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世界の国からいただきます!(徳間書店)

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移動するものたち

移動するものたち(小学館集英社プロダクション)

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『ころころぽーん』:新井洋行さん

冷蔵庫の扉やタンスの引き出し、「開けちゃダメ!」って言われる場所ほど、開けたくなりますよね。
じゃあ、実際に開けてみたら…。
冷蔵庫からタマゴさんが「はーい!」。引き出しからズボンさんが「はーい!」とニコニコ笑顔で出てきてくれる。そんな楽しい絵本「あけてあけて」シリーズを生み出した、絵本作家の新井洋行さん。
どっちのてにはいってるか』『おおごえずかん』など、大人と子どもが一緒に遊んで楽しめる作品をつくり続けている新井さんの最新作が、この夏ドドーンと発売されるということで、ご自宅兼アトリエにお邪魔してお話を聞いてきました!

クマが好きな次女のために作った作品が『ころころぽーん』です。

─── 2011年6月から7月にかけて、5冊の新刊が発売されますね!
新井さんの作品というと、表紙からぱっと目を惹き付けられるような、デザイン的な可愛らしさがとても印象的。その一方で、それぞれの絵本の楽しみ方は様々ですよね。発想のもとが全然違うのでは・・・なんて勝手に想像したりして。一冊一冊の制作エピソードにとても興味をひかれます。今回は、発売されたばかりの『ころころぽーん』を中心に、少しずつお話をお伺いできればと思っています。
まずは『ころころぽーん』なんですが・・・

これははじめ、音楽をテーマにした絵本だったんです。

─── 音楽・・・!そうだったんですね。

ころころぽーん

ころころぽーん
作・絵:新井洋行
出版社:ほるぷ出版

「たったかたったか」ちいさなクマがはしってきて、「ぴょーん」とジャンプしたら、「ころころころころ」ころがって……。
擬音語だけでおはなしがすすむ、リズミカルでかわいい絵本。

クマが森の中で散歩していて、途中でいろんな動物たち…キツツキやカエル…と出会っていって、その鳴き声が重なって、ひとつの音楽になる……という作品でした。
ですが、何パターンかラフを作っている内に、「なんだか読みにくい…」と感じてしまって…。

─── それはどうしてですか?

僕はいつも絵本を作るとき、読む人が楽しく読めるようにということを一番に考えています。
絵本は普通の本と違って、パパやママが演じ手となって読み聞かせをするじゃないですか。僕はその人たちに向けて美術付きの台本を作っているイメージなんです。
だから、読んでくれる人が気持ちよくのってくれて、それを見て子ども達も笑ってくれる…そんな作品を作りたいんです。
それが最初の案の『ころころぽーん』では伝わりきらないと感じて…。
なので、この読みにくさをなくすために、どれだけシンプルに、心地よい響きになるかを追求していきました。

「ころころぽーん」ラフ画「ころころぽーん」ラフ画
▲絵本の形となっているラフがたくさん!最初のアイディアからどんどん変化していっているのがよくわかりますね。
完成品を読んでみると、本当に少ない言葉なのに、それだけでストーリーが成り立ってしまっているのが不思議。

それと、『ころころぽーん』では、特に絵の描き方も模索しまして…。
あ、原画見ますか?

─── ぜひ、お願いします!(笑)

「ころころぽーん」原画「ころころぽーん」原画
▲貴重な原画も見せていただきました。青い空と緑の大地にクマの黒が映えて、とってもキュートです!

─── 原画でこだわったところとは?

背景を描いたところです。
普通、赤ちゃん絵本って背景がないものが多いじゃないですか。
それはシンプルに必要なものだけを描いた方が、赤ちゃんには伝わる…という理由があるのですが、『ころころぽーん』では、クマの子がころころと転がって移動している感じを出したかったので、あえて背景を描いています。

─── このクマの子がボールみたいに丸くなって転がっていくのが、とにかく可愛いというか・・・すごく新鮮!なかなか思いつきませんよね。このイメージはどこから出てきたんですか?

