
クリスマスの前の晩。ひとりぼっちのもみの木が、丘の上にぽつんと立っていました。寒さと静けさに身震いしながら、下に広がるきらめく街並みをうっとり眺めています。
かつてはここも大きな森で、仲間がたくさんいたのですが、今ではみんな居場所を見つけ、心地よさそうにしています。話し相手もなく、ひとり長い冬の眠りにつこうとしていたその時。ざくざく足音をさせ、あたたかなあかりと共にあらわれたのは……?
誰もが自分の居場所と温もりを求めるその晩に、優しく陽気なその人は、もみの木のために仕事にとりかかり、あっという間に願いを叶え、夜空に飛び去っていったのです。なんて素敵な夜なのでしょう!
一年に一度もみの木が最高に輝くその瞬間を、静かにあたたかく描きだすこの物語。決して派手ではないけれど、それでも確かに奇跡は起き、夜はきらめく光に包まれて、その光景は忘れられないほど美しく。
「みなさん クリスマス おめでとう そして みなさん すてきなよるを」
江國香織さんの翻訳で味わう、小さなクリスマスの絵本。誰かに贈りたくなる1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

クリスマスの まえのばん ひとりぼっちの木が おかのうえに ぽつんと たっていました そこに あらわれた あたたかなあかりは……

雪の中でひとりぼっちになってしなったもみの木を想像すると、何だか荒涼とした気持ちになります。
ましてやクリスマスの日ともなれば特別です。
そんなもみの木に救いの手をさしのべたのは誰でしょう。
サンタクロースはプレゼントを配るだけでなく、幸せを運んでいるんだなぁと思いました。
クリスマスに素敵な大人テイストです。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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