ある町にやってきた少しあやしげな風貌のかばんやさん。
道端にご自慢のかばんを並べています。
でも、並べられているのは、一見どこも変わったことのない普通のかばん。
「それなら これが ぴったりです」
かばんやさんの目の輝きと余裕の表情からは並々ならぬ自信が見え隠れしていてお客様を満足させる気満々なのです。なのに、かばんやさんがお客さんに提案するかばんはどれもこれも見当違いに見えるものばかり。不安がるお客さんをよそに「まあ ごらんなさい」そう言ってかばんを開いた瞬間に、魔法のような出来事が次から次へと起こります!どれもこれも全く想像もつかないような、かばんという役割を超えた摩訶不思議で素晴らしい時間をお客さんにプレゼントしてくれるのです。
かばんにはいろいろあるけれど、途中で荷物が増えるから大きいものが良かったり、小銭や大事なメモを入れる手軽なポケットがあるとちょっと便利だったり、機能的なものがほしいけどやっぱりかわいいデザインも捨て難い・・・・。そう、私たちのかばんに対する要望はいつだってとどまることをしりません。
作者のもとしたいづみさんは、お買い物好きなご自身の経験から全ての願いを叶えてくれる万能なかばんがあったら?と想像してこの作品を書かれたそうです。田中六大さんの描くワクワクする面白い鞄の中身はもちろんのこと、動物、人間、獣人が行き交う異国情緒溢れるミステリアスな街角は否応無しに想像力がかきたてられます。
子ども達にとって、何が飛び出すかわからないかばんの中身は、好奇心の原動力みたいなもの。
読んだ子どもは、どんなかばんを想像するでしょうか。
最後に、このかばんやさんがどうやって次の町に移動するかもハッとさせられますよ。是非絵本を読んでみてくださいね。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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