いまがいい
- 作:
- たかだしんいち
2022年11月発刊の『いまがいい』は前作『しってるよ』に続く親子のあるある絵本。卵を割りたいという子どもに「今度ね」というお母さん、自転車に乗りたいという子どもに「大きくなったらね」というお父さん。「今やりたいこと」に対してつい後回しにする返答が重なり、とうとう子どもが怒りを爆発させてしまう…!こんなことってよくありませんか?
小さな子にはできないことが多いなか、どうやって「今やりたい」に応じるのか。親目線でも子ども目線でも「あるある」の一冊です。
この人にインタビューしました
1965年生まれ。東京都出身。『さるの尾はなぜみじかい』『こおにのくもづくり』で2014年Hearts Art in Saitama-色彩と明暗-にほんのえほん展で金賞受賞。前記作品に『ある はかせ』を加えた三作品で2015年Hearts Art in TOKYOエイズチャリティー美術展公益社団法人東京都医師会賞受賞。IKEの会所属。
――『いまがいい』の主人公は前作『しってるよ』であかちゃんだったあの子!どんな子に成長していますか?
前作から一年半後の設定で、3歳から4歳ぐらいの何にでも興味を持つ女の子をイメージしています。お母さんが大好きで、お母さんのやること、言うこと、なんでも良く観察しています。
――絵本のなかではたくさんの「いまやりたい!」が出てきます。この話題をとりあげた背景を教えてください。
絵本を創ろうと考え始めた頃、児童精神科医の佐々木正美先生の著書の中で
生まれてから、ほんの数年しか経っていない子どもに「あとでね」「また今度」「大きくなったらね」なんていってみても、それがどのぐらい先のことなのか理解できません。
といった趣旨の文章を読みました。
自分の子どもとの関係の中で、毎日のように使ってきた言葉がどれほど的外れな言葉だったのか…
今を生きる子どもたち。そして子と向き合うお母さん、お父さんに私と同じ気持ちにはなってほしくないなとの思いをテーマとしました。
お兄ちゃんと同じように自転車に乗りたい主人公。お兄ちゃんやお姉ちゃんがやっていることって、自分もやってみたくなりますよね。by 編集部
――主人公が手にかかえているあの魅力的な人形について教えてください!
魅力的でしょうか?
モデルは幼い頃によく泊まりに行っていた親戚の家の女の子が肌身離さず持っていたぬいぐるみです。意地悪な私はよくそのぬいぐるみを奪い取ったり、放り投げたり、隠したりしていました。
50年以上前の話ですので記憶が曖昧で見た目は似ていないかと思います。
とてもかわいいです…!by 編集部
――見返しには主人公たちがくらす町が描かれています。どんな町か教えてください。
生まれ育った国立のイメージは駅舎の屋根や街の区画になっていますが、場所は長野や山梨かなと考えながら描いていました。
里山や流れの緩やかな河川のある緑豊かな空想の場所です。
親子がのびのびと成長していく物語の舞台として、コンパクトに色々(学校や商店、町役場など)詰め込んでみました。
橋を渡った先が公園です!by 編集部
――さいごに、読者の方に一言お願いします。
先日頂いた感想文の中で、
普段は「いまがいい」の気持ちを抑えるのが難しい子が、読み聞かせ後「あとでも良いのにね」と言っていたとの話があり、作者として嬉しくなりました。
親子それぞれの立場で率直なご感想を発信お願いいたします。
たかだしんいちさん、ありがとうございました!『しってるよ』に続き、親目線でも子ども目線でも楽しい一作、是非お手に取ってみてください。by 編集部
ブックハウスカフェ内ギャラリーこまどり にて、たかだしんいちさんの「いまがいい」絵本原画展が開催されます。是非お立ち寄りください。
「いまがいい」絵本原画展
期 間:2023年1月4日(水)〜2023年1月10日(火) 会期中無休
時 間:11:00〜18:00(最終日は17:00まで)
会 場:ブックハウスカフェ内 ギャラリーこまどり
アクセス:・「神保町駅」A1出口徒歩1分
・「九段下駅」6番出口徒歩5分
・「水道橋駅」西口徒歩10分