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帆船シロクマ号での航海の途上、スコットランド近海の小さな入り江に停泊したキャプテン・フリントと子どもたち。ロジャやティティら年少組は見知らぬ土地を探検するうちに、土地の原住民とごたごたを起こしてしまいます。一方、鳥の観察に出かけたディックは、その辺りには絶対にいないはずの鳥の巣を発見。近くの鳥類研究家の船に相談にいきますが、なんと彼は鳥たちの敵、「たまご収集家」でした……。
『ランサム・サーガ12』最終章です。
最終章で、これを読んでしまうと、もうアマゾン海賊やウォーカーきょうだい達の新たな冒険に出会えないと思うと、最初の1ページをめくるのがもったいなかったです。
(読み始めてしまったら、どこまでも読んでしまえる自信はありましたから!)
“シロクマ号”はキャプテン・フリントが友だちのマックから借りた帆船です。
この船には今、キャプテン・フリントと姪のふたり“ナンシー&ペギイ”と
ツバメ号のウォーカーきょうだい、それと中盤から仲間に加わったDきょうだいことドロシア&ディックの9人が乗り込んでいます。
みんなは夏休みの2週間をかけてイギリス諸島の港を回り、マックに船を返すための帰り道から物語は始まります。
今回の旅は順風満帆で、もう帰るだけ……。
ナンシーじゃないけど、なんて始まり方なの?始まりが終わりなの?と、思いながら読み進めていくと、ディックがある新発見をするのです!
ディックは自分は「ティティのように絵がうまくない」と、文中でいっていますが、もともとこの物語に書かれている挿し絵は全部作者のランサムが描いているので、ディックの描いた鳥の絵はめっちゃ特徴をつかんでいて、うまかったです。
前半の上巻では、ディックの新発見を狙う敵、「ジマリング・コレクションのジマリング」=たまご収集家との出会いまでが、主な内容でした。
今回もそれぞれの子どもたちの個性にあった言動が、要所要所で描かれていて楽しかったです。
元々弟想いだったドロシアが、この作品ではこれまでよりももっとディックを助け支えようとしているところが見られ、素敵ねお姉ちゃんだふりを発揮していました。
あと、ナンシーは誰よりも妹のペギイをおしゃべりだと考えているところ!
「……ペギイからだったら、いろいろききだせるのよ……ペギイって、きかれれば、なんだて口走っちゃうんだから。泳いでいくには遠すぎるわ……」
ナンシーがどんなポーズで話しているか映像が浮かんできて笑えました。
続きは後半の下巻で。
このシリーズは基本、1話完結の上下巻で作られています。
どこから読んでも1つの物語として読むのに苦はありませんが、
この『シロクマ号』のおはなしは、できればこれまでの11シリーズを全部、もしくはいくつかを読んでから読むのをお勧めします。
お勧めは小学校高学年以上、中・高生の皆さんです。
(てんぐざるさん 40代・ママ 女の子20歳、女の子16歳)
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