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- ためしよみ
絵本紹介
2024.05.30
長年、子どもの本を出版している、出版社の周年をお祝いする連載。今回ご紹介するのは、2024年7月に30周年を迎える、瑞雲舎さんです。『シナの五にんきょうだい』や『ちびくろ・さんぼ』の復刊絵本をはじめ、近年では『チビにいちゃんとO(オー)ちゃん』のような児童書、『LIFE(ライフ)』のような大人の胸に響く絵本など様々なジャンルの作品を出版しています。瑞雲舎さんの作品の中には「読んだことがある!」というものがたくさんあるはず。気になる作品を見てみましょう。
みどころ
親の世代にとっては「ちびくろ・さんぼ」と聞くと、「懐かしい」というイメージがある方が多いかもしれませんね。事実、1988年から長い間絶版になっていました。
「とらが ぐるぐるまわって バターになる」
という場面の鮮烈なイメージは、世代を超えて、今の子ども達にも新鮮で、強烈な印象を与えているようです。
お話は、可愛い男の子さんぼが、おとうさんとおかあさんにもらった上等の服と傘を持って、お散歩に出かけるところから始まります。途中で出会ったトラに、食べられそうになるさんぼは、次々に大切な服を渡してしまいますが・・・。
さて、どんな機転でこのピンチを乗りこえる?さんぼは助かるの?
そして、冒頭に述べた有名な場面へと繋がっていきます。
この楽しいお話に、また出会えた事が、何より嬉しいですね。
大胆な色使いや、デザイン性の高いイラストが、更に印象を強く残している事も言うまでもありません。
みどころ
サムは図書館に住むねずみです。調べ物コーナーのうしろの小さな穴の中で暮らしています。
昼間はたくさんの人が行き来するにぎやかな図書館の隅で丸くなって眠り、夜になると静かな図書館にサムひとりになるのです。
毎晩、サムは思う存分本を読みます。絵本も物語も、スポーツだって料理だって、それからミステリーも!サムの頭の中は知らない国の風景や空想の世界でいっぱいになっているのです。
・・・ここまで読んで、思わずつぶやいてしまった人もいるはず。
「なんて素敵な暮らし!」
ところがサムがすごいのは、ここからなんです。
自分でも本を書いてみることにしたのです。最初は自分の暮らしのお話から。手ごたえを感じると今度は長いお話にも挑戦します。
昼間、図書館に来てサムの本を見つけた子どもたちは夢中になり、いつの間にかサムの本は大人気に!サムに会いたいと言い出します。
そんな人間たちに対して、サムは思うのです。
「どうしてみんなは、お話を考えたり、書いたりすることを難しいと思うのかな」
なにも躊躇することなくのびのびと空想や冒険に飛び出して行き、気負うことなく自分の好きな世界を創造していくサムの姿を見ていると、本を好きなだけ読める喜び、文章を書く喜びを思い出させてくれるのです。
そして、心の底から楽しんでいるサムの様子を見ながら、子どもたちはきっとうずうずしてくるでしょう。
どうか、一人でも多くの子どもたちが、この素晴らしい空想の世界を体験してくれますように!
出版社からの内容紹介
ある冷たい風の吹く日、一人のおばあさんが町外れにある『Life』という小さなお店にやってきました。『Life』は、お店と言ってもなにかを売っている普通のお店とは違います…。
冬の間このお店にたくさんの人が訪れました。そして春になって、すてきな奇跡が起こりました。人は誰かとのかかわりの中で生きているのだ、ということを伝える感動の絵本。
みどころ
わたしには、素敵なともだちがいるの。
それはね……わ、た、し!
どういうことだろう?
明るい笑顔が素敵なぶたの女の子、「わたし」は続けます。
お絵描きしている時も、自転車をびゅんびゅんこいでいる時も、わたしはひとりぼっちじゃない。
わたしは、わたしと一緒にいるから。
わたしは、わたしのために本をいっぱい読んであげたり、ごはんをもりもり食べたり、きれいにしたり。
朝起きたら、鏡にむかってご挨拶。
「おはよう、きょうも かわいいね!」
なんだか……すごくいい。
この子は、自分のまんまるお腹もくるくるしっぽも小さな足も、みんな愛してる。
自分のことをとっても大事にしているんだね。
だから、元気が出ないときや、ちょっとつまづいちゃった時の対処法だってバッチリなのです。
それはね……。
「自分大好き!」
そんな風に思うのって、どうでしょう。
恥ずかしい? ちょっと傲慢? ひとりよがり?
だけど、そんな気持ちが邪魔しちゃっているせいで、もし自分が自分となかよしになれていなかったら。自分のことを大切に思う事ができなかったら。誰かの事を思う気持ちなんて生まれるのかな。
ダイナミックな線で描かれたぶたの女の子。水玉やハートの柄を身にまとい、ポーズはいつも足を開いて仁王立ち。
作者ナンシー・カールソンの軽やかで大らか、それでいて力強い声が絵本の向こうから聞こえてくるみたい。
細かいことなんて気にしない、わたしはわたしのことが好き。ね、すてきでしょ!
