
夏の山で出会った小さな動物、おこじょ。茶色い体だったおこじょは、雪が降る頃になると毛が白くなるのだと山小屋の人に聞き、ぼくは秋になるとおこじょに手紙を書いてみたのです。
「おこじょは、もう しろくなったかな?」
窓辺にとまったすずめに届けてとお願いしてみると、すずめは手紙をくわえて飛び立っていきました。
けれどあんまり手紙が大きいので、すずめはからすに手紙を渡します。そのからすは、おこじょの住んでいるところを知っていそうなねずみに渡し、川を渡れないのでたぬきに託し、そのたぬきは……。手紙は無事におこじょのところまで届くのでしょうか?
まぶしい光を浴びて輝く夏の山、夕暮れの町、豊かに彩られた秋の木々、そして真っ白な雪。どこまでも淡く優しい風合いで描かれた自然の背景の中に、ぽつんと存在するおこじょの愛らしさと言ったら! 手紙を託された動物たちの頼もしい姿も見逃せません。
ふと手元に届いた一通の手紙。この手紙はいったいどこからどうやって来たのだろう。今後、そんな想像の広がりをじっくり味わう楽しみが増えそうですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

夏の山で出会ったおこじょが、冬になると毛が白くなると知った男の子。気になって手紙を書いて、窓辺にとまったすずめにとどけてとお願いしてみると、くわえて飛んでいってくれた。でも、手紙が重すぎたすずめはからすに手紙をわたし、からすはおこじょの居場所を知らないのでどぶねずみにわたし、どぶねずみは大きな川がわたれないのでたぬきにわたして…。いろんな動物たちができるところまでつないで手紙を運んでいくお話。
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