「きょうはあんたのすきなかしわのからあげや。なんちゅうても、クリスマスやさかいな」「おかあちゃん、かしわゆうの やめてえな。クリスマスやったら、チキンやで」
ケンぼうのおかあちゃんは、コッテコテの大阪のおかあちゃん。ムードがないと怒るケンぼうに「なにが ムードやねん。おおさかドームみたいな かおして」と返します。負けずに「おおさかドームは おかあちゃんの かみがたや。」と返すケンぼうの言葉に、思わずブッと吹き出してしまいます。なんて楽しいおかあちゃん!この時点でみんなすっかりおかあちゃんのファンになっているはず。
けれども、ケンぼうはなんだか不満げ。だって、友達のたかしくんの「ママ」は、美人でおしゃれで優しくて、クリスマスのテーブルにはシチメンチョウが並んじゃうんです。それにくらべて、うちのおかあちゃんときたら!
子どもはみんな、自分の家とよその家族と比べてしまったりするもの。だけど、やっぱりうちのおかあちゃんが一番!それを口には出さないけれど、物語は晴れやかなエンディングを迎えます。
この絵本は「なにわっこ落語絵本」として作られた作品。親子で楽しめる創作落語絵本なんです。掛け合いの端々に笑いながら、いかにも落語のサゲ(オチ)らしい小気味よい終わり方。これがなんとも言えず清々しい。
こんな思いっきり笑えるクリスマスの絵本も楽しいですね。
関西弁のリズムも楽しめる、読み聞かせにもぴったりの絵本です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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