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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2011.11.02

わたなべゆういち さん
『ねこざかなのはなび』インタビュー

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『ねこざかなのはなび』:わたなべゆういち さん

もし、お腹の空いたネコが大きなさかなに出会ったら…。
ネコがさかなを「パクリ!」と食べてしまう、というのは普通の話。
あべこべに、さかながネコを「パクリ!」と飲み込んでしまい、驚いていると、更に今度はさかなの口からネコが顔を出して「ねこざかな」になってしまう…(!?)、なんとも斬新な展開を見せてくれる作品というのが絵本『ねこざかな』。一度見たら忘れられないインパクトのあるその姿。何と13冊も出版されている人気シリーズなのです。
「もう知っている!」という皆さんも、「はじめて知った!」という皆さんも、まずはこちらの動画をごらんください!


▲シリーズ新作『ねこざかなのはなび』『ねこざかなのおしっこ』より

どうですか? すごいしかけでしょう!(音も聞いてみてくださいね。)
このなんとも楽しい絵本「ねこざかな」シリーズの生みの親、渡辺有一(わたなべゆういち)さんのお話を伺いに、ご自宅兼アトリエにお邪魔しました。
渡辺さんご自身も絶賛する、しかけ絵本ができるまでの工程や「ねこざかな」シリーズ誕生秘話などを伺いました。

ねこざかなのはなび

ねこざかなのはなび
作・絵:わたなべ ゆういち
出版社:フレーベル館

今夜はさざえじまの花火大会。
ねこざかなは、わくわくして花火があがるのを待ちますが、サメに囲まれて大ピンチ!音が出る、大胆なポップアップのしかけつきです。

最初にしかけを考えて、物語が生まれます。

─── 私はこの花火のしかけがすごいお気に入りなんです。ついつい社内で自慢げに見せてしまって、「おお〜〜!」って反応が起きるのが楽しくて(笑)。

これは僕の中でもお気に入りのしかけだね。

─── 紙なのに、「ガリガリガリ…」って音がするのが気持ち良いんですよね。

ねー(笑)。「紙なのに」ってみんなそういうんだよ(笑)。
しかけ絵本には例えば、オルゴールとか電池を使って音を出すものもあるけど、僕は紙そのものからこんな不思議な音が出るところにみんな感動すると思うんだよね。

花火のしかけ

─── たしかに…。このようなしかけは「ねこざかな」シリーズ全部に入ってるんですか?

実は、第一作目の『ねこざかな』にはしかけがないんですよ。

─── あ! 本当ですね! でも、こののんびり海に浮かんでいたり、フラダンスを踊ったりする姿がなんともいえない味がありますね…(笑)

ねこざかな
▲第一作目の『ねこざかな』。ネコとさかなの共存がとってもユニークでカワイイ作品なのです。

しかけを考えるようになったのは2冊目以降から。最初はオモチャっぽくなっちゃうんじゃないかっていう懸念もあったんだけど、その頃、きむらゆういちさんのしかけ絵本シリーズが売れていて、やってみたいなと思ったのがきっかけです。
でも、最初はおとなしめで、観音開きくらいのしかけしかやっていないんだよね。

おどるねこざかな
▲二作目『おどるねこざかな』。観音開きというのは横に大きく広がるしかけ。なかなかの迫力です。

それがだんだん凝りはじめて…(笑)。今では、しかけありきでお話を考えるようになりましたね。

─── 「しかけありき」というのは…?

どんなしかけを使うかという案が最初にあって、ストーリーはその後考えるってこと。
例えば、この『ねこざかなのはなび』では、「このしかけを使おう!」というしかけを見つけたら、まず編集の人に伝えて調べてもらうんです。予算内でできるか…とか、ポップアップ作家の方が権利を持っているのか…とか。それがクリアになって作品に使えることになったら、しかけ専門の設計士の方に試作と設計をしてもらうんだよ。その間に僕はストーリーを考えて、ラフスケッチを描く。しかけの部分はその設計士の方が書いた図面を元に本絵を描くんです。

─── この花火のしかけには元となるものがあったんですか?

それは、ポストカードで同じしかけがあったんだよ。ただ、この花火で使っている歯車は2つでしょ。実は、最初の案では4つを希望してたんだよ。制作費の都合上、2つになっちゃった(笑)。4つだとすごいよね、迫力が。

─── すごく迫力のある音になりそうですよね。
こういったしかけのアイディアは、どこから探してくるんですか?

これが本当に大変で(笑)。いつもロフトとか東急ハンズとかのカード売り場を見て回っては、新しいしかけはないか、探してるんだよ。面白いしかけのものや使えそうなしかけを見つけるとうれしくて、「よし!」って思う(笑)。
うちには研究用に入手したカードが山ほどあるんですよ。

しかけカード
▲アトリエには、しかけカードの山! すごい数です!

─── すごい! こんなにいろんな種類があるんですね!

・・・だけど、こういうカードって制作単価が高すぎて使えないものが多いんだよね…。
「ねこざかな」は、最初に幼稚園や保育園に毎月届くソフトカバーの月刊絵本で出て、その後、一般用のハードカバーの絵本になることが多いから、どうしても予算的な問題もあって…。
でも僕は、ロバート・サブダみたいにものすごいしかけはあまり考えていないんだよ。なるべくシンプルでコストをかけないしかけで、「あ!」と驚いてもらえることがしたい。

─── 『ねこざかなのおしっこ』で使っているとびうおのしかけも、シンプルですが、驚きがありますね。

わたなべゆういち さん これは編集の人が見つけてきてくれたしかけなんだよ。これも、本当は同じしかけを2ヶ所に入れたかったんだよ。でも予算オーバーで1ヶ所になった(笑)。

─── 同じしかけを2ヶ所にいれるというのは、どういうことですか?

絵本の中に2ヶ所、同じしかけを入れて、それぞれ違う効果で使うのが、好きなんだよ(笑)。
この『そらとぶねこざかな』のしかけがまさにそれで、竜巻とネコのしっぽに同じらせんのしかけを使っているの。しかけの表現方法は1つじゃないぞって示すのが、プロ好みな感じがして(笑)。

─── なるほど〜(笑)。

出版社おすすめ



絵本ナビ編集長『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』2月24日発売!

渡辺 有一(わたなべゆういち)

  • 1943年旧満州に生まれる。
  • 『ねこざかな』(フレーベル館)で1983年度ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞。『はしれ きたかぜ号』(童心社)で1985年絵本にっぽん賞受賞、『すやすやたぬきが ねていたら』(内田麟太郎 文/文研出版)で2010年日本絵本賞受賞。
  • 作品に『たろうとつばき』(ポプラ社)『ふうせんクジラ』(佼成出版)『ごあいさつ ごあいさつ』(あかね書房)など多数。

作品紹介

ねこざかなのはなび
作・絵:わたなべ ゆういち
出版社:フレーベル館
ねこざかなのおしっこ
作・絵:わたなべ ゆういち
出版社:フレーベル館
ねこざかな
作・絵:わたなべ ゆういち
出版社:フレーベル館
おどるねこざかな
作・絵:わたなべ ゆういち
出版社:フレーベル館
ねむるねこざかな
作・絵:わたなべ ゆういち
出版社:フレーベル館
ねこざかなのクリスマス
作・絵:わたなべ ゆういち
出版社:フレーベル館


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