●読みはじめてびっくり。最初のページでおじいさんが亡くなってしまいます。おじいさんが階段をのぼってたどりついたのは「ねこのてんごく」で・・・?
───山西さんの作品というと「そばかすイェシ」シリーズ(挿絵)や『パッチン☆どめ子ちゃん』の女の子の絵が前から大好きでした。『こんもりくん』『みにくいフジツボのフジコ』など作品数が増えるにつれ世界観がどんどん広がっていき、ますますワクワクさせられています。
新作『おじいさんのしごと』は、1ページ目開いてすぐ「ケンタくんのおじいさんは、しんでしまいました」。あれっ、主人公はおじいさんじゃなかったの?
そうですね。タイトルや表紙では、おじいさんが亡くなることはわからないですね。

───ケンタくんはたくさん泣きましたが、少しずつ元気になっていきます。一方、おじいさんはながいながい階段をのぼっています。たどり着いた雲のうえには、ねこ、ねこ、ねこがいっぱい!
おじいさん、にんげんの天国ではなく、間違えて「ねこの天国」に着いてしまったようなのです。でももう一度別な階段をのぼるのも大変だとおじいさんはここにいることに決めます。
そこでおじいさんがまかされた仕事とは・・・というお話ですね。このお話を思いついたのはどんなことからですか?
───「おじいさんのしごと」はこれから生まれるねこに素敵なチャームポイントをつくってあげることだったんですね。
最初は「もようや」次に「かみがたや」、なかなかうまくいかなくて「なんか、わしにでもできるしごとがないかのう・・・」と悩むおじいさんにしろねこがたずねます。
「なにかすきなものはないですか」「まごのケンタは、わしのちょびヒゲがすきだっていうてくれた」「それですよ、おじいさん! ちょびヒゲをかくしごと!」・・・で、「ちょびヒゲや」(笑)。
最初におじいさんがしんでしまって、天国のお話であることにもびっくりしましたが、「ちょびヒゲや」でまたびっくりです!
ねこってだいたい口のまわりに模様が多いですよね。ときどき模様の描き方を失敗したようなのがいて・・・。
───失敗って、たとえばどんな模様ですか?
子どもの頃、父親が知り合いからもらってきた、鼻から鼻水が出ているような模様があるねこがいて、はじめは残念だったんですけど、後でそこが大好きになりました。
───インターネット検索で「ねこ」「ちょびヒゲ」とキーワードを入れると、ねこの写真がたくさん出てきました。ねこの口のまわりの模様を「ちょびヒゲ」という言い方をするんですね。笑っちゃうくらい、おもしろい模様がいっぱいで。

正確にはチャーリー・チャップリンのような、鼻のすぐ下にある小さな口ひげのことを「ちょびヒゲ」と言うらしいんですけど。ねこの口元までしっかりある模様も含めて「ちょびヒゲ」と呼ばれているみたいですね。