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しかけをめくると、大へんしん!『ドアをあけたら』しまだともみさんインタビュー

ドアの前で見ると、カエルさん。でも、ドアを開けると……。
アッと驚く窓あきのしかけが楽しい『ドアをあけたら』(東京書店)。本作は出版後、わずか1年で8刷まで重版が続いた人気作品です。作者のしまだともみさんは、その後『へんしんれっしゃ』『のぞいてみると』(共に東京書店)など、タイプの異なるしかけ絵本を次々と発表されました。
今回は、しまだともみさんに、しかけを生み出すテクニックなど、制作秘話を伺いました。

はじめてのしかけ絵本作り『ドアをあけたら』

ドアをあけたら
ドアをあけたらの試し読みができます!
作:しまだ ともみ
出版社:東京書店

窓からのぞいた姿と、ドアを開けたときのギャップをたのしむしかけ絵本。カエルさんかとおもったら…、かたつむりさんかとおもったら…。ページをめくるごとにおこる意外な展開に驚きの連続! 穴あき窓のしかけは子どもの好奇心と想像力を刺激します。見開きは全て、穴あき窓付きの片観音仕様。

───『ドアをあけたら』は、かまぼこ型の窓から見える景色が、ページをめくるとガラッと変わる変化が人気のしかけ絵本。しまださんはこの作品が、しかけ絵本のデビュー作だと伺いました。

そうなんです。私は大学卒業後、フリーのイラストレーターとして活動していました。しかけ絵本を作る前、東京書店さんの依頼で『魔法使いの学校』(東京書店)の表紙イラストを担当したことがあったんです。そのとき、すでにデビュー作である『イーラちゃんはおうさま』(偕成社)の出版は決まっていたのですが、東京書店さんにも自分の作品をファイルにまとめてお送りしたんです。

───作品の売り込みをされたんですね。

すると、編集者さんから「窓あきのしかけ絵本を作る企画があるのですが、やりませんか?」という連絡と共に、窓あきのタイプが何パターンも空いた、真っ白い絵本の見本が送られてきたんです。

───それまで、しかけ絵本を作ったり、作りたいと思ったりしたことはあったのですか?

絵本を作りたいとずっと思っていましたが、しかけ絵本は私の絵本のイメージにはなくて……。全くのゼロからスタートしなければなりませんでした。

───何か参考にした絵本などはありましたか?

東京書店さんから「動物が、ドアが閉まっている状態では別のものに見えるけれど、ドアが開いたら答えが分かる」というご要望をいただいていたので、図書館から動物図鑑を借りてきて、それを見ながら、「動物のどの部分が別の動物に似ているか……」というのをひたすら探しました。

───カエルだと思ったけれど、実は……や、パンダだと思ったけれど実は……という、ドアを開けたときの驚きも、とても考えられていると思いました。

小さいお子さんにも楽しんでほしいと思ったので、登場する動物は子どもたちが大好きな人気動物にしようと思いました。それと、しかけ絵本というと、どうしてもしかけのインパクト重視になってしまうところもあったので、それは避けたいと思い、物語としても楽しめるよう展開を考えました。

───ページをめくるたびに、時間の経過が絵から感じられるだけでなく、各ページの動物たちが交流している様子も伝わってきます。子どもは絵をよく見ているから、きっと、「このページのマフラー、前のページにも出てきてたよ!」など、発見して教えてくれそうです。

編み物をしている場面は、最初のラフでは思い浮かばなかったんです。でも、カタツムリから想像して、カタツムリの殻が、この動物の角に似ているかも!と思ったとき、一緒に「毛糸も使えば、よりカタツムリっぽくなる!」とひらめきました。


ドアの小窓から見えているのは、いったいなんの動物でしょう……?

───ラフ画が完成するまでに、何度も編集者さんとのやり取りがあったのですか?

そうですね。最初のころは、それぞれの家やドアのデザインもシンプルでした。でも、編集者さんから「動物のイメージに合わせて、家にもこだわりがほしい」と言われて、家の外観を全部変えたり、室内の小物を充実させたり、どんどん凝っていきました。

───ドアを開ける前の動物と、部屋の中にいる動物の意外性を出すためには、外と中、どちらを先に考えたのですか?

例えば、パンダのページは、まず子どもたちに人気のあるパンダを登場させたいと思い、パンダに見える白黒柄の動物を探しました。次に、どういうポーズなら、窓からパンダがいるように見えるかを考えて、ポーズを決めていきました。コアラも、最初にコアラを登場させたいと思って、コアラに見える動物を探しました。どちらかと言うと、ドアから見せたい動物をイメージして、そこから部屋の中にいる動物を考えているのかもしれませんね。

───絵を描くときに特に苦労したところなどはありますか?

ドアを開けると答えが出てくるしかけなので、どうしても、一番右側の絵まで視線がいかなくなってしまう。絵全体を楽しんでもらえるよう、ドアが開いた側のイラストの構図はかなり考えました。個人的に気に入っているのは、水玉カーテンのお家のドア。しかけをめくったときに「あ!」って驚きが発せられると、スカッとしますね(笑)。


水玉のカーテンに見えているのは、ひょっとして……?

