小さくてかわいい妹だけど、いつも好きっていうわけにいかない……。お姉ちゃんにとってみれば「ある、ある」とうなずきたくなるこの気持ち。メアリー・ケイだってそうなんです。
スザンヌという小さな妹がいますが、ブランコ遊びは押してやらなきゃいけないし、お人形遊びもお茶をこぼしてめちゃくちゃにしてしまうばかり。
「もう、いや!」と叫んだメアリー・ケイは、スザンヌを自分の部屋に入らせないように、イスやおもちゃで高い壁を作ります。うまくいったのも束の間、スザンヌが泣き出すとママが飛んできて、壁をどけるように言います。せっかく邪魔されずに遊んでいたのに……。「そうだ、スザンヌをだれかにあげちゃおう」と考えたメアリー・ケイは……?
子どもらしい思いつきで、大人たちに妹を紹介するメアリー・ケイのかいがいしさに笑ってしまいます。誰かのペットととりかえっこしてもらえれば、なんて(大人からすればとんでもないことを)考えますが、犬やオウムは世話が大変そう。でもトゥルーディおばさんの金魚ならいいかも!? さあ、メアリー・ケイはうまく自分だけの幸せな自由時間を持てるのでしょうか。ママたちはそれを許してくれるのでしょうか?
読み聞かせは年長さんくらい、ひとり読みには小学校1、2年生くらいにおすすめの幼年童話。メアリー・ケイの気持ちは、発達著しい5〜7歳頃の子にはきっと自然なもの。それをトゥルーディおばさん始め、大人たちが頭ごなしに否定しないのがいい感じです。
1934年生まれのアメリカの作家で、YA向けの作品も多いロイス・ダンカンによる原作が元になっていますが、テーマは今もちっとも古びません。悩むお姉ちゃんの気持ちを生き生きと訳したのは児童文学や絵本を多数翻訳する小宮由さん。さらに本書の魅力は、すべてのページにある平澤朋子さんの挿絵がとってもかわいいこと! メアリー・ケイとスザンヌ、二人の関係や成長を、文と絵で楽しく味わえる作品です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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