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むげんことわざものがたり

むげんことわざものがたり(偕成社)

好評につき2刷!ことわざがつながって、ひとつの物語になったおもしろ絵本

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新刊
世界の国からいただきます!

世界の国からいただきます!(徳間書店)

世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!

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おなかがすいちゃう!おいしくて楽しい仲間たちのお話「パンダのポンポン」シリーズ  野中柊さんインタビュー

「パンダのポンポン」シリーズに待望の新刊! 9巻め『空飛ぶ おべんとうツアー』出版を記念して、作者の野中柊さんにお話をうかがいました。美味しいものが大好きな世界一のコックさん、パンダのポンポンと、相棒の猫のチビコちゃん、そして、その仲間たちが繰り広げる楽しいお話。キャラクター誕生の裏話や、新刊のみどころについてたっぷりうかがっています。


シリーズ既刊は8巻(+ クックブック)。ここに新刊『空飛ぶ おべんとうツアー』が加わります!

パンダのポンポン(9) 空飛ぶ おべんとうツアー
作:野中 柊
絵:長崎 訓子
出版社:理論社

パンダのポンポンはコックさん。街じゅうの動物たちが、おいしい料理を楽しみに、ポンポンのまわりに集まってきます。広場に集まってツリーハウスを作ったり、きら星亭でバレンタインデーのパーティーを開いたり、飛行機で大空の旅に出たり──。この巻でも、また楽しいことが次から次へと! さて、仲間たちと一緒に食べるごちそうは、なんでしょう? 幸福感いっぱいの童話シリーズ第9弾!

ポンポンとチビコちゃん、きら星亭の動物たちが誕生した理由

───新刊は前巻『夜空のスター・チャウダー』から1年ぶりですね。うちの6歳の娘は「パンダのポンポン」シリーズの大ファンなんです。毎回、こんどはどんな美味しいものがでてくるんだろう? 何が起こるんだろう?とワクワク楽しみにしています。

ありがとうございます。とても嬉しいです。わたしは海燕新人文学賞をいただいて作家デビューして、小説やエッセイを書いていたのですが、あるとき、児童書の出版社から童話を書いてみませんか、とお声をかけていただいたんですよ。じゃあ、子どもたちに向けて何を書こうかな? と考えたとき、そうだ、美味しいものがたくさん出てくる、食いしんぼう童話を書こう! と。

小説やエッセイの読者の方たちから、「食べものの描写がすごく美味しそう。読んでいると、お腹が空く」とおっしゃっていただくことが多かったので、童話を執筆するときにも、自分の得意な分野を生かしていきたいと思いました。ていうか、そもそも、わたし自身が食いしんぼうで……食べているシーンを書きはじめると、楽しくて止まらない感じなんですよね(笑)。

この作品に登場するチビコちゃんって、実在する猫なんですよ。わたしの愛猫です。彼女が活躍する作品を書きたいと思ったんですが、あえて主人公はチビコちゃんではなく、べつの動物にしたほうがいいかな、と。チビコちゃんの大親友のキャラクターを主人公にすえて、ほかにも動物がたくさん出てくる面白い話を……とイメージをふくらませていったら、美味しいものが大好きなコックさんのパンダのポンポンと、ウエイトレスのチビコちゃん、彼らが働くレストラン「きら星亭」が生まれました。

───「きら星亭」って、素敵な名前のレストランですね! そしてチビコちゃんは、野中さんの猫がモデルだったのですね。

そうなの。うちのチビコちゃんは、もうそのときは成猫だったのですが、ちっちゃくて、あどけない顔をしていて、年齢にかかわらず「子ねこちゃん」と呼びたくなるような雰囲気で。いわゆるハチワレ猫です、白と黒の毛並みの。だから、お話のチビコちゃんと兄と妹のように仲良しなのは、白黒のツートンカラーがチビコちゃんとそっくりの動物がいいな、と思いました。候補として考えたのが、ペンギン、サメ、パンダです。

───サメですか!?

