やまをとぶ
- 作:
- きくち ちき
- 出版社:
- 岩波書店
絵本紹介
2023.11.22
長く続いている子どもの本の出版社やシリーズの周年をお祝いする連載。今回ご紹介するのは、1953年12月に創刊された絵本のシリーズ〈岩波の子どもの本〉です。絵と文でたっぷりと物語る絵本は、子どもの文学の入り口。多彩なラインナップがこのシリーズの特長です。2023年10月から全国の協力書店にてフェアも開催中。ぜひ、本屋さんに足を運んでみてくださいね。
【担当編集者より】
絵本作家のきくちちきさんが、〈岩波の子どもの本〉のために、とびきりのお話を描いてくださいました。『やまをとぶ』というタイトルには、自然の中でのびのびと暮らす「ぼく」のよろこびが込められます。
まっすぐな「ぼく」の語りと、ユーモアに満ちたダイナミックな絵。ちきさんの筆からは、人にも里の生きものにも等しく惜しみない愛情が注がれます。心が浮き立つ、軽やかな作品です。命のきらめきを、たっぷり感じていただけますように!
【担当編集者より】
黒い線で縁取られたユーモラスなどうぶつや子どもたち、のんびりした田舎のあたたかな風景。ひと目で楽しい気分になるラダの絵は、故郷の村での子ども時代を源に描いたものが多いそうです。チェコの子どもたちは、ラダの絵や本に親しんで大きくなります。
この『きつねがはしる』では、代表的なラダの絵に、チェコで語りつがれるわらべうたが添えられます。子ども時代をチェコで過ごした木村有子さんのリズミカルな翻訳を、ぜひ声に出して楽しんでください。 小さい子への贈りものにもぴったりです!
【編集部員のイチオシ】
電車好きのうちの子は、表情ゆたかな乗り物たちに大興奮。昔気質のおじいさん機関車やえもんが、「しゃっ しゃっ しゃくだ しゃくだ…」と走りだす場面は、なんど読んでも笑ってしまいます。
【編集部員のイチオシ】
小さい頃からともにあった本です。私にとって『ちいさいおうち』はやっぱりこの小さいほう。「ひなぎくのはな」「つきよにだんすするりんごの木」に囲まれて、にっこり丘に佇むおうちは、愛しい心の故郷です。
【編集部員のイチオシ】
はさみで「もぎりきる」とか、石の間へ「もぐずりこんで」とか、言葉の響きがとにかくおもしろく、声に出して読むと、どんどん気持ちが乗ってきます。とくに後半のたたみかけといったら! ぜひ親子で味わってほしい1冊です。
【編集部員のイチオシ】
ともだちとあそぶより、強さを見せつけるより、ひとりしずかに草の上にすわって、すきな花のにおいをかぐのがすき。そんなフェルジナンドに憧れます。そして、我が子を理解して、そっと見守るお母さんの愛情にも。
【営業部員のイチオシ】
「子どもの文学の入り口」を掲げる〈岩波の子どもの本〉にふさわしく、ものがたりにぐいぐいと引き込まれて、たっぷりとその世界観を味わえます。
【営業部員のイチオシ】
四季のなかの農村のくらしが、なんとも懐かしく愛しく感じられます。木々のざわめきや風の吹き抜ける音、鳥の鳴き声、そしてなんといっても、子どもたちのにぎやかな声が聞こえてくるようです。
【営業部員のイチオシ】
身近なスーパーの、冷凍庫の中に、私だけが知っているお人形がいる! というシチュエーションに心ときめく人も多いのでは? 子どもの心をぐっとつかむ名作です。
多彩なラインナップから、なかでも人気の12点を厳選したフェアを全国協力書店で開催しています。
〈岩波の子どもの本〉創刊70年を迎える2023年は、「おはなし いっぱい!」をキャッチフレーズに、作品の魅力を紹介したり、新しい本を仲間に加えたりしています。長年読みつがれている本をよい状態でお届けするために、書体や色を見直す作業も続けています。
本の表紙をみて、なつかしい〜! と目を細める方には、ぜひ次の世代にもその思いと本を手渡していただけますように。また子育て中の方には、個性派ぞろいのロングセラーをお子さんとともに楽しんでいただけますように。
〈子どもの本〉の扉をひらいたら、さあ、そこはおはなしの世界です。声にだして読みながら、羽をのばして遊んでみませんか。