1986年のコールデコット賞オナー賞受賞作品。
現在重版未定というのが残念です。
オードリー・ウッド/作、ドン・ウッド/絵という夫婦による作品です。
物語は、お風呂から出ない王様を、何とか誘い出そうとするお話。
貴族達は、あの手この手を使います。
戦争をしましょうと言って入った騎士は、お風呂場で戦争ごっこをするのですが、それが実に精緻に描かれたもの。
次のお妃様の提案は、お昼ご飯にしようというものなのですが、今度はお風呂場が食卓に変身してしまいます。
そんな奇想天外な出来事がお風呂場で展開するのですが、そのシーンの絵が実に楽しいものです。
最後のオチは、なぁ〜んだという感はあるのですが、納得できるエンディングでした。
宮廷を描いた絵は、重厚感に溢れたもの。
色合いが一寸暗めな感はありますが、その色調は、その時代を象徴しているような感覚にとらわれます。
また、貴族の表情が豊かで、喜劇の舞台を見ているかのようでした。
文章は短くリズミカル。
読み手として、喜劇役者のように語ると尚一層盛り上がる作品だと思います。