白黒のサメがいるんですよね。でも、サメは海の中の生き物だし、ちょっとこわそうだし、チビコちゃんの相棒としては、ふさわしくないかな、と(笑)。大好きなペンギンにしようかな、とも考えたのですが、結局、からだが丸くて、いかにも食いしんぼうな感じのパンダに決めました。中国語だとジャイアントパンダって「大熊猫」と書くから、子猫とコンビを組ませる設定にもぴったり!と思いました。

パンダのポンポンは、世界一のコックさん。料理をするのも好きだけど、食べるほうがもっと好き。のんきで、おおらかなキャラクターです。ポンポンとチビコちゃんは白黒コンビで、まるで兄と妹のように仲良し。だいたい妹って、お兄さんよりしっかり者ですよね(笑)。

パンダのポンポン(1) パンダのポンポン
作:野中 柊
絵:長崎 訓子
出版社:理論社

パンダのポンポンは世界でいちばん料理が上手なコックさん。でも、もしかしたら作るより食べるほうが好き? そんな食いしんぼうのポンポンを主人公に、ユニークな動物たちが次つぎに登場します。そして、レストラン・きら星亭は、今日も大にぎわい! おいしい料理をめぐって展開する連作童話集。


ポンポンとチビコちゃんは「よお。シスター」「よお。ブラザー」と挨拶する間柄。

───たしかに(笑)。さて、記念すべき第1巻『パンダのポンポン』の、第1話は「サンドイッチ・パレード」。ポンポンが、チビコちゃんに朝ごはんのサンドイッチを届けにいくお話ですね。

食いしんぼうのポンポンは、ポテトサラダがはみ出しそうなサンドイッチの夢を見て、どうしても同じものが食べたくなっちゃったのよね。さっそく朝食に作ってみたんだけれど、ひとりで食べるより、せっかくだからチビコちゃんと一緒に食べたいと思って、バスケットに入れて彼女の家へ届けにいくんです。


サンドイッチを作る早業!(『パンダのポンポン』より)

───そのサンドイッチの美味しそうなこと! ちょっと本文をご紹介します。

ポンポンが作った三種類のサンドイッチ!(抜粋)

まずはツナフィッシュのカンヅメを開けて、きゅうりのピクルスをきざみ、マヨネーズであえて、ツナサラダの出来上がり。とうもろこしの粉を使って焼いたとうもろこしパンにはさみました。
それから、ぶあつく切ったハムとチーズ、うす切りのトマト、ちぎったレタスを、ライ麦パンにはさみました。
最後に、ルビーみたいな色のラズベリージャムを、やわらかい白パンにはさみました。
途中でピクルスやハムやチーズをツマミ食いしながら、ポンポンはありったけのパンを使って、三種類のサンドイッチを完成させました。
じゃがいもがなかったので、夢の中に出てきたようなポテトサラダのサンドイッチを作ることはできませんでしたが、まあ、仕方がありません。
出来上がったサンドイッチを前にして、「どうだ? どうだ? まいったか」とポンポンは言いました。
どれもとても美味しそうです。

(『パンダのポンポン』より)

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ところが、サンドイッチをもっていく道中で出会った動物たちが後ろからぞろぞろついてきて、パレードみたいになっちゃう(笑)。この童話に登場する動物たちについては、執筆中になんとなく、ぱっと頭に浮かんできたものをそのまま書いていったので、サンドイッチ・パレードに参加してくるまさにこの順番で、彼らはこの作品世界に生まれてきたんです。
クジャクのジャッキー、ヤギのギイじいさん、ヘビの三にんむすめ、カバのカヨおばさんと、やんちゃな息子たちタローとジロー……わたしの思惑を越え、元気いっぱい、気ままに動き回って、しゃべって、食べて。わたしは慌てて彼らのあとを追いかけ、その言動を描写していったという感じでした。


キツネのツネ吉、コアラのララコ、ヘビの三にんむすめ…。後から後から動物たちがついてきて…長いパレード!

☆ 主なキャラクターをご紹介 ☆



*この他にも、ヘビの三にんむすめ、カバのカヨおばさん、そのやんちゃな息子たちタローとジロー、娘のハナ……個性豊かなキャラクターが登場します!

───お気に入りのキャラクターはありますか?

