ひつじの男の子のラリーは、遠くに住むおばあちゃんが泊りがけで遊びにきても、あんまり嬉しくないのです。
こんなことは誰にも言えない、でもどうしてなのでしょう。
おばあちゃんはラリーのことを「かわいい、かわいい」って何度も言うし、教会では大きな花飾りのついた帽子とスカートをはいて、誰よりも大きな声で歌う。おまけにきゅっ、きゅっ、きゅっと手を3回にぎって、秘密の握手をするのです。「だい・すき・よ」っていう意味なんだって。
なんとなくわかるかも。おばあちゃんはまるで自分の知っている大人たちと違うし、大好きだって何回も言われたら恥ずかしいし。なんていうか、自分のペースがくるっちゃう。
そんなおばあちゃんが帰るという前の晩のこと。ラリーが住む「ひつじがおか」に夏の嵐がふきあれて、屋根に穴があいてしまったのです。おばあちゃんったら、お茶なんか飲んで平然としてる。
「こわがってるひまなんか、ないわ。これから、やることがいっぱいあるのよ!」
そこからの活躍ぶりときたら…。
ラリーがすっかりおばあちゃんのことを大好きになってしまう、その間には何があったのでしょう。
子どもの素直な気持ち、心の動きを丁寧に優しく描き出した心あたたまる物語です。
読み終わった頃にはきっとみんなもおばあちゃんが好きになっちゃうはず。
『もう、おおきいから なかないよ』の作者ケイト・クライスとM・サラ・クライス姉妹による、
主人公の男の子、ラリーがとっても可愛い絵本です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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