ふくしまからきた子」 パパの声

ふくしまからきた子 作:松本猛 松本 春野
絵:松本 春野
出版社:岩崎書店 岩崎書店の特集ページがあります!
税込価格:\1,430
発行日:2012年04月01日
ISBN:9784265081103
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  • ふくしまの意味

    福島から転校してきた女の子のまやと、広島に暮らすだいじゅ。
    福島から転校してきたというだけで、何を意味するかが解ってしまうほど「ふくしま」はとても意味のある場所になってしまいました。
    ごく普通の女の子だけど、ごく普通の家庭で生活することができず、家族はわかれて非難生活。
    何年経ったら帰れるのかも解らないのに、見た目には何事もなかったような廃墟の福島。
    突然に避難勧告を受けた、不意の事故でした。
    さりげなく描かれている、まやとは別の親戚と共に暮らす老父母のことを考えると、あきらめようのない災害に対する悲しみがこみ上げてきます。
    広島に暮らすだいじゅには、遠い昔になってしまったけれど、広島で原爆を被爆した祖全がありました。
    子ども同士のさりげないふれあいの仲に、二つの事実を埋め込んで、平穏でありながら、とても意味深いお話になっています。
    原発反対の世相と、それに対峙するように原発再開の話が出てきている今、被害者はごく普通の国民であることを忘れてはいけないと感じます。
    あとがきに、作者は思いを込めて長文を加えましたが、本文は抑制力のある素朴なお話。
    読者に考えを押し付けるのではなく、問題提起となっているように思いました。

    投稿日:2012/06/15

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  • 七代先の子どもたちへ

     自分の先祖を順番に並べたら、たかだか5人ぐらい前で江戸時代あたりの先祖になるのだろうか。
     私の前が父母で、その前には祖父祖母、その前が曾祖父母。このあたりになるとすでにどんな人だかわからない。
     人類の歴史などと大仰にいっても、その程度なのだ。
     本書の作者で、画家いさわきちひろの子どもである松本猛さんがこの絵本の終わりに、「七代先のことを考えて判断しなさい」というアメリカ先住民の言葉を紹介しているが、七代先とは言葉でいえば簡単だが、実は途方もないくらいの年数ということだ。

     ヒロシマやナガサキの原爆からでもせいぜい三世代前といえる。
     たったそれだけの年数なのに、この国は原子力発電を容認し、拡大していったわけである。そして、東日本大震災による東京電力福島原発での事故。
     それは、「まさか」であったのか、「やっぱり」であったのか。
     高度成長期のこの国は豊かさを国民にもたらしたが、その一方で「七代先のことを考える」ことはしなかったのだ。

     松本猛とその娘である松本春野の共作となったこの絵本は、原発事故によって福島から広島に避難してきた一人の少女と同級生となったサッカー好きの少年の物語だ。
     ひとり仲間にはいらない「ふくしまからきた子」、まや。
     彼女のことが気になるだいじゅ少年は家で彼女の事情をきいてみる。
     放射能、原爆、避難。ヒロシマとフクシマ。
     その夜、少年は母の背にしがみついて泣くまやの姿を見る。

     子どもたちに罪はない。
     「七代先のことを考え」なかった大人たちの責任だそのことをきちんと伝えていくことが、今の私たちの大きな課題といっていい。
     物語であれ、ノンフィクションであれ、本書のような絵本であれ、子どもたちに、「七代先」の子孫たちに、伝えていくことがどんな大事なことか。

     そういえば、この絵本で絵を担当した松本春野はいわさきちひろから二代めにあたる。祖母ちひろの柔らかなやさしさを受け継いでいるようなタッチの絵が、いい。

    投稿日:2017/03/12

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