出版社からの内容紹介
「名前」は両親からの最初の贈り物。
「しあわせになあれ」という真摯な祈りがこめられています。
そんな大切な「名前」をテーマにした合唱曲「しあわせになあれ」の詩に絵本作家の松成真理子さんが叙情的な絵をつけて絵本ができました。名前を与えられたこどもが、だんだんに成長しやがて独り立ちしていくまでの姿が描かれています。沢山の子ども達が手を取り合って「しあわせになあれ」と歌っているシーンは大変感動的です。
合唱曲「しあわせになあれ」は、全国の学校現場で歌われており、待望の出版となりました
出版社からの内容紹介
チビにいちゃんは、好奇心旺盛で元気いっぱいの男の子。
妹のO(オー)ちゃんもまきこんで、まわりのおとなたちを、ドキドキ、ハラハラさせます。
でも、チビにいちゃんは、おかまいなし。だって、毎日がとってもたのしいのですから!
スウェーデン児童文学の名作『すえっこO(オー)ちゃん』の姉妹作が初邦訳!
出版社からの内容紹介
暗闇が怖い子どもたちへの素敵なプレゼント!
ワトソンは暗闇が怖くて眠れない。ふと、ふとんの下から漏れる不思議な光に気が付いてそっと覗いてみると、そこには無限の星空が広がっているのだった。夜更けに広がる想像力の世界を美しくちょっぴりユーモラスに描く絵本。ニューヨークの人気イラストレーター、ランディス・ブレア初の絵本。発売と同時に全米の書評誌で大絶賛! 現代の『かいじゅうたちのいるところ』であると評されている。
みどころ
「はやくちこぶた」劇場がはじまるよ!
さぁ、期待通りのお馴染みの早口ことばから早速始まります。
やっぱり最初はこれでしょう!
「なまむぎ なまごめ なまたまご」
更に次々と続きますよ、定番早口ことばのオンパレードです。
この絵本が一味違うのは「はやくちこぶた劇場」だと言う事。
一緒に夢中になって早口ことばを読んでいるうちに、いつのまにか物語がどんどん進むのです。
このスピード感とユニークな発想が絵の雰囲気ともぴったり。独自な面白い趣向の絵本に仕上がっています。
これは、幅広い年齢層で楽しめそうですね。早速トライ!
京都にある子どもの本の専門店「きんだあらんど」で、松成真理子さんの『しあわせになあれ』(瑞雲舎)の絵本、水彩の原画展が開催されます。
松成さんの描くやさしい世界観をぜひご堪能ください。
【日時】2024年6月9日(日)〜23日(日)
※水曜祝日定休、臨時休業なし
※初日は14時〜スタート。最終日は16時まで。
【会場】きんだあぎゃらりい(絵本屋きんだあらんど1階)
松成真理子さんと瑞雲舎の編集長井上さんによる対談。
【日時】6月9日(日) 15時〜16時
ギャラリートーク 16時〜17時 ミニパーティー(軽食・ワンドリンク付)
【参加方法】きんだあぎゃらりい店頭参加 or オンライン(ZOOM)
【対象年齢】大人対象
※小学生以下は保護者同伴。
【お支払い方法】事前チケット購入制
【参加費】店舗参加 / 2,000円(軽食・ワンドリンク付)オンライン参加 / 1,200円
※年齢・人数に関わらず共通
【定員】店頭20名 • オンライン無制限
【持ち物】筆記用具
【お申し込み締め切り】6月4日(火曜)17時
店頭参加 定員になり次第終了 オンライン無制限
きんだあらんど店主・蓮岡さんが聞き手となって、瑞雲舎の本の話を編集長の井上さんにお伺いします。
【日時】6月22日(土)14時〜15時半
【参加方法】きんだあぎゃらりい店頭参加・オンライン(ZOOM)
【対象年齢】大人対象
※小学生以下は保護者同伴【お支払い方法】事前チケット購入制
【参加費】店舗参加 / 1,500円(軽食・ワンドリンク付) オンライン参加/1,200円
※年齢・人数に関わらず共通【持ち物】筆記用具
【定員】店頭20名 • オンライン無制限
【お申し込み締め切り】6月15日(土)17時 【店頭参加】定員になり次第終了 オンライン無制限
【お申込み方法】
1. 下記をご明記の上、メールにてお申込み下さい
件名: @「しあわせになあれギャラリートーク&ミニパーティー」 or A「店主蓮岡と瑞雲舎の編集長井上さんによる対談」参加申し込み
・本文:@お名前 Aお電話番号 Bオンライン参加or店舗参加 ・連絡先(mail):kinderland.event@gmail.com
2.オンラインショップチケット購入案内をお送りします。
3.チケット購入ご確認後、ZOOMミーティングID、パスコードをお送りいたします。
※店舗参加の方は、電話申込、当日店頭支払い対応可 TEL:075-752-9275
2024年7月に瑞雲舎は創立30周年を迎えます。
小さな出版社の30年は、読者の皆様に助けられる日々でした。深く感謝申し上げます。
『シナの五にんきょうだい』(ビショップ:文/ヴィーゼ:絵/川本三郎:訳)、『ことばのこばこ』(和田誠:作)、『ちびくろ・さんぼ』(ヘレン・バンナーマン:文/フランンク・ドビアス:絵/光吉夏弥:訳)などの復刊絵本で、瑞雲舎の名前を知ってくださった方も多いことでしょう。親から子へ、子から孫へと世代を越えて手渡され続ける本は、家族で過ごした喜びや楽しさの記憶と切り離されることがありません。長く読み継がれることの大事さを思います。
これからも、家庭の文化となるような本を作り、子ども達に読書の楽しさを手渡し続けていきたいと思っています。
今後ともご支援のほどお願い申し上げます。