つめのくに
- 絵・作:
- シゲリ カツヒコ
- 出版社:
- 金の星社
絵本紹介
2025.09.03
図書館や本屋さん、児童館などで定期的に開催されている「おはなし会」。お子さんがいらっしゃる皆さんは一度は参加されたことがあるのではないでしょうか?
おはなし会の多くは、図書館司書や書店員、本が好きなボランティアの方など本のプロが選書を行い、その季節や参加する子どもたちにぴったりの絵本を読み聞かせしてくれます。でも、本のプロが意外と頭を悩ませるのがこの選書作業だと言われています。
ロングセラー絵本を見せて「読んだことある〜!」と言われてしまったり、ちょっと難しい本を読んで子どもたちが飽きてしまったり……。苦労も多い選書作業。
そんな悩みを抱える皆さんに、読めば盛り上がること間違いなしのおはなし絵本をご紹介します。ちょっと不気味だったり、ふしぎだったり、ドキドキしたり、ほっこりしたり……。ご家庭で読んでも子どもたちの反応が楽しめる作品ばかりですよ。
この書籍を作った人
1962年生まれ。岐阜県各務原市出身。フリーのイラストレーターとして装画などを手がける。『カミナリこぞうがふってきた』(ポプラ社)で絵本デビュー。細部までとことん描写するユーモラスなタッチと奇想天外なストーリー展開で、絵本の世界を表現してきた。2018年『大名行列』(小学館)で小学館児童出版文化賞を受賞。他の作品に『だれのパンツ?』(KADOKAWA)、『ごじょうしゃありがとうございます』『ガスこうじょう ききいっぱつ』『妖怪伝』シリーズ(いずれもポプラ社)、『バスガエル』(作・戸田和代/佼成出版社)、『ぼくはまいごじゃない』(作・板橋雅弘/岩崎書店)、『アイアン・マン』『マジックショップ』シリーズ(共に講談社)などがある。
出版社からの内容紹介
絵から抜け出したふしぎな娘が
働き者の若者の妻になった。
娘のふしぎな力に目をつけた皇帝は
二人に無理難題を課し…?
中国・ミャオ族の民話をもとに
中国を代表する絵本作家が贈る
美しく豊かな絵本。
むかしむかし、中国の山の村に、
アツォワンという、
正直ではたらき者の若者がいた。
まずしくて、結婚できないアツォワンは、
絵師に、むすめの絵を描いてもらい、
アツァイと名づけて、
毎日、話しかけていた。
するとやがて、アツァイは
絵の中から出てきて、二人は
ほんとうに夫婦になった。
ところが、よくばりで、おろかな
皇帝が、アツァイのうつくしさと、
ふしぎな力に目をつけて……?
中国・ミャオ族の民話をもとに、
中国を代表する絵本作家・蔡皋が
贈る、心に残る美しい絵本。
みどころ
ラーメンが大好きなてんちゃん。今日はママと一緒に、行列がたえない人気のラーメン屋さんにやってきました。待望のラーメンを注文してワクワク、待っている間にちょっとトイレへーー。
するとトイレの向かい側から、白い煙のようなものが出ています。あれ?あのドアはなんだろう? ドアを開けると長い長い階段が。さらにいい匂いに誘われて降りていった地下には……見たこともない世界が! 目を見開いて驚くてんちゃん、すると背後から忍び寄る手が静かにささやくのです。
「きみは 見てしまったね……」
てんちゃん、一体どうなっちゃうの?楽しみにしていたラーメンは?
キラキラのつぶらな瞳にころころと変わる豊かな表情のてんちゃんがたまらなく魅力的で、思わず手に汗握りながら応援しちゃう。立ち上るラーメンの湯気はこちらにまで漂ってきそうなシズル感です。一方でヒミツのドアの向こう側はスリリングで妖しげな雰囲気が……。
ユーモアあふれるおはなしを独特の不思議な世界観で描く黒岩まゆさんはさまざまな表現手法で活躍されている現代美術家で、本作が2作目の絵本なのだそう。ページいっぱいに広がる精緻でダイナミックなイラストと勢いあるストーリーに、子どもも大人も釘付けになっちゃうことでしょう。
ラーメンを食べたいだけなのに……ヒミツのドアを開いてしまったがために、とんでもないピンチに見舞われるてんちゃん。救うのはひたすらに真っ直ぐな、愛?! ーーとにかく、推しは最強。それだけお伝えしておきますね、あとは読んでのお楽しみ!