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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  『100万回生きたねこ』 200万部突破記念 編集・山田智幸野さんインタビュー

インタビュー

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2013.12.19

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『100万回生きたねこ』 200万部突破記念 編集・山田智幸野さんインタビュー

1977年の初版以来、多くの読者を得て、いまも売れつづける『100万回生きたねこ』。幼稚園や保育園、図書館の児童書コーナーなど、子どもの本棚で必ずといっていいほど見かける一方で、本屋さんでは大人がギフトとして購入する姿も多く見られます。
ねこが100万回死に、100万回生きる物語。「でも、究極のラブストーリーでもあるんです」とおっしゃる、佐野洋子さんを最後に担当された編集者・山田智幸野(ちさの)さんにお話をうかがいました。
2013年に200万部突破した『100万回生きたねこ』の記念インタビューです。

今回お話をしていただいた、編集者の山田智幸野(ちさの)さん
200万部突破記念の帯を巻いた『100万回生きたねこ』
  • 100万回生きたねこ

    出版社からの内容紹介

    内容紹介
    これはひょっとすると大人のための絵本かもしれないが、真に大人のための絵本ならば、子供もまた楽しむことができよう。それが絵本というものの本質であるはずだ。そして『100万回生きたねこ』は、絵本の本質をとらえている。――週刊朝日書評より
    このとらねこ一代記が、何を風刺しているかなどと考えなくても、すごいバイタリティーをもって生き、かつ死んだ話をおもしろいと思ってみればよいと思う。上級から大人まで開いてみて、それぞれに受けとめられるふしぎなストーリーでもある。飼い主へのつながりが無視され、前半と後半が途切れているようで、みていくとつながってくるふしぎな構成である。――日本経済新聞「こどもの本」書評より

    著者紹介
    ■佐野洋子(さのようこ)
    北京に生まれる。武蔵野美術大学デザイン科卒。’67年から’68年にかけて、ベルリン造形大学においてリトグラフを学ぶ。主な作品に『だってだってのおばあさん』(フレーベル館)、『わたしのぼうし』(ポプラ社)、『おじさんのかさ』(講談社)などの絵本や、『アカシア・からたち・麦畑』(文化出版局)などのエッセー集がある。『おじさんのかさ』でサンケイ児童出版文化賞推薦賞を、『わたしのぼうし』で講談社出版文化賞絵本部門賞を受賞。

愛されるより、愛することが人生

───「これって恋のはなしだね」……ピンクの帯を見てドキッとしました。すでに36年間読み継がれている『100万回生きたねこ』。佐野洋子さんの絵本は『おじさんのかさ』『わたしクリスマスツリー』『わたしのぼうし』などもロングセラーですが、『100万回生きたねこ』はまた特別ですよね。佐野さんも生前エッセイのなかで「私の絵本の中でめずらしくよく売れた」とおっしゃっています。

そうですね。本当にいろいろな年齢の方に読んでいただいているなと思います。『100万回生きたねこ』の読者ハガキを見ていると、子どもより私が読んで感動しました、というお母さん方からのハガキもけっこうあるんです。

───「恋のはなし」「大人が読んでも感動する」と耳にすると、「そういえば有名だけど、どんな絵本だろう?」と気になります。どんなストーリーですか?

100万回生まれ変わっては、さまざまな飼い主のもとで死んでゆく、とらねこの話です。とらねこは、飼い主のことなんか大きらい。あるときは、一国の王のねこ。あるときは、船乗りのねこ。サーカスの手品つかいのねこ、どろぼうのねこ、ひとりぼっちのおばあさんのねこ、小さな女の子のねこ・・・。ねこが死ぬと、みんなは泣きます。でもねこは泣きません。死ぬのなんかへいき。好きなのは、自分だけでした。

───うーん、いったいどれだけ自分中心なねこなの?と思いますよね(笑)。

そうですね。ここまでは序章なんです。お話のなかで大事なのはここから。あるとき、ねこは、はじめて、のらねこになります。「たった1匹、ねこに見むきもしない、白いねこがいました」……女の子はみんな、ここに自分を投影するなって思います(笑)。

のらねこが「おれは100万回もしんだんだぜ」と自慢すると、いろんなねこがよってくる。モテモテです(笑)。でも、自分に関心を示さなかった1匹の白いねこがいた。興味をなんとか引こうとするうちに、いつのまにかとらねこは白いねこと一緒にいたいと思うようになります。

───白いねこに、恋をするのですね。

ええ。やがて子ねこが生まれ、愛し愛されて穏やかな時間が流れる……。でも、そのときも終わりがきます。白いねこはいつか動かなくなり、とらねこははじめて泣きます。朝も夜も、泣きつづけて、そして白いねこのとなりで、しずかに動かなくなるのです。

───最後、ねこは本当に死んでしまう。そういうおはなしなのですね?

