世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
絵本紹介
2025.06.10
少し前まで夕方にはすっかり暗くなっていたのに、今は18時過ぎてもまだ明るい。それもそのはず、今年の夏至は6月21日だというのですから。「夏至」は一年で一番夜の時間が短い日。せっかくなら短い夜に思いを馳せる絵本を選んでみましょう。
フィンランドで生まれた大人気キャラクター・ムーミンのおやすみ絵本や、親子のセリフのやり取りがクスッと笑えるフランスの絵本。アラスカ先住民族の昔話をアラスカで暮らす絵本作家・あずみ虫さんが手がけた神話絵本などなんともバラエティ豊かな作品が集まりました。日本からは、おばけの子が夜の動物園で大活躍する絵本が登場。
最近では、日本各地で夏至の夜に明かりを消して「キャンドルナイト」を楽しむイベントも開催されるようになりました。今年はデジタル環境を一旦オフにして、お気に入りの絵本を囲んでみてはいかがでしょう。
みどころ
おやすみの時間はとっくのとうに過ぎています。でもムーミンはおめめがぱっちり。
「ママ、もういっかいだけ ぎゅーしてくれる?」
ムーミンママはムーミンの鼻や耳をなでながら、お布団に包み込みます。それでもムーミンはねむれません。スノークのおじょうさんも、ムーミンパパも、ムーミンが眠りの世界に行けるよう、アドバイスします。
フィンランド生まれの大人気キャラクター、ムーミン。こちらの「はじめてのMOOMIN」シリーズは、ムーミンの世界を小さな子どもから楽しめるよう作られた新作です。短いストーリーが小さいサイズのボードブックにぎゅっとまとまっています。
サイズは小さくとも、ムーミンの世界観を感じるには充分の内容です。北欧を感じさせるアースカラーのイラストに、おしゃれなテキスタイル。そしてほのぼのとした優しいストーリー。ムーミンの世界を初めて知る人も、そしてもちろんムーミンファンにもおすすめの、キュートな一冊です。
この書籍を作った人
1914年フィンランドの首都ヘルシンキで生まれる。スウェーデン系フェンランド人。彫刻家の父と画家の母を持つ、生まれながらの芸術家。家にはアトリエがあり、常に生活の中にアートが。そんな環境から自然と芸術家への道を歩み、はやくから挿絵画家、風刺画家、短編作家としても活躍する。 20歳の時、水彩画「黒いムーミントロール」を描き、その後ムーミンシリーズ第1作『小さなトロールと大きな洪水』を発表。以後 1945年から25年間にわたって書きつづけた「ムーミン」シリーズは世界各国で多くの読者を生み、国際アンデルセン大賞ほかかずかずの賞を受賞。その後執筆された小説も高い評価を得ている。 2001年6月27日に86歳でご逝去。ムーミンコミックスで共著もしていた弟ラルスさんも後を追うように1年も経たない内にご逝去されました。
この書籍を作った人
1985年茨城県出身。東京造形大学グラフィックデザイン専攻卒業。ゆうゆう絵本講座で絵本づくりを学ぶ。絵本「うんどうかいがなんだ!」(文/きむらゆういち)、「おばけのがっこうシリーズ」、「だいじょうぶ!いちねんせい」(新日本出版社)、「おばけのルルンとよるのどうぶつえん」(国土社)など。教職経験を生かした絵の仕事も多数。
みどころ
暗くて深い森の奥、いくつもの目がギラリとあいて、
ガチガチと牙がぶつかる音がする。
冒頭で、闇の中に白く浮かびあがるのは鋭い眼光と恐ろしくとがった牙のシルエット。さらに遠吠えまで聞こえてきて。なんだかすごい緊張感、これから何が起こるんだろうかとドキドキしていると……。
「ちょっと ちょっと! いいかげんにしなさいよ!」
飛んできたのは、オオカミのママ。どうやらここにいるのは、寝る時間になってもまだまだ寝られないオオカミの子どもたちのようです。「ぎゅっして!」「絵本読んで!」「歌、歌って!」、ママに次々とおねだりをする子どもたち。これは大変です。でも、ママが歌いはじめると、子どもたちの目はすぐにトロンと閉じていくのです。
読んでみれば、なんて可愛い親子のやりとりが展開されていくこのお話。毎日の寝かしつけに苦労しているだろうママの表情に、共感しながらも可笑しくてついつい笑ってしまうのです。おやすみ絵本としての役割もバッチリ! 最後のオチまでシャレの効いたフランス発の絵本です。
この書籍を作った人
1974年フランスのヴィエルゾンで、英語教師の母と建築家の父のもとに生まれる。ストラスブールの国立高等装飾美術学校でイラストレーションを学ぶ。マルセイユでワークショップについて学んだ後、ポスターなどの制作に携わる。現在は、絵本や子どもの本を作りながら、子どもたちとのワークショップも手がけている。
この書籍を作った人
1970年、埼玉県生まれ。フランス語、英語の児童書を翻訳しながら、ときどきエッセイも書く。主な翻訳に『トラの じゅうたんに なりたかったトラ』(岩波書店)、『どうぶつに ふくを きせては いけません』(朔北社)、『うんちっち』(あすなろ書房)、『わにの なみだは うそなき なみだ』、『ふるい せんろの かたすみで』(ともにロクリン社)など。海外作家との交流も多く、「日本の神話えほん」シリーズ(岩ア書店)では文を担当し、フランスの画家ポール・コックスと共同制作をした。登山と温泉が好き。
この書籍を作った人
1975年神奈川県生まれ。絵本作家、イラストレーター。安西水丸氏に師事。アルミ板をカッティングする技法で作品を制作する。2010年講談社出版文化さしえ賞受賞。絵本『わたしのこねこ』(福音館書店)で産経児童出版文化賞美術賞を受賞。写真家・星野道夫氏への憧れと野生動物への関心から、2018年よりアラスカに通い始め、現在はアラスカと日本を行き来しながら、作品を制作している。絵本作品に『ぴたっ!』『いもむしってね…』(福音館書店)『つるかめ つるかめ』(あすなろ書房)『わたしがテピンギー』(偕成社)などがある。
この書籍を作った人
1931年、東京に生まれる。高校卒業後、詩人としてデビュー。1952年に第一詩集『二十億光年の孤独』(創元社)を刊行。以後、詩、絵本、翻訳など幅広く活躍。1975年日本翻訳文化賞、1988年野間児童文芸賞、1993年萩原朔太郎賞を受賞。ほか受賞多数。絵本作品に『ことばあそびうた』(福音館書店)、『マザー・グースのうた』(草思社)、『これはのみのぴこ』(サンリード刊)、『もこもこもこ』(文研出版)、「まり」(クレヨンハウス刊)、「わたし」(福音館書店)、「ことばとかずのえほん」シリーズ(くもん出版)他多数の作品がある。翻訳作品も多数。