季節は夏の終わりごろ、きつねくんの目の前で、くるくるくるりん!はっぱが一枚落ちてきました。
ぱっ!はっぱは女の子のきつねに変身!!きつねくんは、その女の子を《はっぱのきつねさん》とよぶことにしました。ふたりはとっても気が合ってすぐに仲良しに。けれどもある日ゴーッと強い北風がふいてきて、はっぱのきつねさんはあっけなく飛ばされて…消えてしまったのです。きつねくんは、もう一度はっぱのきつねさんに会いたくて旅に出ます。冬を越え春が来ても、なかなか見つからないはっぱのきつねさん。きつねくんは、再びはっぱのきつねさんに会えるのでしょうか。
はっぱのきつねさんを探しながら、きつねくんには、かえるくんやつくしんぼのきょうだい、かもさん、お月さま、お星さま…と、たくさんの出会いがおとずれます。きつねくんはさまざまな出会いを通して、どんなことを考えたのでしょう。
「だれでも だれかに であうんだ」
「だれでも だれかに あいにいく」
「そして だれかと また であう」
と、章立てになっている各章の見出しページが心に残ります。読む前からワクワクさせられながらも、出会いの喜びと別れの切なさが入り混じったような不思議な空気に包まれるのです。
お話を書かれたのは、30年以上も読み継がれている「こまったさん」シリーズのさし絵でおなじみの岡本颯子さん。小さな頃に「こまったさん」シリーズを読んでいたという方は、ページをめくりながら懐かしい感じを受けるのではないでしょうか。岡本颯子さんのほんわかした温かなさし絵が全ページにつけられていて、絵本から読み物へと読書の幅を広げはじめた子どもたちにぴったり。読むと優しい気持ちになるようなストーリーの中に出会いと別れの不思議が詰まっていて、子どもたちが読んだ時と大人が読んだ時では、それぞれ違った余韻を心に残すのではないかと思います。親子で一緒に読んで感想を交流してみるのも良さそうですね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
続きを読む