はい。子どもの絵本では、あまり他にないかもしれません。読者の方がどんなふうに読んでくださっているかというと、本当にさまざまな感想をいただくんです。いくつかご紹介しますね。

小さいころに読んだ気持ちと大きくなってから読んだ気持ちとは違いがある本だと思います。いまの私の感想は、命は、限りあるもので一瞬で消えてしまう儚いものですが、この猫ほど愛する事、愛される事ができれば素晴らしいと思います。

(39歳・女性)

かつて独身時代に読んでいました。いまはふたりの子どもとかみさんと4人で生活するようになって、この本のねこと同じ気持ちになれたと思います。
今回8歳になる長女の誕生日プレゼントにと、この本を買いました。どんな感想を持ったか、聞いてみたいです。
(30代・男性)

「死」が、冷たいものではなく、温かいものに感じられました。ねこのように、誰かを愛し、幸せだったと思いながら死んでいけるように、優しく生きてゆきたいです。(22歳・女性)

愛する人と子どもを育てて、年をとって死ぬ、というのは、すごくふつうのことだけど、ふつうのことがじつはむずかしい。
『100万回生きたねこ』は、とっても個人的なことを追求していると思うんです。愛するとは、どういうことか。自分の人生は「生きている」と言えるのか、と。

愛や子育てに、迷ったり悩んだりする世代にこそ響くかもしれません

───じつは、私、結婚するときにだんなさんに『100万回生きたねこ』をプレゼントしたんです。もともと私は、あまり結婚願望もありませんでした。主人公ののらねこみたいに。それまでいろんな人に守られて生きていたんだ、ということをぜんぜん気づいていなくて、別に自分ひとりでいいじゃないと思っていました。だけど、いまのだんなさんと会って、自分自身がすごく変わりました。たまたま『100万回生きたねこ』を読み返したときにぐっときてしまって、「こういう気持ちです」と伝えたくて、だんなさんに贈ったんです。

(取材スタッフ一同)ええっ!? はじめて聞きましたよ!(笑)

そうだったんですか!? すごくいいお話!! うれしいですね(笑)。

───(笑)でも、みんなは『100万回生きたねこ』をどんなふうに感じているのかなと思って、絵本ナビのサイトを見ると、私と同じような体験や感想を書きこまれている方もいれば、「いのち」がストレートに描かれすぎていてとまどいを感じる、という声も書きこまれていたんです。
子どもに、死んでしまうねこのことをどのように伝えたらいいのか。お話が難しいのではないかと心配されているお母さん方もいらっしゃって……。もし何かアドバイスをするとしたら、どんなふうに言葉をかけたらよいのでしょうか。

そうですね……、まずは自分の本として読んでみてください、かな。
子どもが小さいときって、毎日定時にお迎えに行き、ごはんを食べさせ、お風呂に入れ寝かせてと追いまくられて・・・自分の時間も楽しみもぜんぶ吸い取られて(笑)、「自分の人生はどこへいっちゃったんだろう」と感じると思うんです。
私自身も、そろそろ年齢に合った絵本を読んであげなきゃとか、お稽古ごとをさせてあげなきゃとか、絵本やピアノを見るたびに自分を追い詰めて(笑)、くたくたで、毎日横になると自分が10秒で寝ていました。

でも、子育て中の慌ただしいときこそ、ふと「自分にとって、かけがえのないものはなんだろう」と、自分のことを考えてみてもいいと思う。『100万回生きたねこ』は一瞬でもそんな自分と向きあえる本だと思うんです。
子どもたちには、この本を一緒に読みたいな、子どもとこの本について語りあえたら嬉しいな、と思ったときに読んであげるのはどうですか?

───たしかに、大人も子どももそれぞれの気持ちで、一緒に、同じ何かを味わうことができるって、すごく素敵なことですよね。

はい。子どもたちは『100万回生きたねこ』にこめられている「愛」や「生と死」を、本能的に受けとめてくれていると感じます。大きくなって恋をすれば、きっと、またちがう『100万回生きたねこ』が心に残る。年齢を重ねれば重ねるほど受ける印象はちがうかもしれませんよね。
最後にもうひとつ言うとすれば、『100万回生きたねこ』から感じるのは、作者独特の「死生観」です。私は初めて読んだとき、これは佐野洋子さんの死生観の爆発だなと思いました。
佐野さんは、お父さんが満州鉄道調査部で働いていたため、幼い頃は中国で育ちました。もの心がついたときには戦争が始まっていて、7歳のとき大連で終戦を迎えます。引き揚げてきた日本で、9歳から10歳にかけて肉親を3人も、しかもいちばん好きだったお兄さんと、幼い弟2人を亡くしているんです。長男を溺愛していたお母さんは半狂乱になり、家族のなかの佐野さんの立場も変わってしまう。肉親の死は、幼かった佐野さんにとって強烈な体験だったはずです。
だからこそ佐野さんはこんな物語を書いたし、「生きること、死ぬことは、非常に個人的な真実」だと強く思っていらっしゃったのではないかと思います。

