
けれど、力のあるなっちゃんに、あっさり負けてしまいます。
くやしくてたまらないはるくんは、あっくんたちを相手に練習開始!
さて、なっちゃんに勝つことができるのでしょうか……?
自然写真家の西村豊さんが、幸運にも、一生に一度見ることができるかどうかというほど貴重なニホンリスの子どもたちが取っ組み合って遊ぶ場面をカメラでとらえた、写真絵本です。
四つ子たちが切り株の土俵のうえで本当に「おすもう」をする姿には、びっくり!
ただひたすらに体ごとぶつかり、全身で遊ぶニホンリスたちの写真から伝わってくるのは、生命体そのもののすがすがしさです。
かつては日本のあちこちにいたのに、地域によっては絶滅したといわれるニホンリス。
器用そうな手、ふさふさの尻尾、くりっとした黒い目など、森のなかでかわいいリス一家を見つめる気持ちで写真絵本を楽しんでくださいね。
「吹き出し」で書かれているリスたちのおしゃべりも楽しいですよ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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