いっくん、にっくん、さっちゃん、よっちゃん、ごうくん…。
お馴染みの10兄弟にお父さん、お母さん、おじいさん、おばあさん。
雑木林で暮らす14ひきの野ねずみ家族の様子を描いたのが、1983年のスタート以来、今も愛され続けている「14ひき」シリーズです。2013年で30周年、この絵本を読んで育った方がもう親になる世代となっているんですね。
このシリーズが描き出しているのは、まずは何と言っても画面いっぱいに広がる美しい自然。野ねずみたちの視線を通して見えてくる四季折々の木々や草花は新鮮な輝きに満ちていて、まるでそこにいるかの様に錯覚するくらいの感覚で目に飛び込んでくるのです。
そして、その四季折々の自然に溶け込むように描かれているのが「14ひき」の大家族のいきいきとした姿です。力を合わせて家を作り、家族みんなで食卓を囲み、喜びを分かち合います。子どもたちは野原を遊びまわり、大人たちはそれぞれ役目を持ちしっかりと働きます。
「人にとって幸せの原点は“家族”と“自然”のなかにある。その幸せを描いたのが、14ひき」
作者のいわむらかずおさんは言います。
30年の間変わらずに、絵本を開けばそこに14ひきの家族は暮らしているのです。読者によって、「14ひき」は自分の家族と重なるようであり、また憧れであり、自分だけの友だちであるのかもしれません。
今もう一度「14ひき」の家族に出会いたくなった方。そして初めて「14ひき」の家族に触れ合う小さな子どもたち。30周年を記念して、どちらの読者にもぴったりで可愛い「ポケットえほん」が発売となりました。オリジナルのクオリティーそのままに、ポケットサイズでもこだわりの製本となっています。まずは『ひっこし』『あさごはん』『やまいも』の3冊セットから。お出かけにもプレゼントにも自信を持っておすすめします!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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