お待ちかね! 『おふくさん』の続編が登場です。1作目の『おふくさん』のテーマは、“笑って笑って、つらいこと、悲しいことをふきとばしてしまおう――「わらうかどには、ふくきたる!」“でした。
そして今回は…? 「たべるかどにも、ふくきたる!」。
美味しい幸せいっぱいの『おふくさんのおふくわけ』、作者の服部美法さんにお話を伺いました。
- おふくさんのおふくわけ
- 作:服部 美法
- 出版社:大日本図書
おふくさんたちは、まいにち にこにこ、みんなでなかよく くらしています。あるひ、おにが「うまいもんが くいたい!」と、やってきました。でも、いえにあるのは おいもが ひとつっきり。そこで おふくさんたちは、おいもをつかった おいしい りょうりを おにと いっしょに することに! りょうりは はじめての おに! さあ、おふくさんとおには、おいしい りょうりが つくれるかな!? だいにんき ハートフルえほんの 2さつめです!
●「おふくわけ」という言葉がずっと心に残っていました。
───タイトルにもある「おふくわけ」という言葉ですが、はじめ、「おふくわけ」って何だろう? と本を開きました。
「おふくわけ」は、「御福分け」と書き、「お裾分け」が一般的な言葉です。私は、大人になってからこの言葉を知ったのですが、とても良い言葉だと思って、おふくさんの本を作る前からずっと心に残っていました。
「おふくわけ」をテーマにしたのは、自分が何かをもらったら、少し近所にお分けするのが日常の、お裾分けの多い地域で育ったこともあると思います。
───『おふくさんのおふくわけ』を読んで、あまりにおいしそうな画面に、「わあー!」と声をあげてしまいました。おふくさんたちがおにさんと一緒にごちそうを作るおはなし。分け合って食べる場面が本当においしそうで…。今回のおはなしは、どんなきっかけで生まれたのでしょうか?
1作目『おふくさん』ができあがって、2作目のお話をいただいたとき、すぐに食べものの話にしようと思いました。そのとき最初から「おふくわけ」というテーマが頭にあったんです。
───「おふくわけ」、おふくさんにぴったりの素敵な言葉ですね。テーマをもとに、おはなしはどのようにできあがったのでしょうか。
はじめ、プロットのような形で、おはなしをテキストにしてアイディアを出していきました。おふくさんが近所の子どもたちに「おふくわけ」するおはなしや、おふくさんが、ごはんを独り占めするおにさんに「おふくわけ」を教えてあげる、という案もあったのですが、一冊目の『おふくさん』の世界と違いが出ないよう、担当編集者の當田さんと話し合いながら、プロットも、そのあとのラフ(下絵)も何度も練り直しました。
───おにさんが、一緒にお料理をする展開は、その中で生まれたのですか?
話し合っているときに、當田さんから、おにさんも一緒に作ったら? という提案をもらって、すごく納得したんです。昔、小学校の教員をしていたときに、ピーマン嫌いの子がいたのですが、その子が、みんなで畑で育てて一緒に調理したピーマンを「すごく美味しい!」って食べたんです。そのことを憶えていて。 いつもおにさんを笑わせたいと思っているおふくさんたちですから、今回は、どうやったらおにさんがいちばん美味しく食べられるかな? と考えて、きっと「一緒に作ろう」と言うだろうと思いました。
───はじめてお料理する鬼さんが、おふくさんたちに「じょうず!」と褒められて、どんどんその気になって頑張る姿も、かわいくて笑ってしまいます。
叱られながら作ったら絶対美味しくないですよね。おにさんのリアクションも、ちょっと褒められたら嬉しくて鼻の穴を膨らませて頑張っちゃうだろうと、イメージが自然に湧いてきました。