───大人が読んでも「そうなるか!」と驚きがあって、楽しめるページですよね。

せっかくしかけ絵本を作るなら、子どもと一緒に読む、大人も驚かせたいって思ったんです。それと、あまり気づいてもらえないかもしれませんが、カバーもしかけになっているので、ぜひ、カバーをめくって驚いてもらえたら嬉しいです。

全く違うタイプのしかけで作った2冊目『へんしんれっしゃ』

へんしんれっしゃ
へんしんれっしゃの試し読みができます!
作:しまだ ともみ
出版社:東京書店

大人気! 「ドアをあけたら」の作者がおくるしかけえほん第2弾『へんしんれっしゃ』。ページの上半分、下半分がそれぞれ分割して開くしかけで、普通のれっしゃがクマれっしゃやペリカンボートなどへ大変身! めくり方次第でたくさんの変身が楽しめ、想像ふくらむ物語が子どもの好奇心をかきたてる1冊です。

───2冊目の『へんしんれっしゃ』は、『ドアをあけたら』と全く異なる、上下にパタパタと開くタイプのしかけ絵本。1冊目と違うしかけにしたのは、どうしてですか?

『ドアをあけたら』を作ったとき、意外なほど自分がしかけ絵本の楽しさにハマってしまって、「このしかけなら、海の生き物や空の生き物など、バリエーションがいくつでもできる!」とワクワクしたんです。そのあとすぐに、東京書店さんから「次もしかけ絵本をお願いします」と依頼があったのですが、渡された見本が、上下に分かれるしかけだったんです。

───え、同じ窓あきのしかけではなかったんですか……。

そうなんです。最初は「『ドアをあけたら』1冊で、このしかけが終わってしまうのはもったいない!」と思いました。でも、新しく提案いただいたしかけも面白そうだったので、チャレンジすることにしました。


ページの半分をめくると、電車の上下が変化します。

───上だけ、下だけでなく、最大4回しかけが変わりますよね。それを1冊目と同じようにストーリー絵本として構成するというのは、とても大変だったのではないですか?

最初の1、2場面くらいはアイディアが出るんです。でも、すべてのページのおはなしを……と考えると、なかなかまとまりませんでした。結局、半年くらいずっと考えていました。それでもアイディアが出なかったので、編集者さんに相談しようと思い、日光から東京まで打ち合わせに行くことにしました。
電車に乗ったとき、「電車なら、上下のイラストが変わっても面白いかも……」と思いつき、2時間弱の移動時間でまとめて、提案しました。それが無事、通って『へんしんれっしゃ』が誕生しました。

───いろいろな駅を経由しながら、電車の形が変わるというしかけが、とても面白いですが、列車に乗っているお客さんもしかけをめくると少しずつ変わっていって、それぞれにストーリーがありますよね。

帽子をかぶって電車に乗ったネコさんが、実は……だったり、怪しい荷物を運ぶ男が出てきたり……。私自身、「このキャラクターも見つけてほしいな」と思いながら描いたので、しかけをめくるごとに変わる展開を楽しんでほしいと思います。


「くまれっしゃ」がボートに変身?!

───列車なので、横にめくっていくしかけだけかと思ったら、後半、絵本を縦にすることで、深海と宇宙にまで冒険ができる展開に、ビックリしました。

最後に宇宙に行くアイディアは、早い段階から考えていました。宇宙に行くなら、どこからスタートしたらより意外性があるかと考えたとき、地底から宇宙まで行くのが、一番距離があって面白いと思ったんです。

───最後に「つきのえき」に到着するというのも、とても夢がある終わり方だと思いました。

実は「つきのえき」の場面は、ちょっとメッセージを込めています。この「へんしんれっしゃ」に乗っている人はみんな、ある目的があって「つきのえき」に来ているんです。そして目的を果たすと、みんな再び、列車に乗って帰っていきます。

───多くは語られていませんが、「あいたい ひとには あえましたか?」という一文もあって、大人の方には伝わるのではと思います。
3冊目の『のぞいてみると』は、1冊目と同じ穴あきタイプのしかけ絵本。でも、穴の数が1冊目よりも増えていますよね。

のぞいてみると
のぞいてみるとの試し読みができます!
作:しまだ ともみ
出版社:東京書店

おかし工場の窓から見えるキャンディーの正体は? 竹林にある病院の窓から見える動物の正体は? など、さまざまなシチュエーションから展開するのぞいてびっくり楽しい穴あきしかけ絵本。窓から見える絵と開いた時に見えるギャップが子どもの好奇心・想像力を刺激します。 プレゼントにもぴったり! 親子で楽しめる1冊です。

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しまだともみ

  • 1975年栃木県生まれ。多摩美術大学油学科卒業後、フリーのイラストレーターとして雑誌やCDジャケットなどを手がける。パレットクラブスクールでイラストと絵本のコースを受講し、2006年「イーラちゃんといじわるツリー」がタリーズピクチャアワードで最優秀賞を受賞。作曲家うちだえーすけ率いる「イーラちゃん楽団」による読み聞かせコンサートも全国各地で開催中。

作品紹介

ドアをあけたら
ドアをあけたらの試し読みができます!
作:しまだ ともみ
出版社:東京書店
へんしんれっしゃ
へんしんれっしゃの試し読みができます!
作:しまだ ともみ
出版社:東京書店
のぞいてみると
のぞいてみるとの試し読みができます!
作:しまだ ともみ
出版社:東京書店
りんごときどき
作:しまだ ともみ
出版社:東京書店
ばなな ときどき
作:しまだ ともみ
出版社:東京書店
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