
クウェートに攻め込んだイラクをアメリカを中心とした国々が攻撃した湾岸戦争(1991年)。そのかげで、クウェートの動物園の動物たちも死んでいました。ゾウのアジザとサラは、食べ物もなくやせて、取材に来たカメラマンのカメラを食べてしまいます。その夜、こわれたカメラから写真が…。本当にあった話からの創作絵本です。

この絵本は、柳田邦男さんが「かわいそうなぞう」と共に紹介されていたので、私は戦時下の上野動物園の事を思い出しました。
湾岸戦争という今の子どもたちにとって過去物語の時代を生きた者として、汚染された海で石油まみれになった鳥や生き物の姿は思い出されるけれど、動物園でこのようなことが起きていたことに、今さらながら驚きました。
事実を基にした創作物語ということですが、戦争という事実と現実感から離れてしまった展開から、真実を読みとるのがちょっと難しい絵本ですが、子どもたちに伝えながら一緒に考えていかなければいけない事が詰まっていると思いました。
いまだに世界のあちらこちらで続いている戦争と、パンダの赤ちゃんが生まれて平和そのものの上野動物園でかつては動物たちが人間の手で命を絶たれた事実と、子どもたちにいかに伝えるか、私の課題が示されていました。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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