
スターリン時代の旧ソ連.10歳のサーシャは幼いころから少年団ピオネールに入るのを夢見てきた.ところが入団式の前夜,父親が秘密警察に逮捕されてしまう.学校ではある事件がおき,生徒たちは「犯人だと思う人」の名を書かされる.独裁,密告社会の怖さをえぐりだしたイラスト満載のフィクション.ニューベリー賞オナーに選ばれた注目作.

にわかには信じがたい恐怖政治があったこと、そして現在も言いたいことも言えない恐怖の仕組みが存在していることを、痛烈にえぐり抜いた物語です。
スターリンの恐怖政治の礼賛者だったはずの父親が、どういう理由なのか、秘密警察に拘束されます。
物語を読み進んでいくと、多くの人が日常的に処刑されているような暗黒を感じ取ります。
お互いに保身だけが蔓延する社会の怖さが、少年の視線で描かれています。
怒りというよりも、権力の圧力に震撼としてしまいました。
こんな社会が再来しないことを祈ります。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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