断然、ジャッキーです。ジャッキーが大好き。書いていると、すごく幸せな気持ちになるの(笑)。

───クジャクのジャッキーは、お金持ちで、思いついたことをなんでも実現させちゃう。一方で、きら星亭のオーナーのくせに、忙しいランチタイムに「なにか美味しいものを作ってちょうだいよ。世界で一番美味しい食べものってなにかしらね?」といってポンポンとチビコちゃんをうんざりさせるキャラクターでもありますね(笑)。

チビコちゃんとポンポンがふたりでおやつを食べていると、ジャッキーが来て「自分たちばっかり美味しいもの食べてる」ってひがむんですよ(笑)。自分勝手でわがままで、ナルシスティックで遠慮がなくて、なんでも言いたい放題。でも、その一方で、みんなのために楽しいことをたくさん企画してくれます。ワゴン車にカラフルな絵を描いて、移動するアイスクリーム屋さんをはじめたり、いきなり大きなキャンピングカーで、みんなをキャンプに連れていったり。新刊では、なんと、飛行機をチャーターします!

───いいなあ。ポンポンとチビコちゃんと、次々素敵な思いつきを実現してくれるジャッキーと、集まってくる動物たちと……。この仲間に入りたいと思っちゃいます。

パンダのポンポン(2) 青空バーベキュー
作:野中 柊
絵:長崎 訓子
出版社:理論社

食いしんぼうのコックさん、パンダのポンポンが活躍する童話集の第2弾。雨の日に水たまりで遊んだあと食べたアメの話、遠くから訪ねてきたペンギンのために作った世界一おいしいカレーライスの話、ドライブをして野原へ行って、みんなで食べたバーベキューの話など、楽しい3つのストーリー。

ポンポンとチビコちゃんがくつろいでいると、ジャッキーがやってきました(抜粋)

「あらあらあらあら。まあまあまあまあ」とジャッキーは言いました。「ワタクシのかわいいコックさん。それから、おりこうな子ねこちゃん。ずいぶんとなかよしねえ? なんなの? ひなたぼっこなの? おやおや。しごとをさぼって、おやつを食べていたってわけね?」
「さぼってないよ」とポンポンは答えました。
「そうだよ。お客さん、いないもん」とチビコちゃんも言いました。
ジャッキーは、つんとした顔をしました。
「いいわけは聞きたくないわ。いいのよ。ワタクシ、ちっとも気にしてやしないから。ところで、ワタクシのおやつは、どこ?」
「え?」
「ワタクシのおやつよ」
ポンポンとチビコちゃんは、顔を見合わせてもじもじしました。あんまりおいしかったので、れいぞうこに入っていたゼリーを、ふたりですっかり食べてしまったあとだったのです。
「ふぅん」とジャッキーは言いました。「ははぁん」とも言いました。それから、「なるほどねえ」と、つぶやき、「そういうこと?」と首をかしげました。そして、小さくため息をついて、「さぞかし、おいしかったんでしょうねえ?」

『青空バーベキュー』より)

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野中柊(のなか・ひいらぎ)

  • 1964年生まれ。立教大学卒業後、在米中の1991年に「ヨモギ・アイス」で海燕新人文学賞を受賞して作家デビュー。小説に『ヨモギ・アイス』『小春日和』『ひな菊とペパーミント』『きみの歌が聞きたい』『プリズム』『マルシェ・アンジュール』『昼咲月見草』『公園通りのクロエ』『波止場にて』、エッセイ集に『きらめくジャンクフード』、童話や絵本に「パンダのポンポン」シリーズ(現在9巻まで出版)『ミロとチャチャのふわっふわっ』『ようこそぼくのおともだち』『赤い実かがやく』『ヤマネコとウミネコ』など著書多数。

作品紹介

パンダのポンポン(1) パンダのポンポン
作:野中 柊
絵:長崎 訓子
出版社:理論社
パンダのポンポン(2) 青空バーベキュー
作:野中 柊
絵:長崎 訓子
出版社:理論社
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作:野中 柊
絵:長崎 訓子
出版社:理論社
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作:野中 柊
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作:野中 柊
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作:野中 柊
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出版社:理論社
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作:野中 柊
絵:長崎 訓子
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