
夕方になると、公園で遊んでいた子どもたちは家に帰っていきます。そんな様子を見ながら、遊具のパンダはつぶやきます。
「いいなぁ いいなぁ ぼくも かえって みたいなぁ」
パンダはぴょんぴょんと公園の外へ出て、男の子に一緒に帰りたいと声をかけます。パンダは男の子を背中を乗せて、ぴょーんぴょーん。あっという間に到着すると、男の子は「ただいまー」と家に入っていきます。
「『ただいま』って なに?」
ただいまの意味を知らないパンダは、窓の外からしばらく家の様子をながめていましたが……。
当たり前だと思っていたことも、初めて公園を出たパンダにとっては、新鮮な驚きでいっぱい。なにしろ「帰ったこと」も「ただいま」と声をかけたこともなかったのですから。
nakabanさんの描く夕暮れ時の景色には、帰り道のほんのりとしたさみしさや、どこかから漂ってくる夕食のにおい、もうすぐ家に着くワクワクがつまっていて、あの頃の自分の記憶がよみがえってくるようです。
子どもたちはもちろん、大人が読んでいても、何気なく過ごしていた自分の毎日が愛おしくなってくる、そんな心温まる絵本お話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)


「じゃあね」「さよなら」
夕方、公園で遊んでいたこどもたちが家に帰っていきます。 「いいなぁ いいなぁ」 遊具のパンダは他の遊具が止めるのも聞かず、ぴょんぴょんと公園外に出ていってしまいました。
「ぼくもいっしょにかえっていい?」「みんなあそぶのやめてまでかえるんだからすごくたのしいことがあるんでしょ」と、一人のおとこのこを背中に乗せて、ぴょーんとその子の家へと向かいます。
「ただいまー」とおとこのこ。 (ただいまってなんだろう)。 パンダはおとこのこが入った家の窓から中をのぞいていると、ごはんをつくるママ。仕事から帰ったパパと三人で食卓を囲む楽しそうな姿が。パンダは急に公園に帰りたくなり・・・。
ふだん何気なくしている、大切なことに気づく心温まるお話。 続きを読む
|