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絵本紹介
2025.04.17
昆虫は苦手……そんな意識を持っている大人も多いのでは? わが子が外遊びから連れ帰ってきた虫かごに思わずのけぞってしまった、なんてことも、主にママのあるあるですよね。でも私たち大人も小さかった頃はアリの行列についていったり、ダンゴムシをつついて丸めたり、草むらをはねるバッタとジャンプしてみたり、目をキラキラさせて虫を追いかけたことを、子どもたちが、そして絵本が思い出させてくれます。
くるっと丸まるのはなんでだろう? 思わずじっと眺めてしまうダンゴムシ、そのひみつを解き明かせる図鑑絵本はページをめくるたびにワクワク!赤い背中に水玉模様が愛らしいその姿に出会えるのは奇跡に近いけれど、実は春の野原には……好きな植物や動きの特徴を知ればたくさんのテントウムシに出会えそう! 捕まえた虫を飼ってみたものの、意外な行動に驚いたりお世話したのに生かすことができなかったり。そうした経験も含めて虫と向き合うすばらしさを伝えてくれるおはなしも、一度は読んでほしい一冊です。
本を読んだ後に観察してみると、昆虫に表情が見えてくるから不思議。小さいながらも生に満ち溢れた春の昆虫たちに、私たちも力をもらいましょう。
この書籍を作った人
大阪出身。切り絵作家、絵本作家。昆虫から菌類まであらゆる生き物をモチーフに切り絵作品を制作。生き物たちの「輪郭」を浮かび上がらせ、生き物たちの美しさやおもしろさ、新たな魅力の発見につなげることを目指している。2022年『アリのメアリ』(BL出版)で絵本デビュー。ギャラリー、書店、動物園、博物館、昆虫館など、展示も多数開催し、注目を集めている。神戸在住。
出版社からの内容紹介
親子で野原にでかけよう!
テントウムシのさがしかたのコツは?
テントウムシをさわったらどうなる?
春の野原がぐっと楽しくなる、
自然観察のための写真絵本
春の野原でテントウムシをさがそう!
小さな虫ですが、
かんたんに見つける方法があります。
手がかりは、カラスノエンドウ!
アブラムシがたくさんついている
カラスノエンドウの近くに、
テントウムシがきっと見つかります。
アブラムシはテントウムシのごちそうなのです。
テントウムシのおもしろい動きや、
さわってみたときの変化、
アリがテントウムシをおいはらう様子、
テントウムシの卵や幼虫なども、
写真を使って紹介。
春の野原がぐんとおもしろくなる、
自然観察のための写真絵本。
この書籍を作った人
1968年、東京に生まれる。多摩美術大学絵画科卒業。子どもの頃からの昆虫が大好きで、物心ついたときから虫と友だちになれると信じ、絵や工作でも表現して楽しんでいた。カブトムシの背中に乗って、空を飛ぶという夢を絵本にした『カブトくん』が、子どもたちの大きな共感を得ている。
この書籍を作った人
(戸田幸四郎 1931年−2011年)山形県尾花沢市生まれ。都市計画から店舗デザイン、グラフィックまであらゆるデザインを仕事とする。51歳の時、デザイナーから絵本作家に転向。80歳で亡くなるまで42作品を発表。そのどれもがロングセラーとなる。絵はもちろん、ひらがなまで全てをデザインした『あいうえおえほん』は累計100万部を超え、日本の知育絵本の草分けと評されている。他にも宮沢賢治・太宰治などの文に重厚な絵を描いた名作絵本集や環境をテーマにした創作絵本集など出版。静岡県熱海市には自身が建築デザインから手がけた戸田幸四郎絵本美術館がある。
みどころ
はるきたよ はるきたよ
ひらひらと春風に舞う花びらに、最初に気づいたのはテントウムシ。
うれしくなって、川面に浮かぶ桜のふねに乗り、山の仲間たちに春を知らせに行きます。
はるきたよ はるきたよ
その声に気づいたともだちのハチやチョウたちも、やっぱりうれしくなって。
同じく桜のふねに乗って、てんとうむしに続きます。
ニヤトコやカタクリの花々は、目を細めて虫たちの旅を見守ります。
いいたびに なりますようにーー。
やわらかな風、包み込むような優しい日差し。
虫、鳥、動物、草花、川や風までも、みんな、首を長くして春を待っていたのでしょう。うたい、飛び跳ね、はしゃぎます。時々「よりみつ」なんかもしたりして……!
生きものや自然にとって芽吹き花咲く季節を迎える喜びがどれほどのものか、のびやかに躍動する絵と言葉に感じ入ります。作者はきくちちきさん。紅葉の季節を鮮やかに描いた『もみじのてがみ』に続き、本作も春の自然の生を讃えたまぶしい一冊となりました。
ゆっくりと進んでいく桜のふね。虫たちの目の前に広がる麓の風景は、息をのむ美しさです。雄大な春の山の旅を、生きものたちと一緒に味わってくださいね。
この書籍を作った人
1975年北海道生まれ。絵本作家。2013年『しろねこくろねこ』(Gakken)でブラチスラヴァ世界絵本原画展、金のりんご賞を受賞。2019年『もみじのてがみ』(小峰書店)で同展金牌を受賞。他に『しろとくろ』(講談社)、『でんしゃ くるかな?』(福音館書店)、『やまをとぶ』(岩波書店)、『ゆきのゆきちゃん』(ミシマ社)など。現在は神奈川のいろいろな生きものが暮らす里で、家族と山を眺めながら、創作をしている。
文/竹原雅子
編集/木村春子