村山由佳さんのノスタルジックな物語。
少年少女には少し早いかもしれない、過去形物語。
でも、多分自分の親の子ども時代に、親も自分と交わした「約束」を胸に生きているんだと感じられる、清々しい物語だと思います。
主人公の生まれたのは、昭和51年。
冒頭に出てくる様々な事件や出来事がフラッシュバックしてきましたが、自分より一回り以上下の世代が、同じように懸命に生きてきたことを感じます。
そんな時代に生まれ育った仲良し四人組の一人が病気で死んでいきます。
4人は、タイムマシンを作って、病気を治すんだと約束します。
必死に友だちを思う自分たちにとって、空想は祈りでもありました。
ひたむきさに呑みこまれて、滑稽さは感じません。
そして、その約束が過去形になりました。
でも主人公は心の中に「約束」がしっかり残っているのです。
子どもたちは、今を一生懸命生きているのだと思うけれど、この「今」が将来にとってとても大事なものなのだと、そう感じてほしいと思いました。 (ヒラP21さん 50代・パパ )
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