引っ越してきたばかりのミロとソナタ。まだふたりには仲良しの友だちがいません。
「そういえば、かあさんって いつも 霧のかかった日に
こんなマフィンを やいてなかった?」
もうすぐミロの誕生日。ふたりはマフィンの香りに昔を思い出しながら、素敵なアイデアを思いつきます。
「ともだちを よんで、おてんきの あじのする
ごちそうを たべるって いうのは どう?」
招待状をもらった森のどうぶつたちは、それぞれ自分のお気に入りのお天気について思いをめぐらせながら、料理をはじめます。ミロは朝もやのエキスをケーキにしのびこませ、スープにはくもり空をまぜこんで。ハイイロリスさんは雨の音を聞きながらあつめた葉っぱのお茶を。ブタさんたちは、大好きな雪の日によく食べていたクッキーを……。
絵本に登場するのは、想像がつくような、想像がつかないような、とっても具体的に描かれているけれど、食べてみればきっと驚かされる「おてんきのあじ」のする料理たち。それぞれを味わいながら、聞いてみたくなることもたくさんあるでしょう。みんなで一緒におなかいっぱいになりながら、どんな会話をしたのでしょうね。
縦長の形をしているこの絵本に描かれるのは、空のお天気とつながっているように料理をする様子。なんて豊かな場面なのでしょう。「どんな味がするのかな」「私の好きなお天気は…」なんて考える時間もまた、幸せな気持ちになれるのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む