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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2010.02.26

岩井俊雄さん
「100かいだてのいえ」シリーズ

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体験していく絵本

─── この絵本に寄せられているレビューを読んでいて面白いなと思うのは、この絵本を例えば夜とか読み聞かせしていても、とにかく時間がかかって大変という声が多いということ。確かに、建物の絵というだけでもワクワクしてしまいます。更に1階から順番に部屋を一つ一つたどっていって。細かく見ていくところがたくさんあって・・・。

2本の小さい指で、階段をたどってくれたりするのを想像するとね、もうたまらないですよね(笑)。

─── たまらないですね。でも時間は当然かかるだろうなと(笑)。

岩井俊雄さん 実は、読み聞かせというのはあまり想定していなかったんです。この絵本の制作がスタートした頃、僕は長女とは手作りおもちゃを熱心にやっていたので、絵本の読み聞かせをする父親じゃなかった。今は下の娘に徐々に読み聞かせするようになったんですけど。実は、僕自身読み聞かせをしてもらった記憶がほとんどないんです。僕は早くから文字が読めたらしくて、勝手に読んでたって親が言ってました。それもあって、僕の絵本のイメージは、読んでもらうものではなくて自分でめくって読むものだったんですね。

『100かいだてのいえ』は最初、安野さんの『旅の絵本』のように、文字のない絵本にしようと思っていました。初めのプランはもっと幅の狭い細長い絵本だったんです。だけど、編集さんから「これはストーリーがあった方が良くなる」というアドバイスがあって、文章を入れることにしました。その分、本の幅も広げることになって。結果的には、ストーリーをつけて正解だったなと思っています。本の幅を広げたことで、周りの風景も見えてきたのもよかった。そういう試行錯誤がありました。

─── こんな風に読み聞かせて・・・というよりも、自分でたどっていって楽しむ様子を想像しながら作られていたんですね。

僕自身が子どもの頃そうだったので、1人遊び的な絵本を想定していたんです。
逆に、絵本が出版されてから、色々な方から「寝る前に読み聞かせをしています」とか、「幼稚園でも読み聞かせをしました」って聞いてびっくりしたんですよ。縦長で、絵が細かいこの絵本を、多人数の前でどうやって読み聞かせするんだろう、と。自分の中では読み聞かせのイメージがなかったので、「そうか、絵本は基本的に読み聞かせされるものなんだ」という、軽いカルチャーショックを受けると同時に、読み聞かせを考えてなくて申し訳なかったな、と思い始めました。でも、子どもたちがとても楽しんでいる、と聞いてホッとしました。絵本に関してはそれくらい素人だったんですよね。
だから、『100かいだてのいえ』のビッグブックを作れることになった時は、「これは読み聞かせに絶対に向いたものにしよう」と思って、思い切って開き方を変えて縦長にしたんです。

─── このビッグブック、形を見ただけでもワクワクします!

ビッグブック 100かいだてのいえビッグブック 100かいだてのいえ

作・絵:岩井俊雄
出版社:偕成社

絵本で好きなものを描ききる

中を開けば、子どもたちが時間を忘れて夢中になってしまう程様々な動物達と色々な部屋が描かれているんです。具体的な部屋のイメージのアイデアについても少し伺ってみました。

─── 『100かいだてのいえ』の中に登場する様々な動物たちと、そこからイメージされた部屋の数々がとても面白くて。そういう具体的なアイデアというのは、家の中からだとか、娘さんとのやり取りの中から生まれてくるのでしょうか?

まず最初に描いたのはネズミの階なんです。このイス、テーブル、照明などの雰囲気、実は自分の家を参考にしているんですよ。キッチンとか置いてある皿や鍋とか、まさにこんな感じ。うちの奥さんは見て苦笑してましたけど(笑)。家そのものはこんなじゃないですけどね。でも、家具とかの絵を描き始めてハッと気がついたんです。家にある家具や照明というのは、自分が気に入って買ったものばかりです。絵本で描く部屋のインテリアや家具も自分が気に入るように描くわけだから、ああ、一緒だなって思ったんです。自分で家を建てて、いろんな家具や照明などを一生懸命選んだ体験が、絵本作りにもすごく活きたんですよね。

