ロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリの『鼻』をモチーフに創作された作品だそうです。
牧野先生の手によって、子ども向けにわかりやすく、ユーモアたっぷりに表現されています。
原作の主人公コワリョーフ(成り上がりものの自称少佐)が、癇癪持ちで横暴な権威主義者の市長コワフとして、お話が再生しています。
ある日、コワフ市長の鼻が顔から消え、ずかずかと入ったパン屋の鏡で今一度顔を確認していると、店の一つのパンの中から、ハットをかぶり、礼服をつけた自分の鼻が紳士然として出てきた。
鼻紳士を追いかけるハンカチで顔を隠したコワフ市長。
町の至る所で、人望を集めていく良心の固まりのような鼻紳士。
市長の指名手配書に誰も協力せず、両者の立場は逆転の状況へ…。
コワフの自省のシーンにほっとし、その後のエンディングに息子も笑いながら「よかった。よかった。」
とにかく、原作より面白い!
ストーリーに起伏があり、読者をドキドキさせてくれます。
さらに、絵が、本当に楽しい。
鼻紳士を追いかける通りのページは、コワフ市長が人の鼻にばかり目が奪われているのがよくわかります。
鼻紳士の町での活躍も、可愛らしく見えてくるから面白い。
鼻パン大ヒットのページも大爆笑。
なんといっても、ラスト前のコワフ市長に鼻が戻り、鏡の前で喜び涙を流しているページに、申し訳ないけれど、ワッハッハでした。