新井洋行さん 最初はそれほどころころしていなかったんですよ(笑)。
でも、描いていくうちに遊園地のアトラクションみたいにしたくなって、クマの子の行方をハラハラドキドキしながら一緒に体験してもらえたら…と。
僕、ラフができるとうちの子や友達の子に読んだり、たまに保育園で読んでみたりするのですが、これはすごく人気が高かったですね。
クマがリンゴを取ろうとしているところで、「取れるかなぁ…」「あ!ダメだった〜〜」って(笑)。
たくさんのワニが口が開けている場面でも「あぶない!」「食べられちゃう〜」なんて声が出たりして。
クマの子と一体となってましたね。

あとですねぇ…、僕、娘が2人いて、下の子が今年4歳になるんですよ。その次女がクマ大好きで…。この子に届くうちにクマの絵本が作りたかったんです。
それが達成できたので大満足です(笑)。

─── それは、お嬢さん、喜んだでしょうね!

はい。すごく気に入ってくれました!
でも、上の子からは「パパのイジワル」っていわれちゃった(苦笑)。
上の子のときは『ソケットと おとの まほう』(フレーベル館)作ったでしょう!って納得してもらうのが大変でした…。

─── カワイイやきもちですね(笑)でも何だかとってもうらやましいお話!
次は『ひ ぼうぼう』と『みず ちゃぽん』。表紙のこのインパクト!どんな内容なのかすごく気になるのですが・・・
すみません、まだ手元になくて、読んでいないんです…(汗)

ひ ぼうぼう
『ひ ぼうぼう』

みず ちゃぽん
『みず ちゃぽん』

そうですか?
では、読みましょうか。

─── 本当ですか?! ありがとうございます!

読み聞かせをしてくださる新井洋行さん
▲なんと、作家さんご本人に読み聞かせをしてもらいました。
なんて贅沢!

これは大きなドラマがあるわけではなく、火の燃える感じ、水の流れやうねり、ただそれを感じてほしくて作りました。
僕は以前から四大元素を使ってお話を作りたいって思っていたんです。

─── 四大元素というと、火、水、風、土ですか?

はい。この4つは自然の大元ですよね。
それを感じてほしいという体験型絵本なんです。
『みず ちゃぽん』では、読んだ子が水遊びを堪能したような、『ひ ぼうぼう』では「火遊び」…っていうと言葉が悪いけれど、自分が火になったような感じや、火を見たときの不思議な高揚感を感じてもらえたらと思います。

─── 風と土の絵本も出る予定なんですか?

今、頑張って作っている最中なんですが…(笑)。
風も土も面白いものを作りたいと思っています。

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新井 洋行

  • 本、玩具作家、デザイナーとして、テレビの番組デザイン、玩具の企画デザイン、Tシャツや雑貨のデザイン、CDジャケットのデザイン等のほか小説などのイラストも手がけている。
    絵本作品に『おおごえずかん』、『カラフルアニマル』(コクヨS&T)、『四字熟語ワンダーランド』、『ソケットとおとのまほう』、『クリップとみずのまほう』(フレーベル館)、『しゅっしゅぽっぽ』(教育画劇)、「あけて・あけてえほん」シリーズ『れいぞうこ』、『おしいれ』(偕成社)他多数。

作品紹介

ころころぽーん
作・絵:新井洋行
出版社:ほるぷ出版
ひ ぼうぼう
作・絵:新井 洋行
出版社:童心社
みず ちゃぽん
作・絵:新井 洋行
出版社:童心社
いろいろ ばあ
作・絵:新井 洋行
出版社:えほんの杜
なかみはなあに?
作・絵:新井 洋行
出版社:偕成社
のっているのはだあれ?
作・絵:新井 洋行
出版社:偕成社
デザインワークブック
作・絵:新井 洋行
出版社:コクヨS&T


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