わが家での子どもたちとの遊びも絵本の中にかなり引用しています。キツツキが飛ぶ練習をしているターザンロープは、似たものがうちにもあるんです。地下の仕事場の天井をロープでつないで遊べるようにしてあって、子どもたちに大人気。そういう現実の遊びは、絵本の中でもリアルに楽しさが伝わる気がしますね。

岩井俊雄さん ネズミの家からスタートしたのは、まずは人間と同じような家を描きたいと思ったからです。ネズミは人間の家に住み着くなど、どこか人間っぽいイメージがあるので。急に突飛な家から始まるよりも、人間に近い家でスタートして、徐々にそれがリス、カエル・・・とずれて変わった家が登場していく、ということを考えました。普通の部屋を、それぞれの動物に合わせたインテリアや家具に段々と置き換えていくのがすごく楽しかったですね。

─── それぞれの部屋には岩井さんの好きなものや形がたくさん描かれているんですね。

当然ですが、やっぱり好きなもの以外は描けないですよね。嫌いなものを描く必要もないし。
例えば、好きな家具をいっぱい家に揃えたいと思っても実際にはお金の制約があるし、売っているものが100%気に入ることもなかなかないですよね。この部分や色が気に入らないとか、もうちょっと小さければいいのに、なんてこともあります。現実の家の中って、いろんな妥協によってできてる世界ですよね。
ところが、自分が絵で描く部屋は妥協する必要がないんですよ。とにかく好きなものだけを詰め込める。これまでメディアアートでいろいろな作品や空間を作ってきましたが、常に材料だの機材だの、妥協したりあきらめたりする部分が大きかったんです。それが、絵本を描き始めてみたら、「絵本というのは、一個も妥協しなくていいんだ!」ということに気がつきました。あたりまえかもしれないんですけど、まったく違った分野でもの作りをしてきたので、「思い切り好きなものばかり描ける」というのが目からうろこでした。
自分がその動物になりきって住みたい家を考える作業も楽しかったです。実際に我々が、こんな変わった部屋に住んだり、変な形の家具を使うのは難しいと思うんだけど、まず動物を10種類決めて、その動物になりきって僕が家をデザインするつもりで、それぞれの動物の個性から家の様子を発想していきました。

─── それでは、この作品を作った後というのは、もう、本当にすっきりされたという感じですか?

そうですね。確かに部屋を100個考えて描くのには苦労しましたが、自分の頭の中にある「こういうものが自分は好き」というのを全部出しきる満足感をこれだけ感じたのは、絵本が初めてでした。
また、そんな風に自分を出し切って描いた絵本を、今度は子どもがすごくリアルな体験として読んでくれるのがうれしいですね。例えば、これが額に入った1枚の絵だったら、「面白い絵だね」とは言ってくれるかもしれないけど、本当に登っていく感じを体感する様なところまではいかないですよね。それが、絵本の場合はただ絵を見るんじゃなくて、自分でページをめくる。ページをめくることで、本当に上に登って いく気分になれる。
特に僕の絵本の場合、ページめくりが単なる場面転換ではなくて、自分がその空間を進んでいくのをリアルに体感できるようにしたところが特徴だと思うんです。今までメディアアーティストとしてインタラクティブな作品を作ってきたので、それと近いことを絵本でもやりたかったんですよね。

─── 最後の、エレベーターでピューって降りて家に帰る、という場面も、すごく好きです。

岩井俊雄さん 100階まで一生懸命登ったあとは、一気に降りたら面白いな、というイメージは最初からありました。それで、エレベーターを使おうと思ったんですが、エレベーターがあるなら、どうして最初からそれを使わないのか、そこをちゃんと描かないといけないと思ったんですね。それで、一番上の階ににクモがいる、というイメージが段々出来てきたんです。

そもそも、この『100かいだてのいえ』に登場する動物は、小動物や虫など、家や巣の中にいそうなものを選んだんです。鳥なら、木の洞の中に住んでいるキツツキとか。ライオンとかゾウとか、サバンナで走り回ってたり、大きい動物は似合わないので出しませんでした。それで、一番上を誰にするかという時に、一番上に住む動物がこの家全体を造ったことにしようと考えたんです。つまり、最後の種明かしとして「あ、このひとたちが造ってたんだ!」と驚かせつつ、それがこの家のオーナーで、これまでの動物たちは間借りしていたんだ、という状況もなんとなく伝えようと思って。

