つぼみの頃には心踊るような春の気配を届けてくれ、いっせいに花を咲かせてはわたしたちの目を楽しませてくれる、ソメイヨシノ。
時期が過ぎ、風に舞い散るようすさえ、華やかで雪のように美しいですよね。
一年に一度ほんの数日間、皆がおなじ花を見上げて歩く街のようすに、なんだかお祭りのようにわくわくしてしまいます。
そんな、だれしもを魅了してやまない桜、ソメイヨシノの生態を描いた学べる絵本!
ソメイヨシノの歴史や文化にもふれながら、一年を通してソメイヨシノの木がどう変化していくのかを紹介していきます。
「研究ノート」というタイトルにふさわしく、専門的な知識を含む充実した一冊です。
そのため中学以上の学習内容をふくみますが、かわいらしく詳細なイラストとやさしい文章によってわかりやすくまとめられており、決してむずかしく感じさせません。
くわえて、実践的な学習をうながしてくれる点も、この作品のみどころ!
桜の花はそれぞれ、びみょうに花びらの重なり方が異なっていて、高いところから落とすと、くるくる回ったり、すーっと飛んでいったり、花によってちがうのだそうです。
また、花の散ったあとに出るソメイヨシノの葉は、その軸の部分の「みつせん」という器官に蜜をためこんでいて、それは人間がなめても甘いというではありませんか!
桜観察のために大人もおもわず外へ飛び出したくなる、そんなおもしろ知識がいっぱいです。
開花しているわずかなあいだにさえ劇的に変化する桜の花の生態を知れば、一年に一度の春の祭典が、もっと楽しみになることまちがいなし!
ソメイヨシノの本当の姿、絵本で学んでみませんか?
(堀井拓馬 小説家)
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日本人とは切りはなすことができない桜の木だが、ここまで詳しく調べ、語られた本は、特に子ども向けにはなかった。学校には必ずといっていいほどある、桜の木。専門的でありながらも、子どもたちも興味をもって、桜の木を知ることができるように、イラストで、わかりやすく、桜について解説する。春から始まって、1年間の桜を追いながら桜の花、芽、葉や実の秘密や、冬の間の木のようすを紹介する。また、どうして花が散るのか、葉はどんな働きをしているのか、散ってしまった後、どのように芽ができてくるのか、根っこの話などに加えて、食べる桜についてのページも。桜について、研究を重ねてきた著者と、造園家でもあるイラストレーターのかわいらしく、リアルな絵の、やさしく楽しい知識絵本です。
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