「あかん、んが なきゃ」「ごはんも ごは」
もう脇役ではいられない!
「ん」が主役の絵本ができました。
・作/長田弘さんからのメッセージ
「ん」はとてもふしぎな言葉。辞書をひいても、きれいさっぱり何の意味もありません。ところが、ところが、口にだしてみると、たった1つで、これほどさまざまにゆたかな意味合いをもつ言葉はありません。
れっきとした日本語なのに、いろはに47字にも、あいうえ50音にもなく、はみだし、おまけ、みたいにされてきたのに、どうして、どうして、たった1つで、これほどさまざまにゆたかな表情をあらわす言葉はありません。
しりとりは、「ん」で終わる言葉を口にしたら負け。しかし、この絵本では、たくさん「ん」を口にしたほうが勝ち。だから、おおきな声で読んでください。どうかたくさんの「ん(運)」にめぐまれますように。「んだ、んだ(そうだ、そうだ)」(ふるさと福島の代表的な方言)。
絵/山村浩二さんからのメッセージ
長田さんの詩を読んだとき、顔の表情だけで絵本ができる!とすぐにイメージしましたが、はじめのスケッチは、丸い顔の輪郭を描いていました。束見本に ラフを描いていた時、本そのものが顔というアイデアを思いつき、実験的すぎるかなと思いましたが、長田さんと編集さんに気に入っていただき、基本の形ができました。
いいコンディションで描けるタイミングを待って、仕上げは一気に描きました。「ん」の表情を、意図的にならず自然に描くために、うまく気を抜きながら、でも気持ちを込めて。これまで手がけた絵本のなかで最もシンプルで実験的な絵本に仕上がりとても嬉しいです。
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