で、家を造る、巣を作るみたいな所から考えるうちに、クモがひらめきました。そして、クモが自分のおしりからピューッと糸を伸ばして降りてくるイメージが、エレベーターにつながると思いついたんです。でも、最初からエレベーターがあるのはまずい。それで、「工事中」でまもなく完成するところ、という設定にしました。完成したばかりのエレベーターに一番に乗せてもらうとか、それによって物語性を深められたと思います。そういった細かい設定は、最初の縦に進んでいく建物にしようというアイデアから、少しずつ僕の頭の中に固まっていったイメージなんですね。

次は下へ下へ・・・『ちか100かいだてのいえ』

『100かいだてのいえ』は大好評!そして続巻として登場したのが『ちか100かいだてのいえ』。今度は下へ下へとおりていく地下100かい建ての家のお話です。主人公も女の子に変わって、めくり方も上と下が逆になって。その新作についても伺ってみました。

ちか100かいだてのいえちか100かいだてのいえ作・絵:岩井俊雄

出版社:偕成社

─── 続いて登場したのが『ちか100かいだてのいえ』。今度は地下の家のお話ですね。最初からアイデアはあったのでしょうか?

前作の『100かいだてのいえ』を作るときに、コピー用紙でダミーを作ったんです。その時に、何も考えずにカレンダーの様に上を綴じました。それでめくってみると上にいかないで、下へ下へいく感じがしちゃったんです。普通、縦開きの本を作るというと、上をとじますよね。だから僕も何気なくホチキスで綴じた側を上にして絵を描いたんですが、「あれ、なんか上にいかないなあ」と。それで上下逆にして作り直してみたら、うまくいったのでホッとしました。
その時にふと「待てよ。本を逆に綴じれば下にいく話ができるってことだな」と思ったんです。その後『100かいだてのいえ』が完成に近づいてきた頃には、段々と僕の中でイメージがふくらんできて、担当さんに「次の絵本がもし出せることになったら、今度は地下が描きたいです」なんて半分冗談で言っていました。
その頃から、地下だったら温泉の噴き出す力で動くエレベーターとかどうかな、などと温泉や火山のイメージを、最初から考えていました。

─── 『100かいだて』と『ちか100かいだて』は対になっていて。『ちか100かいだて』の方は、当たり前ではあるんだけれど「土」の匂いがすると言いますか、「生活感」というのがより漂っているような気がしますね。

100個の部屋が縦につながっているという基本構造は踏襲するとしても、前作と同じと思われてはまずいので違った感じ、例えばちょっと暗くて怖い雰囲気にしたいなとか考えていました。でも、具体的に描き始めてみてすごくよくわかったんですけど、『100かいだてのいえ』のほうは背景が空。基本的に空って何もないんですよね。雲が浮かんでいたりするぐらいで、本当に文字通り「空っぽ」ですよね。例えば、ミツバチやキツツキが食べものを運ぶ、ミツを集めたり虫を集めたり、というのも、結局空からではなく地上から運んでこなけりゃならない。ところが地下の場合は、家の周りにある木の根っこだの、土だのから直接恵みを集められる。ぜんぜん違うな、と思ったんです。

─── なるほど!言われてみればそうですね。

岩井俊雄さん よく考えると僕らが使ってる木や石などの家を造る素材や、野菜や果物などの食べものって、全部地面からきてますよね。だから地下のほうが生活感がリアルに出せるんじゃないか。僕らは大地に守られて生きてるんだ、というと大げさだけど、そういう感覚が伝えられるのではと思い始めたんです。それで、動物たちが家の周りにある土や木の根っこや、宝石や金などをうまく利用して自給自足的な暮らし方をしている風景を描いたんです。それは僕が自分の家でそういう暮らし方をしたいなと思ってることもあるんです。庭で家庭菜園やったりとか、身近な材料でおもちゃを作ったりするような自分の生きる姿勢ともつながってるんですよね。

