韓国の絵本作家チョン・ジンホさんの絵本『うえをみて!』は、
よく見かける絵本とは少し違う判型をしている。
A4変型、高さ30センチとある。
ちょうどスポーツタオルの幅ぐらいだろうか、長さが半分で。
変型ではあるが、それがこの絵本にはあっている。
建物の上階から下の歩道を見下ろしている構図がずっと続く。
見ているのは、スジという子ども。
スジは家族旅行の途中で、車のタイヤがとれる事故にあい、歩けなくなった。
だから、下の歩道にはなかなか降りられない。
スジがみている世界は、まるでアリの世界。
「まっくろあたまがみえるだけ。」
歩道を歩く人は上から見ているスジに気がつかない。
だから、「うえをみて!」。
ある時、ひとりの人がスジに気がついてくれる。
で、歩道に寝転んでくれた。
スジはあたまだけでなく、人全体がようやく見れた。
しだいに歩道には寝転がっている人が増えていく。
みんな、上で見ているスジのため。
ここまではモノクロの世界。
上階から見下ろす構図は変わらないが、最後に少し色がつく。
歩道の植木にピンクの花が咲き、色とりどりの風船の束。
よく見ると、車椅子があって、その横に親子がいる。
これって、スジ?
最後のページにある希望の色を見つけて下さい。
訳は韓国語の人気翻訳者、斎藤真理子さん。