村でいちばんの年寄りで、ふるさとをじっと守り、
何もかもを見てきたちいさなこまいぬと、
こまいぬを心のよりどころにしてきた村の人々の静かな交流の物語。
こまいぬの石のような、でも、ところどころ砂壁のようなタッチの、
重く沈んだ色彩の中の静かな挿絵がとても素敵。
村の時のうつりかわりをすべて目にやきつけてきたこまいぬの、
大きな大きな目が印象的でした。
何も言わないけれど、存在感をしっかりと感じるような
こまいぬ。いつもはまっすぐ正面を向いているこまいぬが、
時々、天を仰ぐような場面が静かで美しい絵に、
胸がキュッとしました。