─── 「上へ上へ」という世界と、「下へ下へ」という世界というのは、実はすごく違うものなんですね。

実際に、世界には100階建て以上の建物はあるけど、地面の下に100階もある建築っていうのは多分ないと思うんです。だから、逆に自由に面白く想像できました。それから地下の場合、自立した塔として描かなくてよいので、ダンゴムシの階のように部屋と部屋を自由につないだ家も描けました。
あと、前作では住んでいる動物同士の関係が希薄だったので、『ちか100かい』では、全体の住人のつながりを作りたいなと思ったんです。それで最後のパーティの場面に向かって全員が準備していて、最後には全部の動物が集結する場面を描きました。ちょっと謎解き的なストーリーも入れて
そんな風に、第一作より少しでも良くしようと思って(笑)。まだまだ勉強中ですね。絵もね、前よりもうまくなりましたねって、偕成社の方に言われたんです(笑)。

─── うちの息子はハリネズミさんの宝石の部屋が大好きで、いいなあって言うんです。男の子なんですけどね。

そうそう。宝石には結構、男の子も反応してくれるんですよね。特に、ハリネズミの階に登場する七色に光る石は大人気で、さっきワークショップに来てくれた女の子も、もし自分がみつけたら絶対誰にも渡さないって言ってました(笑)。僕はもともと光るものが好きで、メディアアートでも光の作品をたくさん作ってきました。なので絵本でも描きたかったんです。化石や、土を掘る機械なんかも、子どもの頃好きだったし、『ちか100かい』では、より趣味性の高いものを詰め込んでいる感じですね。

岩井俊雄さん 僕は実は3人姉がいまして、4人きょうだいの末っ子なんですよ。それで女の人に慣れているといいますか、ママたちばかりの集まりの中に男1人だけでも、全然違和感がなくて。娘たちとの遊びも得意だし。僕は男だけど、たぶん女性的な部分もあると思うんですね。今回の『ちか100かい』は、化石、機械、宝石、お菓子など、自分の男の子的な部分と、女性的な部分をそれぞれ両方最大限出して描いた感じです。男の子っぽい絵本、女の子っぽい絵本って絵本によってありますが、この絵本が、男女両方に受けるのはそのせいかな、と思います。

─── 『100かいだてのいえ』のワークショップで子どもたちが描いている絵の内容も、男の子、女の子、というのを意外と超えているんですね。

そうなんです。あと年齢もあんまり関係ないですね。下は2〜3歳から大丈夫ですし、感想ハガキを見ると、意外と10〜12歳位の子まで楽しんで読んでくれてるみたいです。絵本だから、子ども向けが大前提ではあるけど、でもやっぱり大人である自分が面白いものを描かなきゃっていうのはあるんです。自分が思い切り楽しんで描けば、読者の年齢はそんなに気にしなくていいと思うんですね。感想ハガキに、「大人も楽しめますね」って、子どもが書いてきたこともあるんですよ(笑)。

─── 描いていて、子どもの頃の記憶が蘇ってくる、という経験もありましたか?

子どもの頃好きだったものとか、こんな遊びをしたかったな、というのはあちこちに入ってますよね。どろんこ遊びだとか、大人に止められちゃうようなこと、そういうものをあえて描いてみたい、と。描いていてやっぱり気持ちいいんですよね。これぐらい派手にやりたいなあ、って。

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岩井俊雄【いわいとしお】

  • 1962年生まれ。メディアアーティスト。子供の頃に母親から「もうおもちゃは買いません」と言われ、かわりに工作の道具や材料を与えられたことからものづくりに目覚める。1985年、筑波大学芸術専門学群在学中に第17回現代日本美術展大賞を最年少で受賞。その後、国内外の多くの美術展に、観客が参加できるインタラクティブな作品を発表し、注目を集める。テレビ番組『ウゴウゴルーガ』、三鷹の森ジブリ美術館の映像展示『トトロぴょんぴょん』『上昇海流』や、ニンテンドーDSのアートソフト『エレクトロプランクトン』、ヤマハと共同開発した音と光を奏でる楽器『TENORI−ON』なども手がける。2007年、NHK教育の幼児番組『いないいないばぁっ!』のオープニングアニメーションを担当。現在ふたりの娘の父親として、書籍やブログを通して親子の創造的な関係を広めようと精力的に発信している。著書に『いわいさんちへようこそ!』、『いわいさんちのどっちが?絵本』シリーズ(全3冊)、『いわいさんちのリベットくん』(以上すべて紀伊國屋書店)、『100かいだてのいえ』(偕成社)がある。


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