恋心と嫉妬が招いた悲しみ
作: 宮沢 賢治 / 絵: 大畑 いくの
一本の樺の木など、自分にどれほどの価値があるものかと、土神は繰り返し自分で自分に教えた。それでもどうしても悲しくて仕方なかったのだ。ことに、ちょっとでもあの狐のことを思い出したら、まるで体が灼けるくらい辛かったのだ。 星の話、ハイネの詩集、美学の話……。宮沢賢治自身の興味・知識の片鱗を感じさせるモチーフが、ロマンチックに散りばめられた中に、人間性の幅や悩みの深さを感じさせる、賢治自身の肉声をきくような物語を、画家大畑いくのが色鮮やかに美しく渾身をこめて描いた作品。
1コメント
何度読み返しても胸が、きゅ〜っと痛くなります。頑なな性格の土神と見栄っ張りの狐の姿に、どうしたらもっと分かり合えたんだろう?と心が激しく揺さぶられます。小さい人には、ちょっと難しいかもしれませんが、きっと何かを感じてくれるのではと思います。年齢を重ねて長く読み続けてほしい一冊です
オルガさん