お母さんを探す時、子どもはどんな特徴を「お母さんだけのマーク」にして探し出しているのでしょうか? そして、そのマークが無くなったら?
そんな風にちょっぴり変わった視点から、親子の絆を捉えたおはなしです。
「マスクをしちゃうと、ぼく、外が見えなくてつまんないんだよーっ」
そういって、逃げ出したのは、お母さんの顔のシミであるシミちゃん。マスクをしていて、シミがないことに気付かないお母さんは信じてくれず、そのまま外出しますが、マーくんはシミちゃんを追いかけていきました。ところが、ハプニングが続出!
すばしっこいシミちゃん、追いかけるのも大変です。柴犬のガンコのしっぽ、ミキナちゃんのハンカチ、大きな蜂! それでも、マーくんはあの手この手でがんばりますが、いったいどうなるのでしょうか?
ハラハラドキドキの連続で、読み聞かせはもちろん、ひとり読みを始めたばかりのお子さんも、ついつい気になって読み進めてしまう展開がお見事! イラストは絵探しもできるヒントが散りばめられていて、それぞれの場面でシミちゃんの隠れている場所を見つけるのも楽しみに。
でも、なぜ、マーくんはシミちゃんを追いかけるのでしょうか? そこには、お母さんとの深ーい絆がありました。
マスク生活だからこそ紡がれた物語では、普通ならやっかい者扱いされる顔のシミが、素敵な存在感で描かれています。マーくんとお母さんそれぞれの、シミちゃんへの思いを通して、親子の絆もそっと気づかせてくれます。
(中村康子 子どもの本コーディネーター)
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お母さんの顔からシミが逃げ出しちゃった!?
小学校1年生のマーくんのくらすまちでは、さいきん、びょうきがはやっています。じつは、マーくんのまちだけでなく、くにじゅう、せかいじゅうでおなじびょうきがはやっていて、でかけるときは、いつもマスクをつけなくてはなりません。そんなある日、マーくんのお母さんがマスクをつけようとすると、右のほっぺたについているシミが、つるんとすべりおちました。シミから手と足がにょきっとはえて、目と口がうかびあがり……、シミちゃんとなったシミは、「マスクをしちゃうと、外が見えなくてつまんない」と言って、逃げ出してしまいます。お母さんのほっぺたにあるあまつぶみたいなシミが大好きだったマーくんは、必死にシミちゃんをおいかけますが……
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