子供の頃読んで、とても恐ろしかった印象のある絵本です。
ライオン、黒ヒョウの恐怖がとてもリアルで、『命の危機』という臨場感が、とても印象的でした。
私自身が、とても怖い絵本だという認識があったため、なかなか、娘にも読み聞かせする機会がなかったのですが・・・。
大人になって、娘のために読み聞かせすると、子供の頃、どうしてあんなに怖かったのか、理解できた気がしました。
勇気とは何か。
強いとは、どうゆうことか。
優しさとは何か。
『本当に強い人は優しい人』とよく言いますが、まさにそれを体現しているのがエルフなのでしょう。
本当に、強く、優しく、勇気のあるエルフ。
仲間を守るため、身を挺して戦うが、その結果、片足になってしまう。
最初は餌を持ってきてくれる仲間たちが、時間と共に、だんだん彼を忘れて行く・・・。
『みんな、どうしてエルフのことを忘れちゃうの? エルフに助けてもらったんだから、今度はみんなが弱っているエルフを助ける番じゃないの!』と、叫びたくなりますが、きっと、これが現実なのだろう、と感じました。
『みんながエルフを助けて、幸せに暮らしました』で終わらないこの絵本のリアルさが、まるで、人間の社会の現実のような気がします。
みんなが自分を忘れていく中、エルフはどんな気持ちで石を食べていたのか・・・?
片足で戦うエルフに、援護しようという仲間はいなかったのか?
エルフは、木になって幸せだったんだろうか・・・?
『優しいエルフ、立派なエルフ』と感動できないのは、やはり、子供の頃に読んで怖かったという、ネガティブなイメージが、この絵本にあるからかもしれません。
大人になっても、いろいろ考えさせられる絵本です。