───亡くなる前の最後のエッセイ『死ぬ気まんまん』でも、死は決して特別なものじゃないとおっしゃっていますものね。佐野洋子さんがのこされたエッセイ、批評、絵本。そのどれからも、生きる力をもらう気がします。
100万回死んで、100万回生きたねこの、たった1回の愛を描いた、この絵本の魅力をひとことで言うとしたら何でしょうか。

読者に媚びていないこと。
それぞれの読者へ、本当に「好きに読んで」って作者が言い放っているように思えます。佐野洋子さんの、自分の思うところを表現するエネルギーと責任の取り方は生涯変わりませんでした。
『100万回生きたねこ』はこんなふうに終わります。「ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした。」と。

自分の人生を生きることができたから、ねこは生きかえらなかった。
限りあるいのちをまっすぐ描いた絵本でありながら、『100万回生きたねこ』は極上のラブストーリーだと思うんです。
亡くなる少し前の佐野さんが「人間は、なんのために生きているかって言ったら、やはり他人を愛するために生きているし、たぶん、この世界を愛するために生きているんだと思うのね。」とおっしゃっています(ドキュメンタリー映画『100万回生きたねこ』より)。
かけがえのない他者に会い、かけがえのない自分の人生を生きるからこそ、いのちは尊い。
やっぱり佐野洋子さんはすごい表現者だったんだ、と、ますます感じています。

───ありがとうございました!

記念にパチリ

佐野洋子さんの公式HP

佐野洋子official web site

佐野洋子 official Facebook

書店レポート(2013年11月取材)

紀伊國屋書店新宿本店6階のエレベータを降り、右手前方の絵本コーナーへむかうと、すぐに華やかなピンク色が目に飛びこんできました。ご担当の内田さんに、お話をうかがいました。

一角がピンクに染まって見えます
しっぽまで立体的!

内田さん:『100万回生きたねこ』を買いにいらっしゃるのは、20歳前後の大学生くらいから30〜40代のビジネスマンまで、意外なほど男性が多いんです。だいたい、どなたかにプレゼントするために探しにいらっしゃいます。現在進行形の恋の相手に「これからもよろしくね」というメッセージなのかもしれませんね。言葉で口にするのは恥ずかしいけど、絵本を贈ることでなら気持ちを伝えられるのでしょうか。絵本を贈る男性って、かっこいいなと思います(笑)。
店頭でカップルでめくっている風景もよく見かけますし、女性は若い方からご年配の方まで幅広く買っていかれます。
『100万回生きたねこ』は、ひとりひとりの生き方を考えさせられるお話なんです。男女に限らず、人と人が出会い互いに影響しあうことの意味や、思うとおりに人生を生きることへのメッセージが詰まっています。贈り物としてだけでなく、ぜひご自身で手にとって読んでみてください。手にしたそれぞれの方の大切な心の一冊になりますように!

開店前にお話を聞かせてくださった紀伊國屋書店新宿本店の内田さん、どうもありがとうございました!

2013年11月25日(月)から12月2日(日)まで、東急東横線東急車両が一部、「100万回」車両に変身していると聞いて、早速、絵本ナビスタッフで乗車してきました!乗ったとたんに、「うわ〜素敵!」と声をあげるスタッフ一同。車両のなかは「100万回生きたねこ」一色。絵本のなかの選りすぐりの名場面が、中吊り広告として車両を彩っていました。しかもテーマは”恋”です。子どもの頃を思い出して懐かしい気持ちでながめている人もいれば、”恋”をキーワードにしたキャッチコピーに目が釘付けになっている人もいたようです!みなさんのお気に入りの「100万回生きたねこ」はどの場面でしょうか。

※イベントはすでに終了しております。

2013年12月23日(月・祝)〜29日(日)までの期間、JR原宿駅竹下口改札内に「100万回生きたねこ」が登場します。ふわふわのねこの毛にさわると、あなたの恋も叶うかも!? 100万回ファンの方も必見のねこが登場です。

※イベントはすでに終了しております。

製作途中を特別に見せていただきました。
本当にふわふわ!思わずさわりたくなっちゃいますね

佐野洋子 著者プロフィール・著作一覧

「講談社 佐野洋子の絵本」シリーズ

ふくやま美術館「佐野洋子 絵本の軌跡」展
佐野洋子 絵本の軌跡『100万回生きたねこ』たちがおしえてくれたこと
佐野洋子の絵本作品原画を中心に、その仕事と人生を紹介する展覧会です。

※イベントはすでに終了しております

インタビュー:富田直美(絵本ナビ編集部)
文・構成: 大和田佳世(絵本ナビライター)

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