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去年の秋口に出版社からの新作お知らせメールにこの本が紹介されていて、これだ!と、思っていました。 
でも、ゆっくり読みたかったので、なかなか手を出せずにいました。 
 
短い短編集をまとめられたものでしたが、 
とても読みやすくて、描かれている世界の情景が目に見えるようでした。 
そして、安房直子さんの作品と共通する雰囲気を持ってしました。 
確かに、全然今風ではありませんが、山間の村のすごく日常的なあれやこれやを、優しい目線で物語られている素敵な作品集でした。 
 
ご自身も、ご両親も、のちに一緒になったご主人も先生だったので、 
学校で起きた様々出来事をつづっている作品も多くありました。 
中でも胸にズシンときた作品は『オンタケのアゲハチョウ』! 
どなたがモデルだったのか、実際に起こったことだったのかはわかりませんが、 
ここの登場するナカツバラ先生は人間としても、先生としても素敵なかたでした。こんな先生が今もいたらいいのになと、思います。 
 
『童話名作集』などとかしこまったタイトルで、 
表紙絵もどちらかというと、宮口さんの作品のイメージを大事にされ、作られているようなので、 
今の子どもたちにはちょっと手に取りにくいタイプの本かもしれません。 
でも、1話1話はとても心に響いてくる作品が多いです。 
低学年のお子さんには少し難しいかもしれませんが、高学年から中学生・高校生、また安房作品が好きなかたにもお薦めです! 
機会があったら、ぜひブックトークしてみたい作品です。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子14歳、女の子9歳)
		
		
        
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